2010年06月13日

天気予報は当たるのか?(6月13日)西から下り坂


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 これ、昨日午後の衛星の可視画像




 昨日の午後、県内各地に雷雲になりきれない積雲がたくさん発生しましたが、結局雷雲になったのはほんの一部で、アメダスで観測できるようなまとまった雨も降りませんでした。
 もう少し発達するかと思ったんですけど・・・・雷雲の発生はある程度予想できても、発達の程度を予測しきるのは難しい・・・・・・
 警戒を要する情報ですから、空振りよりはマシですけど、もうちょっと勉強したいと思います。




 こちらは、今朝の赤外画像とレーダー画像
今日は西日本のこの雨雲がゆっくり東進して夜までには長野県までやってきます。
 動きが遅い雨雲がいつかかってくるのか?という予想は微妙にズレやすいのですが、いずれにせよ午後3時以降は覚悟しておいたほうが無難のようです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 西から下り坂ですから、中部地方の天気マークは「のち 雨」マークが多くなっています。
「のち」のタイミングが今日のチェックポイントですね。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 で・・・長野県の予報文の「のち」のタイミングは北部と中部で「夜」、南部が「夕方」になっています。
何度も書きましたけど、予報用語で「夕方」は午後3時~6時、「夜」は午後6時以降
 日の入りが遅くなっていますから、普段感じる文字のイメージよりちょっと早めに降り始めるというイメージになるかと思います。
 降り始めの様子、詳しくチェックしておくことにします。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日の雨の原因は、南岸を進む前線のキンク部(折れ曲がったところ)に吹き込む湿った暖かい空気(雨の原料)。
 キンク部がゆっくり東へ進むにつれて雨のエリアも東へ。

 昨日、九州が記録的に遅い梅雨入りをしましたけど、梅雨前線が日本に横たわるいつもの梅雨とはちょっと異なる梅雨前線のカタチです。
 今日、明日にかけて西日本や東日本の梅雨入りが予想されていたりしますけど、どうなるんでしょう?

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 このところ、天気変化が遅かったのは地上の天気の変化に作用する上空の流れが蛇行していたせいですけど、ゆっくりですが蛇行は解消傾向




 上空の天気図の折れ曲がり(等高度線といいます)が西からゆるやかになってきています。
 書き込みの線の南側あたりにやや強めの空気の流れがあるのですが、この流れに沿って明日以降、梅雨前線が東西に横たわるようになれば、胸をはって梅雨入りといえそうです。

 さて、一番気になる雨のエリアの動きを見ておきましょう。




 動きが遅ーいですね。
 九州方面の大雨は回復に向かいますが、四国や紀伊半島中心にまとまった雨。

 で・・・・県内はどうよ?




 計算値では午後3時頃から降水エリアが拡大して夜9時頃には全域へ
 もっとも山の多い長野県・・・前線に近い愛知県付近とは異なって、長野県北部への降水域の拡大は山に妨害されて中途半端。
 盆地ごとに微妙な降り出しの違いがありそうです。




 今日の雨、南東方向から流れ込む湿った暖かい空気がそのパワーの源。
 長野県付近に流れ込むには南アや中アが邪魔になります。
 北部にまで達するにはさらにハードルが多いですから、北部の降りだしはかなり遅くなるかもしれません。

 今日の長野県・・・すでに雨雲に先行して上空の雲がかかっています。
今朝は県内各地、すでに流れ込んでいる湿り気でもやっていますが、これがとれれば白い空の晴れになるはずですが・・・・その前にもう少し低い所の雲がやってくれば晴れ間が広がる暇もなく曇り・・・そして雨へ・・・・(これ悲観的な見方の場合)

 昼前に晴れ間が出る可能性は十分ありますから、予報は当たりと考えてよいと思います。
 もっとも、晴れ間が出たらラッキーくらいに考えて、南部では降り出しのタイミングを日の入りよりちょっと早めに考えておいたほうが無難かもしれません。

 オマケ




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2010年06月12日

天気予報は当たるのか?(6月12日)今日も夕立?


