2010年08月20日

天気予報は当たるのか?(8月20日)昼間は暑く弱い夕立




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 これは、昨日午後3時長野市南部上空の雲の帯




 浅間山付近から長野市南部を北西方向に帯のように延びていました。




 この雲が発生していた時間帯の地上付近の空気の流れの様子ですが、ちょうどこの雲の位置で、浅間山や菅平の北側を通過する東風と、千曲川沿いの盆地を北上する南東の風合流(収束)していたようです。
 この雲、30分ほどでモクモクと積乱雲に発達して・・・・







 上空3000m付近の北風に流され、長野市の南側の千曲市付近で局地的な雨を降らせました。

 このところ、このブログでは風の収束を見て、雷雲が発生する可能性のあるエリアを考えていますが、レーダー以外ではなかなか検証ができません。
 目の前で収束線(シアーライン)による雷雲の発生を見ることができ、おもわず写真に収めてしまいました。
 
 こんな雲ができて成長しているようだったら・・・要注意ですね。

14時50分追記「高温に関する異常天候早期警戒情報」が発表されました。
高温に関する異常天候早期警戒情報(関東甲信地方)
平成22年8月20日14時30分
要早期警戒
警戒期間 8月25日頃からの約1週間
対象地域 関東甲信地方
警戒事項 かなりの高温(7日平均地域平年差+1.8℃以上)
確率   30%以上
 今回の検討対象期間(8月25日から9月3日まで)において、関東甲信地方では、8月25日頃からの1週間は、気温が平年よりかなり高くなる確率が30%以上となっています。また、この状態は8月28日頃からの1週間まで継続する見込みです。
 健康管理や農作物の管理等に注意して下さい。また、今後の気象情報に注意して下さい。
 なお、関東甲信地方では、昨日までの1週間、気温の高い状態が続いています。今後も1週目から2週目にかけて気温の高い状態が続く見込みです。


2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 パッと見ただけでは太陽マークが目立ってエリア分けなんて・・・・という感じがしますが、太陽が右側か左側かで分けると、こんな感じになります。
 昨日の記事でも書きましたが、東から湿った空気が流れ込んで曇りやすい場所と一致していますよね。
 
 エリア分けをする意味・・・エリアの境目の天気予報ってちょっとアヤシイ感じがしませんか?
境目あたりの気象台の予報官はどんなマークにするか悩んでいるはずですが、悩むということは・・・・アヤシイんですよね。

 また、エリア分けししてエリア名をつけて、なんとなく文章にまとめると・・お天気キャスターの全国天気の解説ができちゃいます。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 昨日より予想気温が高くなっています・・・・・関東地方より・・・・
東風で関東は冷やされますが、その風が志賀高原・碓氷峠・秩父の山々などを越えて長野県に吹き下りるとフェーン現象発生・・・・関東のエアコンの室外機?状態です。

 今日も「所により・・・雨・・・雷を伴う」がついていますが、昨日のように「激しく降る」は付いていません。
昨日よりは夕立の強さもトーンダウン
 ちなみに、関東では山沿いの地域にだけ夕立が予想されていて、「雷」という文字は一部だけ。
 この図のエリアの中では長野県が一番雷雨の可能性が高いようです。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 昨日と違うのは、北の高気圧の中心が東へちょっとずれて、日本付近の気圧的には勢力がやや後退していることと、等圧線の傾向が北東方向から近畿付近まで斜めになっているということです。
 このため、東海付近まで北東の風が吹いています。

 東海の猛暑日も今日はお休みという感じになりますが、湿った空気は南に出っ張った紀伊半島を直撃
 愛知県付近では長野県の昇温でできる弱い低圧部に吹き込む南風にのって湿った空気が吹き込んで、雲が多めで、山沿いではにわか雨も。

 上の全国天気のマークで、名古屋に傘マークがついて、浮いちゃっているのはこのためです。

 二つの高気圧のせめぎあいも今日で終わり・・・明日からは・・・・太平洋高気圧がぁ・・・・・・

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日も、まずは上空と地上付近の高気圧の様子から。




 北の高気圧が昨日より東へ移動していますよね。
 北日本には次の気圧の谷が迫っていて、明日以降、太平洋高気圧の北側を通る湿った空気が流れ込みやすくなって・・・下り坂へ
 高気圧のせめぎあいは終わって、東日本や西日本は、太平洋高気圧の影響で・・・・・以下省略。

 今日は上空と地上付近の気温の分布も見ておきましょう。




 西日本上空には-3℃とはいえ、周辺からは明らかに浮いている高温エリア(Wと書いてある)。
 太平洋高気圧と対応しています。
 地上付近は、東から18℃エリアが関東付近へ進入。
 地上付近を這うように流れ込むエアコンの風?・・・・南岸ほど線が西に折れ曲がっていますから、長野県には効果なし・・・・・です。

 横道にそれちゃったんで、二つの高気圧の影響で地上付近の風はどうなっているのか?雲の様子は?ということをまとめて図にしておきました。




 上の天気図のアニメそのままになっています。
 東日本太平洋側の雲量が多い・・・そして、東風がぶつかる東海付近と九州東岸付近に湿った空気の影響がありそうですね。

 次は、湿った空気・・・雨の原料が満タンになっているか?




 関東より西のエリアが満タンのようですから、あとはどこで蛇口が開くか?ですが、上の空気の流れや日照による気温の上昇なんかがヒントになりそうです。
 あと、SSIという発雷の指数・・・東日本は昨日ほど悪くない・・・・

 で・・・・降水の様子




 午前中を中心に東海付近と九州東岸で雨。
 午後長野県や山梨県付近中心の雨。

 東日本にズーム。




 計算されている降水は、昨日よりずっと減って、長野県付近に集中しています。
昨日のように、予報に「激しく降る」がついていない理由がわかりますよね。
 雷銀座の栃木県や群馬県の降水も、明らかに減っています。

 それでも、具体的に雷雲が「発生」する可能性が高いエリアを検討。




 一番上の写真のような雲の帯ができて、その中の最も発達する雲が積乱雲になるわけですが、赤の線に沿って雲の帯ができて、その中でポツポツと積乱雲に発生するものができるという感じでしょう。
 関東付近、海風次第で収束帯ができますけど・・・・順当に東よりの風で、ゲリラ雷雨の可能性は低そう・・・これで発生したらゲリラですが・・・

 発生した積乱雲を流す風・・・・




 昨日に引き続き、弱い北よりの風
発生した積乱雲はゆーっくりと南へ
 気象レーダーには南北の線のように、エコーが映るんじゃないかと思います。

 ということで、今日の予報も当たりというしかありませんが、夕立のレベルは小さくなります。
自分の頭上で夕立がなかったとしてもハズレじゃありませんし、天気マークだけしかチェックしていなくて夕立にあってもハズレじゃありません

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)