2010年08月17日
天気予報は当たるのか?(8月17日)暑さいつまで?夕立は?

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
猛暑!・・・・といいますけど、今朝の長野県内の高原では15℃前後まで下がっていて、半袖じゃ寒いと感じる気温になっているんですよね。
一方、関東はのきなみ25℃以上の熱帯夜。

今朝の野辺山の気温は日本で一番低く、北海道より涼しく(寒く?)なっていいます。

観光が重要な産業の長野県・・・・不況で観光のテコ入れが叫ばれていますが、これだけ猛暑が話題になっているんですから、この涼しさをもっと売り物にするっていうのもアリかもしれませんね?
猛暑の東京から車で2時間弱で、東京の冬の日中の寒さがあるんですから・・・・・
さて、昨日も書きましたが、この暑さいつまで?

グラフの暖色の部分にあると平年より高め思っていただいてよいのですが、どう見ても平年より下がるということはなさそう・・・・・
今日までが一つのピークでいったん平年並みに・・・その後、今週末あたりにまた高めに・・・・ということになりそうです。
暑さはまだまだ・・・・・・
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

昨日とエリア分けは同じ。
東北の前線ぐずつきエリア・・・・秋田で「のち 雨」になっていますが、「のち」のタイミングは夕方。
ということは、夕方以降、前線が活発になってくるようです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

関東北部の「のち」傘マークは、当然夕立の傘マーク。
昨日も夕立は活発でしたが、今日も「激しく降る」と予想されています。
で・・・昨日も計算値より夕立が少なかった長野県。
今日も「所により」・・・夕立が予想されています。
今日は計算通りになるのか?ならいのか?は非常に悩ましいところですが・・・
昨日に引き続き、関東の海風が弱めですから、昨日以上に神奈川・東京・埼玉方面ではゲリラ雷雨の可能性が高い・・・・と思います。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

雨の原料・・・暖湿流が流れ込む傾向はずっと続いています。
今夜、前線が活発になる理由ですが、上空を弱い気圧の谷が通過するためなんですが、地上の天気図ではわかりにくいので、弱い気圧の谷ということでまとめました。
日本海の高気圧は大陸の比較的乾いた空気、太平洋の高気圧は湿った空気・・・密度の差で前線ができているわけですが、日本海側の高気圧が勢力を強めたので、気圧の点でも二つの高気圧のせめぎあいが活発になるというわけです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
夕立や前線の雨の様子を考えるには、雨の原料・・・相当温位の様子をはずすわけにはいきません。

今日も九州や東日本中心に、上空に寒気がなくても十分に不安定になって、たっぷり雨を降らせることのできる345K(ケルビン)以上の高い数値が計算されています。
SSIという発雷の指数を見ても、九州や東日本、西日本山沿いでは十分な数字。
風が集まったり、山で強制的に上昇させられたり、前線が活発になれば、局地的に強い雨が降ってもおかしくない状態です。
今朝は暖湿気を流す上空1500m付近の流れも見ておきましょう。

太平洋高気圧を時計回りに日本付近に流れ込んでいます。
一方、大陸から北海道へ乾いた空気を運ぶ流れも見えますよね。
この流れが本州まで流れ込むようになれば・・・・秋なんですけど。
さて、今夜前線を活発にする上空の気圧の谷の様子。

浅~い気圧の谷なので、ベタっとたっぷりの雨を降らせるだけ前線を活発にすることはなさそうですが、それでも短時間に強い雨を降らせる程度に前線を活発化させることにはなりそうです。
で・・・雨が活発になる様子。

いつもと違う図を使いました・・・・12時間降水量です。
青の点線の内側が雨の可能性があるエリアで、青く塗ったところはそこそこまとまった雨が予想されるエリアと思ってください。
東北日本海側で降水量がまとまってくるのがわかりますよね。
掲載していませんが、明日朝までにはもう少し降水量は増えてきます。
ということで、いつものように東日本の降水のアニメ。

ここ2日間ほど、関東北部の降水はそこそこよい計算値が出ているのですが、北アルプスと北信五岳方面が少々過大な感じ。
今朝の計算値をどう見るか?非常に悩ましいところですが、富山県から北アルプスにかけての降水は昨日よりエリアも広く、多めに計算されています。
暖湿気の様子や大気の安定度も昨日とほぼ同様なのですが・・・・・・上空の気圧の谷の影響は・・・強くなさそうですし・・・
イイカゲンに断言できませんから、関東北部はそこそここれに近い状態になると思いますが、長野県付近は昨日同様、このアニメは夕立が発生する可能性が高いエリアと考えておくことにします。
その中でも特に夕立が発生しそうなエリアを赤の点線で・・・・

どうなりますやら・・・・???・・・
このあたりに着目して、実況重視・・・・レーダーで確認して対応するしかないようです。
(おすすめ携帯用レーダーサイト)
携帯用QRコード(サイト左下):http://www.river.go.jp/
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12時25分追記:昨日より雷雲が発達しているようです。ほぼ上記の赤点線のエリアですが、乗鞍周辺でも雷雲が発生しています。収束の程度から迷って赤点線を引きませんでしたが、いざ発達が強くなると定番の発生位置はやはり定番・・・でした。関東平野では東風が卓越していますが、今後東京湾付近で南の海風が入った場合にはゲリラ雷雨の可能性が高まると思います。南風が入るのか?入るとしてタイミングは?はわかりません。
レーダーでの実況監視しか対応策は・・・・・・
12時45分追記:昨日からの衛星の水蒸気画像をじっくりと観察していたら、高気圧の中心が西進するに従って、水蒸気の流入方向が西よりから南よりに変化して、ダイレクトに入るようになっていました。相当温位図やSSIに拘泥しすぎて???になっていましたが、今日のほうが雷雲が発達しやすいですね。ということは上のMSMの降水アニメに準じた雷雲の発生が・・・・・あるかな?・・・早合点は失敗のモトなんですけど・・・
17時05分追記:長野県内、昼過ぎから15時までは、昨日より活発に雷雲が発生していましたが、15時すぎには終息へ。上空に寒気がない熱雷の寿命は非常に短く、気温が下降に向かい始めるとみるみる発達が抑制されてしまいます。一方、関東では、埼玉県付近にゲリラ雷雨のタマゴ?が頻繁に発生していましたが(Xバンドレーダー)、場が南東の風で統一されており、南成分との収束がみられず17時までに気象庁レーダーに捉えられた兆候は15時過ぎに1回見られただけでした。夜にかけて陸風に転換し、東進する北部山沿いの雷雲の下降流との収束が発生するタイミングが残りのポイントです。
ということで、夕立のエリア・・・予報と同様「所により」以上のことはなにもいえません・・・・わからないものはわからない。
ですから、今日の天気予報は・・・・・こんなもんでしょうね。
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