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 九州南部や奄美地方には大雨に関する情報が発表されています。
「九州南部では、12日昼前から13日明け方にかけて、局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降るおそれがあります。土砂災害、河川の増水やはん濫、低地の浸水に警戒が必要です」
 口蹄疫の感染が拡大して、大変な宮崎県では明日午前6時までに250ミリの雨量が予想されていて、教科書的には200ミリ越えで多く発生する土砂災害の危険が高くなっています。




 今日にも梅雨入りするといわれている九州方面ですが、大雨が口蹄疫の感染と関係しないのか?全くわかりませんけど、せめて土砂災害くらいはおとなしくしていてほしいものです。

 長野県も山々にたくさんの牧場がありますけど、口蹄疫を警戒して山菜とりや行楽の立ち入りが制限されているところが多いようです。
 のんびりと牧場でワラビ取りなんかしたいものだと思っていましたが・・・残念です。


2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 九州(山口を含む)・四国方面・・・梅雨入りの気配を感じさせる傘マークですけど、予報文を読む限り、「・・・・ から 雨 所により 夜遅く 雷を伴い 非常に 激しく 降る」というような厳しい予報が出されているところも。
 その他の夏晴れエリア・・・西日本や東日本では30℃前後が予想されていて、予報文には「所により 夜 雨」とか「雷」という文字がチラホラ・・・夕立の可能性もありそうです。
 夏晴れエリアのど真ん中の長野県・・・夕立の可能性・・・十分にありそうですね。
 
3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 やっぱり中部に「所により夕方から雨」がついていました。
北部と南部の「昼過ぎから時々くもり」も、モクモクとわいてくる雲をイメージしていたほうがよいかもしれません。
 また、中部の予報文に「雷」の文字はありませんけど、十分可能性はあるでしょう。
今年一番の暑さになるかもしれない今日の夕立発生エリア・・・あとで詳しくチェックしておきます。

 ちなみに、お隣の群馬県、埼玉県、山梨県には夕立が予想されています。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日のポイントは南からの暖湿流・・・・雨の原料の流れ込みです。
 ピークのエリアは九州方面ですけど、東日本にもジワリジワリと暖湿流流入。
 雨の原料を含んだ空気が上昇すれば、モクモクの雷雲発生です。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 さっそく、今日の降水の予想計算値を見てみましょう。




 九州方面、黄色で塗られた強い降水が予想されています。
 今日の一言に書いておきましたけど、大雨注意ですね。

 一方東日本方面、21時の予想図には青色の降水エリアが予想されています。
 ちょっと拡大してみましょう。




 午後3時頃から雲が湧きはじめて、午後6時頃には山梨県から諏訪方面にかけて降水が計算されています。
 さらに夜9時になると、山梨県から東京多摩西部、北関東、そして長野県では中部と北部志賀高原方面に拡大
 ご存じのように雷雲は発達したり弱まったりしながら、移動しますから、あくまで傾向です。

 いずれにしても、予報は中部だけに夕立を予想していますけど、高い山を中心に北部や南部でも空模様には気配りをしておいたほうがよさそうですよね。

 この夕立の原因は南から流れ込む暖かく湿った空気・・・・・




 日中の気温上昇松本方面に弱い低圧部ができて、そこに南の湿った空気と日本海からの比較的冷たい空気が集まって・・・・上昇気流発生・・・・モクモク雲が発達という構造のようです。
 今日は雷雲を流す上空の流れがかなり弱め。
 サッと通り過ぎるというカタチにはなりにくいかも・・・・その場で発達・衰弱という感じかもしれません。

