2010年08月15日

天気予報は当たるのか?(8月15日)北は大雨、猛暑も雷雨




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 これ、今朝5時発表の長野県の天気概況
 天気予報と同時に発表される、いわば予報官による天気予報の解説みたいなものですけど、これを読まない方が結構いらっしゃるのでは?と思います。

 アンダーラインの部分を読みながら実況天気図と、予想天気図を見れば、予報上ポイントとなる気圧配置に着目することができます。
 また、「午後はにわか雨や雷雨となる所」と書いてありますから、今朝の予報に「昼過ぎから雨」と書いてある「雨」は、ベタ雨じゃなくて「にわか雨」の事なんだな・・・・ということもわかります。

 気象庁HPの府県天気予報の末尾に掲載されていますから、天気チェックの際に目を通すのがおすすめです。

 気象庁府県天気予報http://www.jma.go.jp/jp/yoho/322.html

 ところで、「所により」とか「所があるでしょう」の「所」って、どの程度の範囲を指すんでしょう?




 予報用語の定義集からの抜粋ですけど、「対象予報区全体の50%未満」なんですよね。
 今日の予報では長野県全県に「所により雨」がついていますけど、長野県の半分弱で雨が降っても「所により」です。
 「所により」と書いてあっても、遊びに出掛けるときは、自分にゃ関係ないんじゃないの?なんて気持ちで予報を読んでしまいますけど・・・・・・50%未満ですよ・・・・
 どうすればイイんでしょう?

 ピンポイント予報を見る?
・・・・もしお隣のピンポイントエリアで雨が予想されていたら・・・・・天気はデジタル的に変化しませんよね・・・
 Kasayanなら、天気分布予報(メッシュ予報)を見ます。
 お隣のマス目に雨が予想されていないか?という目で見て安全マージンを考えるでしょう。

 天気分布予報http://www.jma.go.jp/jp/mesh20/207.html?elementCode=0

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日の単純なエリア分け。
 北日本や北陸には、昨日に引き続き「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第4号」が発表されています。
 また、気象情報の中には「東日本や西日本でも気温の上昇する午後を中心に大気の状態が不安定となって、山沿いを中心に雷雲が発達する見込みです。急な強い雨や落雷、突風に注意してください」と書かれていますから、太陽マークのエリアにも警戒の呼びかけが・・・・
 行楽シーズンなので、原文を読んで注意点など確認してみてください。

 大雨情報http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 太陽マークはあれど、雲マークが右側にありますから、今日も曇りベース
 雲の切れ間ができれば真夏の日差しですが、「昼過ぎ」・・・・結構早い時間からにわか雨の可能性が予想されています。
 昨日のにわか雨と比較すると、多少は少なめだとは思いますが・・・・・

 ただ、雨は少なめでも、今日は猛暑復活




 高気圧の縁に吹く南西風が吹くので、山の風下の各地でフェーン現象が発生
岐阜県の山越えの風が吹き下りる富山県、南アや秩父、箱根方面の山越えの風が吹き下りる山梨県や関東内陸部では、のきなみ35℃以上の猛暑日
 長野県北部では南部より高い32℃が予想されていますが・・・・日差しが強ければもっと上がる可能性だってあります。
 フェーン現象ですから、太陽が出なくても気温が上がります
「今日はくもりだから熱中症は大丈夫」なんて思っていると大変なことになりますから、ご注意を。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 天気図中のデッカイ暖湿流の矢印・・・これがポイント
フェーン現象による猛暑を引き起こし、前線付近では大雨を降らせる張本人です。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まずは、今日のポイント・・・暖湿流の様子から見てみましょう。




 日本海側を345K(ケルビン)以上の強い暖湿流が北上しています。
湿った空気の川みたいなものですね。
 昨日も書きましたが、こいつが山にぶつかったり、山々を迂回して合流したりして上昇気流が発生すれば雷雲発生・・・前線にぶつかれば発達した雨雲発生。

 具体的な今日の雨は?




 北日本方面の大雨・・・午前中は日本海側中心ですけど、午後から広いエリアでかなり活発になるようですね。

 そして東日本




 これはあくまで傾向だと思ってください。
 昨日は、長野県北部中心に、朝の計算値よりずっと多く、広い範囲で雨になりました。
 県境の高い山々中心ですが、発生した雨雲は上空の風で流されます
 上空の風も南西の風・・・北アルプス付近で雷雲が発生すれば、多少は弱まるものの県内に拡大しちゃいますよね。
 計算より多くなるのか同じなのか少ないのか?・・・計算値の限界に近いところなので・・・・・

15時30分追記:雷雲の発生のタイミングが今日は3時間ほど遅い感じがします。発生の程度については???ですが、発生位置については下の図の予想位置とほぼ一致しているようです。計算の限界ですね・・・・・。対策は、予想した発生位置を中心とした目視監視と、レーダーを使った実況監視しかなさそうです。

21時25分追記:今日の計算値は、昨日とは正反対に過大に計算されていたようです。暖湿流の中心が日本海を北上する傾向でしたから、東日本・西日本の暖湿流はその余波と考えてもよいものでした。
もっとも、山岳地帯では局地的に激しい雷雨が発生する可能性は十分に想定でき、長野県はまさにその山岳地帯に該当していました。また、お盆の行楽シーズンということもあって、気象台の雷注意報が午前9時台に早くも発表されていたことや、11時の予報内容を見る限り、計算値を割り引いて考えるということはしていなかったと思います。長野県の雷雨の予想の難しさと対応方法の困難さを実感したような今日の空模様でした。


 でも・・・それじゃ困るので、一応・・・・一応の目安になりそうな、雷雲が発生しやすい場所の予想をしてみました。




 赤の点線部分・・・湿った空気の流れが山で強制的に上昇させられたり、互いにぶつかって雷雲が発生するのでは・・・と思われる場所。
 関東付近は南風が強くフェーン現象が発生するので、ゲリラ雷雨の可能性は低いと思いますが、長野県内ではゲリラ的に発生する可能性もありますから、あくまで目安と考えて、気になる方は、携帯で見ることのできるレーダー画像でチェックしてください

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)