2010年08月13日
天気予報は当たるのか?(8月13日)台風過ぎて前線が

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言

これ、霧ヶ峰の車山山頂にある気象庁のレーダードーム。
テレビやネットでみかけるあの気象レーダーの観測をしているところです。
無線オタクというわけではありませんが、なぜか海の通信士、空の特殊無線技士の資格を持っていて、とりあえずレーダーは多少使えるKasayan・・・・年に一度の公開があったので、高原ドライブを兼ねて見学に行ってきました。

これが、レーダーの電波の送受信機。
中にはマグネトロンという電子レンジのお化けが入っていて、レーダーの電波が作られてます。
上についている導波管という角型の筒は、レーダーの電波をパラボラアンテナまで送る役目をしています。
マイクロ波は、同軸ケーブルじゃなくて、水道のように金属の管を使って送るんです。

メーター類。周波数の遷移はゼロ。マグネトロンが安定して発振している証拠。
出力は250KW。アンテナの前は電子レンジ状態で被爆しちゃうので、立ち入り禁止で撮影はできませんでした。

そして、レーダードームから見た長野市方面。
レーダーの電波は直進性が強いので、見通しの効く雨雲しかとらえることができないわけですが・・・どのあたりの雨雲がとらえにくいのか?望遠レンズも使ってよーく観察してきました。

日本各地には、これだけ気象レーダーが設置されていて、データが合成されてそれぞれのレーダーの死角を補っていますが、山の多い長野県。
レーダーのクセをつかむのが夕立の早期発見のコツかもしれません。

見学を終えて見るレーダー画像・・・・ちょっと違って見えるような気がしてきます。
昨日通過した台風4号の雨雲は、すっかり東海上へ抜けましたが、朝鮮半島から日本海には怪しい雨雲。
明日は、レーダーが活躍するかもしれません。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

天気マークや予報文を読んでエリア分けすると、大きく北日本の安定した晴れエリアと、それ以外の不安定エリアにわかれるんですけど、山陰方面が曇りがちなんで、こんなエリア分けになりました。
安定・不安定が大きく分かれる東北南部付近・・・・このあたりに何かある・・・というわけですね。
曇りがちの山陰付近にも何かが・・・
エリア分けを意識しながら予想天気図を見ると、ちょっとだけ予想天気図を見る目が変わってくるはずです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

雲マークが左側ですから、曇りベースの天気。
台風一過にはなりません。
もっとも「時々晴れ」ですから、強い夏の日差しが出れば、晴れというイメージをもたれる方が多いでしょう・・・・気温も31℃ですし。
「所により夜雨」ということですから、どのあたり?どの程度?はチェックしておきます。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

太平洋側と日本海側に前線がありますけど、この二つの前線・・・本当はつながっているので、潜在的な前線が東日本付近にあるわけです。
だから東日本は曇りベースでちょっとだけ不安定。
山陰方面の曇りベースは、日本海の前線と低気圧の影響のようです。
そして、強い暖湿流が西日本へ・・・・上空の寒気はありませんが、湿った暖かい空気がぶつかる山で雷雨ということになりそうです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
まず、太平洋と日本海の前線、そして東日本の潜在的な前線の様子をチェックしておきましょう。

この図の矢印は地上付近の空気の流れ、緑の線は相当温位といって、雨の原料の程度を示したもの。
相当温位の線が混雑して急激に雨の原料の量が変化している所が前線の場所(密度差がある場所)です。
線が混雑したところ(相当温位集中帯)が東日本をしっかり横断していますから、そこには弱い前線があって曇りベース。
夕立もそこそこというところです。
この前線の南側は雨の原料が多いところになりますが、原料の量をもうちょっと詳しくみると・・・・

345K以上の数字は雨の原料がたっぷりという目安になりますが、西日本は350K以上の特に大きい数字になっています。
この空気が猛暑で温められて上昇すれば即夕立発生。
今日は西日本が特に不安定というわけです。
で・・・具体的な雨の様子。

雨のエリアもなんとなく東日本でつながっている感じがしませんか?
あと、太平洋高気圧の西の端っこには、いつものように暖湿流に伴う降水が点在しています。
では東日本付近をアニメで。

激しい雨があるというわけじゃありませんけど、関東北部や西部、長野県の高い山中心に降水が計算されています。
また、夜にかけて前線の強い雨域が北陸に迫ってくるのがわかります。
明日は北陸、ちょっとまとまった雨になるかもしれませんね。
ということで、今日の予報・・・「時々晴れ」が、時々くもり程度のイメージになるかもしれませんが、当たりでしょう。
「所により 夜 雨」もエリアが狭いようですから、マークだけで判断している人も、はずれと感じることはほとんどないでしょうね。
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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)