 九州方面で大雨が予想されていますから、原因の暖湿流の様子も見ておきましょう。
明日以降の県内にもさらに影響してきますから・・・




 明らかに暖湿流の強いエリアは九州方面ですけど、これが明日にかけてゆっくりと東へ進んできます。
 明日のチェックポイントも、この暖湿流になりそうですね。

 そして、天気変化遅し・・・・




 相変わらず、地上の天気変化に影響する上空の等圧線(等高度線)は蛇行したまま・・・・変化小。
 明日以降だんだん蛇行は解消される傾向ですけど・・・・蛇行解消前に今夜九州方面には上空の気圧の谷がやってきます。
 この谷の東側上空では空気が発散しますから、地上付近では空気が収束・・・上昇気流が発生
 上昇気流が発生すれば雷雲ができ、上昇気流で空気が足りなくなれば周辺からまた湿った空気が流れ込む・・・・・

 さて、今日の天気予報・・・中部は当たりですけど、北部と南部に夕立が予想されていません。
予報はエリアの平均的な天気を表現していますから、これでも良いと思いますけど、夕立が無いと考えないで、北部や南部でも夕立の可能性は十分にあると考えておいたほうが良いと思います。

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2010年06月11日

週末の天気は?(6月11日)


 今朝、ブログ更新ができなかったので、今夜は明日からの週末の天気をチェック

 土日も朝に、当日の天気を詳しくチェックするので、大ざっぱな流れだけ見ておきます。

 まずは、いつものように、気象庁発表の全国の天気から・・・・広いエリアからチェックしていくのが王道です。







 傘マークが12日土曜、13日日曜と東へ拡大するのが分かります。
 西日本は日本海側まで傘マークがついてますけど、東日本は太平洋側だけ。
太平洋側を通過する(梅雨)前線の影響がどこにおよぶのか?天気マークの並びに現れていjます。

 この傾向を頭に入れておいて、長野県周辺にズーム。







 全国天気の傾向そのまま、明日12日土曜日は今日同様初夏の陽気・・・太陽マーク中心の晴れベース。
もっとも、長野県中部には「所により 夜 雨」がついています。
 今日は夕立がありませんでしたけど、明日は大気が不安定になる原因が発生するというわけです。
 ここ数日の夕立は上空の寒気でしたけど・・・・寒気は抜けたはず・・・・理由はなんでしょう?

 そして、明後日13日日曜日は・・・前線の影響を受けやすい中南部に傘マークがついています。

 以上の天気マークを思い浮かべながら土日の天気図を見てみましょう。




 明日太平洋と日本海のある高気圧にはさまれて日本付近は基本的に晴れ
ただ西から低気圧や前線がゆっくりと進んでくるので西から下り坂
 ところで、明日の夕立の予報・・・明日は本州が二つの高気圧にはさまれて東日本はよわーい気圧の谷ともいえます。
このため、太平洋から湿った暖かい空気が流れ込みやすくなり、さらに強い日射で気温上昇
上空に強い寒気はなくとも、相対的に大気が不安定になって、夕立が予想されているようです。

 もっともこのアニメじゃ具体的な雨のエリアが分かりにくいので、日曜朝までの降水のエリアも描かれている専門の天気図も見てみましょう。




 青の線の内側(傘マークをつけておきました)が雨の可能性があるエリア。
 ゆーっくり西から拡大して、太平洋側ほど雨の可能性が高いことがわかります。

 さて、ここまで、ご覧いただければ、週末の天気の概要はつかめると思います
ここからはKasayanの備忘録を兼ねた「放談」になりますから、興味ある方だけどうぞ・・・・・

 ということで・・・・しっかし・・・・天気の変化遅いですねぇ・・・・・




 これ、天気の変化の速さに影響する上空の天気図ですけど、上空の等圧線(等高度線)が蛇行しています。
 ブロッキング高気圧といって上空にも動きの遅いしっかりとした高気圧ができているので、変化おそし。
高気圧の動きが遅いので、その西側に控えている上空の気圧の谷・・・・地上の低気圧を発達させる原因になるものですが・・・・もなかなか東へ進めないという状態。l
 いつも書いていますけど、こんなときは天気変化のタイミングの予報がはずれやすいんですよね。

 そうそう・・明日の夕立の様子もチェックしておきましょう。
まずは、湿った空気が流れ込む様子




 明日朝まではそれほどでもないようですが、明日午後からは九州方面に強い暖湿流が流れ込み始め、東日本にもそこそこ湿った空気が流れ込み始めるようです。
 この図は暖湿流(雨の原料の量)を示した図ですが、特に線が混雑しているところの南側が前線と対応。
 西日本は雨の原料が大量に流れ込み始めるようですが、東日本はそこそこ流れ込むという感じですね。

 で・・・明日夕方・・・夕立の降るエリアは?




 長野県付近、太平洋の高気圧から流れ込む南風と日本海の高気圧から流れ込む北風がぶつかるエリア
 ぶつかるエリアで上昇気流が発生し、長野県中部(八ヶ岳方面?)に降水が計算されています。
気温も今年一番の暑さが予想されていますから、気温上昇による上昇気流もあいまって、夕立ということになるようです。
 詳しくは明日朝・・・・キチンとチェックしたいと思います。

 いずれにせよ、梅雨前の行楽を考えるなら、明日土曜日
もっとも中部だけじゃなくて南部でも夕立の可能性があることは忘れずに!
  


2010年06月10日

この先一週間の天気?梅雨入りは?(6月10日)


 明日、11日(金)の朝の更新ができないかもしれないので・・・・・・

 今夜のうちに、気になる梅雨入り(このフレーズ、天気予報が煽っているような気がしてならないのですけど)も見据えつつ、向う一週間の空模様の図を掲載しておきたいと思います。

 図の計算値の初期時間は9日21時、図の内容は午前9時の地上気圧・風・1時間降水量です。
 図の右下にある天気マークは長野県の週間予報の天気マーク
 日々の天気予報では、長野県の南部と北部では天気が全然異なることも多いのですが、週間予報は長野県全体を天気マーク一個で予想されているんですよね。
 ですから、長野県全体の平均的な天気傾向くらいのつもりでみておかないと失敗します。

 気圧配置も雨のエリアも時々刻々と動いています。
 図の午前9時の様子がそのまま一日の様子を表しているわけではありません。
 前後の日の雨エリアの様子を横目で見つつ、「流れで」天気傾向を把握して見てください
 もちろん、雨エリアの周辺には曇りエリアがあることも忘れずに・・・・そして、12時間程度進行がズレたり、前線や低気圧の位置もズレることも・・・・・













 九州や四国方面・・・近畿?はこの週末あたりに梅雨入りしそうですけど、東日本まで梅雨入りの判断が下されるのか?
こればっかりは、予報官の胸先三寸なんでKasayanにはわかりません。
 長野県の平年の梅雨入りは6月8日・・・もう過ぎていますけど・・・・

 気象庁発表週間予報http://www.jma.go.jp/jp/week/322.html

 最後・・・ちょっと低温傾向だった長野県の5月の気象状況の速報が長野地方気象台から発表されています。
 リンク先のURLを掲載しておきますので、農作物の生育等、気になる方はリンク先をご覧ください。

 長野県の農業気象速報(旬報): http://www.jma-net.go.jp/nagano/junpou/index.html


 できれば、明日(11日金)夜に週末の天気について「放談」したいと思います!

  


Posted by kasayan at 20:20Comments(0)今週の週間予報は?

2010年06月10日

天気予報は当たるのか?(6月10日)若干不安定?


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 この写真、6日(日)の朝、千曲川堤防から撮影した北アルプス
このところ、大陸からやってきた乾いた高気圧に覆われていたので、比較的空気が澄んでいて、晴れると長野市内からも北アルプスが良く見えていました
 これからは空気が湿ってくるので、北アルプスが綺麗に見える日も少なくなりそうです。

 ところで、今日も気象庁がプロ用に発表している短期予報解説資料には・・・・
「最新のGSM を採用するが、不安定による降水については予想が不確実なため、MSM も参考にする。華中~東シナ海にのびる前線、低気圧についてはイニシャル変わり、モデル間の予想に違いがあるため留意。」
 と書かれています。
 昨日、長野市内でも路面が濡れるような夕立は予想できませんでしたが、今日の気象庁も不安な言い回しをしています。
 寒気が抜けているので、夕立は関東以北が中心になると思いますが・・・・・・日中夏のような暑さになって、山沿いにモクモクとわき上がる雲が見えたら、ご用心。
 県内は大丈夫だとは思うんですけど・・・・・一応・・・・です。

 梅雨前線の動きも微妙・・・・来週は梅雨入りだと思いますけど・・・・・

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 西日本は太陽マーク一発で予報文にも「雨」や「雷」という文字は見当たりません
一方、不安定エリアに分類したエリアでは、予報文にこれらの文字が散在
 長野県は?

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 県内の予報文に「雨」や「雷」という文字はありません
「所により」もなし

 もっとも、お隣の岐阜県には「所により夕方 から 夜のはじめ頃 雨 で 雷を伴う」がついています。
山梨県中西部にも「夕方 から くもり 所により 雨」で、群馬県北部も「利根・沼田地域 では 昼過ぎ から 夕方 雨 で 雷を伴う」・・・さらに埼玉県秩父地方も「夕方 から くもり 所により 雨」・・・静岡県も・・・・

 長野県は北陸を除いて夕立の”可能性”に包まれています
 これをどう考えるか?は、楽天的か悲観的かの性格や、雨に降られちゃ困るという必要性の度合いで決まってきますけど・・・・・あなたならどう考えますか?

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日の夕立の可能性は、寒気が残る関東以北が中心になりますけど、お隣の中部地方でも日中気温が上昇すれば、すくなくとも高い山沿いでは風の吹き方次第で上昇気流が発生して夕立の可能性があります。
 なかなかズバリとはいかないんですね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 やっぱり今日も大気不安定の原因になる寒気の様子からチェック開始。




 渦を巻いていた寒気のカタマリ(寒冷渦)は東海上へ抜けちゃっていますけど、東北から関東にかけては同じ気温の寒気が残っちゃいます。
 このエリアで大気不安定の可能性有り。

 不安定の程度の指数をみると・・・




 東北太平洋側の内陸部中心に不安定ゾーンが計算されています。

 さらに、地上付近の風の流れを見てみると・・・・・




 赤の点線で示したラインの所で、太平洋側と日本海側からやってくる風が集まっています。
例によってぶつかった風は上昇するしかないので上昇気流発生
 寒気の影響を受け、上にモクモクと延びる雷雲発生という流れになりそうです。

 収束のラインの西の端っこが長野県南部付近まで・・・・うーん?あやしい?

 で・・・いつものように、具体的な降水の計算値を見ると・・・・・




 ちょっと分かりにくいですけど、関東以北に降水が計算されています。
時系列で見ると午後から。

 長野県付近では・・・・




 風が集まりやすいエリア・・・南アや八ヶ岳方面に降水が計算されていますね。
降水が南へのびている傾向も。
 
 雷雲を流す上空3000m付近の風の流れを見ると、




 真北の風・・・長野県方面には流れにくい傾向。
 これを考えると、県内の夕立の可能性はかなり低く、上の図のエリアから県内に拡大しないとも思われますが・・・・・
 反対に岐阜県方面からの流れ込みは?

 今日の予報・・・・確かに朝のもやや霧がとれれば、昨日のような晴天になると思うので、基本的に当たると思いますが・・・・予報のように夕立は無い!とKasayanには言い切れません
ただ、じゃ、どうなるの?といわれると「わかりません」が正直なところ
 昨日より可能性は低くなっていますけど、県東部の高い山で雲が湧くようなら、また、岐阜県方面から雲が流れてくるようならちょっと用心したほうが良いと思いますけど・・・・・

17時10分追記
 佐久方面、南ア方面に雷雲が湧きはじめています。
 県東部でしたね・・・・。雷注意報は17時現在発表されていませんが、これから夜にかけてモクモク雲が湧いてきたら要注意!





 レーダー:http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/

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2010年06月09日

天気予報は当たるのか?(6月9日)ハッキリしない天気続く


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 今朝の衛星画像・・・南海上には低気圧や前線のハッキリした雲が見えますが、基本的に日本付近は高気圧の雲の無いエリア・・・なんですけど・・・・

 赤の点線で囲んだエリアに比較的背の低い雲のカタマリがあります。
今朝、東日本中心に雨を降らせている雲ですが、これをアニメーション(気象庁HPでアニメで見ることができます。下のURLをクリック)で見ると、ぐるぐると反時計回りに渦を巻いています。
 気象庁衛星画像http://www.jma.go.jp/jp/gms/

 寒冷渦と呼ばれる上空の寒気のカタマリの渦によってできる雲。
今年の4月から、この寒気のカタマリが何回もやってきました。
 いつもより回数が多いんじゃないかな?なんて思うのですが、この寒気がやってこなくなると、もう梅雨です。
 6月8日の梅雨入り平年日を過ぎてしまった長野県ですけど・・・・・・

2、全国の予報
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天気の変化は他県からやってきます。





 今朝はどうやってエリア分けしようかと迷ったのですが、エイやっ!と線を引いてしまったので、細かな傾向は上のリンクから気象庁のHPをたどって、各地の予報文を読んでください。
 不安定エリアも西から回復に向かいますけど、回復して晴れれば気温上昇・・・上空の寒気が抜ける傾向でも相対的に不安定になって、にわか雨の可能性が出てきます。

 昨日に引き続き、プロ用の「短期予報解説資料」には・・・
「日本付近の降水については予想やや不確実。実況とのズレを考慮し、MSM も参考にする」なんて書かれています。
 予想も不安定・・・・不安定エリアの雨の予想は相変わらず安全マージンをとる必要がありそうです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 予報文を読むと、昼過ぎ=12時~15時の間に晴れ間が出てくる予想になっていますが、「所により」の雨は「夜のはじめ頃まで」・・・ということは夜9時頃まで雨の可能性が予想されています。
 午後回復に向かうけど、雨の可能性は夜までということは、回復がスムーズじゃないっていうことになります。
 はっきりしない天気・・・というはっきりしない表現?がピッタリのイメージでしょう。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 北海道はサハリン付近の低気圧から延びるシアーライン(風が集まる所)の影響でやや下り坂ですけど、こちらは横目で見る程度にしておいて・・・・・
 昨日に引き続き、今日のポイントも、東日本をゆっくりと通過する上空の寒気です。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 先週から似たようなことばっかり書いていてマンネリ気味なので、どうして寒気がカタマリになって居座ったり、天気変化が遅いのか?
 上空の空気の流れと地上付近の空気の流れを見てみましょう。







 上の図・・上空の気圧配置と空気の流れと下の図・・・地上付近の気圧配置と空気の流れ・・・なんだかよく似ています
普通、上空の空気の流れが地上付近の気圧配置を変化させる役目を果たしているんですけど、地上も上空も似た空気の流れになっているので、地上の気圧配置もなかなか動きません。
 上空の流れがいつも以上に蛇行しているので、こんな傾向になっちゃっています。

 ちなみに、南海上の雨は南岸の低気圧の影響、東日本の雨は上空の低気圧(寒冷渦)の影響という区別がよくわかりますよね。

 さて、いつものように、東日本中心の不安定をもたらす寒気の様子




 川でも空気でも流れが蛇行していれば、曲がり角に渦をまいたよどみができますけど、それが東日本へ進んでくる寒気
 不安定の原因は居座り続けます。

 で・・・不安定による雨は・・・・
今朝のレーダー画像と、夕方の予想をまとめて見てみましょう。







 なんかほんのちょっとだけ雨のエリアが関東方面に南下しただけという感じですよね。
これだけ天気変化が遅ければ計算値の小さな誤差が大きく影響してしまいます。
 
 で・・・・今日の予報・・・・天気マークには太陽マークがついていますが、これに期待しすぎると失敗する可能性があります。
 予報がはずれるとまではいいませんけど、中部や南部では太陽マークをうんと割り引いて考えておいたほうが良いと思います。

16時30分追記:南部や中部と書きましたが、実際は北部で夕立になっちゃいました。
雷注意報も発表されています。
ここまで雷雲が発達するとは思いませんでした・・・・完敗・・・・来年への蓄積にしたいと思います。


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2010年06月08日

天気予報は当たるのか?(6月8日)はっきりしない天気


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 この図、短期予報解説資料といって、気象庁が予報を出すにあたって、このように天気図を解析しましたという理由を簡単にまとめた資料に添付されている図です。
 
 中国大陸に「FT24頃顕在化」と書かれている停滞前線がありますが、これがにわかに天気予報の週間予報で話が盛り上がりつつある梅雨前線
 週末にかけて日本付近に接近しそうなので、「梅雨入り間近か?」なんて話題になっているんですけど・・・・

 このブログではこの図の下に書いてあったフレーズに着目・・・・・・
寒冷渦による降水域や降水量の予想は、GSM とMSM で微妙に異なっており、これまでの実況からはどちらが優位とも言い難い
寒冷渦の東~南東象限にあたる、西・東日本では、両モデル、前イニシャル等を参考に、8 日は広い範囲で降水の可能性があるものとして考えたい

 なんとも、心もとない表現ですよね。
 昨日のこのブログの記事にもGSMとMSM両方の降水の予測を掲載しましたが、二つのシュミレーションプログラムの計算値が異なり、なんとも情けない判断になっちゃいましたけど、気象庁も悩んでます
 ということは・・・・天気予報を見るときには安全マージンをとっておくのが吉ということですね。

 良い方向に実況が変化したら?・・・ハズレじゃなくてラッキーと思いましょう・・・・・

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 北と南に太陽マークがありますけど、西日本・東日本は雲マーク中心
関東に傘マークがありますけど、細かく見ていくと、太平洋岸に傘マークが散在しています。
 南ほど天気が崩れる傾向です。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 南部は「朝から」、中部は「昼前から」、北部は「昼過ぎから」・・・・南から順番に模様。
もっとも県内全域に「所により」がついていて、なんだかあいまい。
 短期予報解説資料に書いてあった「広い範囲で降水の可能性があるものとして考えたい」を考慮しているなら、「所により」は広めに考えておいたほうがよさそうです。
 もちろん、不安要素はあっても計算値はキチンとチェックします。

 ちなみに、予報用語で「朝」は6時~9時、「昼前」は9時~12時、「昼過ぎ」は12時~15時を意味します。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 昨日同様、南岸の低気圧と前線の影響+上空の寒気の渦がぐずつく原因
 先週の計算値と比べて低気圧の位置が若干南よりになったので、強い雨の影響はなくなって南岸ほどぐずつくという傾向になっています。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、雨の原因の一つ、南の低気圧と前線の様子




 特に湿った暖かい空気(雨の原料)は赤の線のところ・・・・温暖前線のちょっと北側の南岸までしか北上してきていません。
湿気は多くなってきますけど、太平洋岸でも気温が高くてムシムシという感じにはならず、東よりの涼しい風が入って肌寒く感じるかも?

 続いて、もう一つの雨の原因・・上空の寒気




 -12℃の寒気がブチッとちぎれて塊になって日本海を東進
 この寒気がフワフワと漂っているので、風船を捕まえにくいように計算値も定まりにくくなっています。
 寒気が入ってくれば大気は不安定になりますが、今日地上付近は雲に覆われ、気温上昇も少ないので、雷が鳴ってドバッという感じにはなりにくいでしょう。

 で・・・具体的にどう雨が降るのよ?ですが・・・




 午後9時の12時間降水量では、青の線の内側が雨の可能性があるエリア
 この範囲がぐずつきエリアで、一つ内側の黒の点線部分がぐずつくというよりはしっかりした雨というイメージになると思います。

 大ざっぱに見ておいたので・・・・6時間毎のいつものMSMの計算値






 結局、天気マークのぐずつきエリアでは、一日「ぐずつく」としかいいようがありません
もちろん、南ほど・・・ですけど。

 今日の天気予報、キチンと「所により雨」がついていますから当たると思いますが、雨の降りだしは多少ズレる可能性は見ておきたいところ
 北部では「昼過ぎから」になっていますけど、出かけるなら空振り覚悟で折り畳み傘持参がおすすめでしょう。

 最後に今日の空気の流れの様子をオマケにつけておきます。





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2010年06月07日

天気予報は当たるのか?(6月7日)西から再び不安定に


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 この降水量の予想図は、いずれも昨夜12時の予想降水量ですが、計算の初期値(観測に基づく計算のスタートライン)毎に九州方面の降水量の計算値が次第に多くなっていることがわかります。

 計算値がこのように変化するにしたがって、気象庁発表の予報も変化していきました。
 計算値には限界がありますから、予報の修正で対処するしかありません
 これ以上の精度を上げるのなら・・・事業仕分けでスパコン導入にたくさんお金をつぎ込むしかないでしょう。

 これからの季節、梅雨前線の位置がほんの数十キロずれたり、弱い気圧の谷の影響がこれに重なったりすると、実況と計算値を再検討して、一日の中でも予報が修正される可能性が高くなってきます。

 天気予報は、基本的に朝5時、昼前の11時、午後5時の3回発表されます。
いずれも朝、昼、夕のニュースや天気予報に間に合うように、発表されていますから、朝見た天気予報の内容は昼に修正されているかもしれません。
 これからの季節は、天気予報が発表されるタイミングにあわせてコマメな天気チェックが、天気で失敗しない秘訣です。

 ちなみに週間予報は毎日午前11時と午後5時に発表されますから、朝の週間予報は今日・明日を除いて前日午後5時に発表された古い予報
 早くチェックしたいなら、午前11時を待ってチェックするのがおすすめです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 このエリア分け、予報文に午後以降に雨が予想されているかいないかで、およそのエリア分けをしたものです。
 天気マークに傘がついているのは、この図では四国と沖縄、小笠原だけですけど、予報文ではかなり広いエリアで雨の可能性があるということが分かります。
 天気マークだけチェックするのは・・・・・・ですね。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 全国の天気マークの図では不安定エリアと晴天エリアの境目にあたる長野県
日中は晴れベースで、昨日なみの気温が予想されていますが、南部だけ「所により雨」がついています。

 どのあたりで降るのよ?
 先週の夕立連続モードを彷彿させますが、このあたり詳しくチェックしておきましょう。
 
4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 長野県はどちらかといえば、北日本の高気圧の勢力範囲ですけど、西日本の気圧の谷+寒気+南の低気圧と梅雨前線の3点セットの影響を微妙に受ける位置にあります。
 今日の一言じゃありませんけど、夕方の天気が気になる方は11時の予報は一応目を通しておいたほうが安心でしょうね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日、長野県に悪い方向で影響する「西日本の気圧の谷+寒気」の様子から。




 今週も寒気の様子からスタートするんですねぇ・・・・ちょっとウンザリですけど・・・・・
 先週の寒気よりちょっと弱めの寒気のカタマリが九州方面にゆーっくりと近づいてきます。
この寒気のカタマリ、寒冷渦といって反時計回りにグルグル回っています。




 この図で青く塗ったところが上空の低気圧で、上で見た寒気のカタマリの位置と一致します。
寒気のカタマリが低気圧の渦になっているから寒冷渦
 地上付近では低気圧になりきれず気圧の谷として天気図に現れる傾向があります(上の天気図のアニメにありましたよね)。
 この寒冷渦の影響で西日本は大気不安定・・・「昼過ぎ(または夕方)から雨」の原因になります。

 九州方面はさらに南の低気圧や前線の北側の雲の影響も重なるわけですが、具体的な雨の様子を確認してみましょう。

 まず、広い範囲とちょっと長めの時間帯(12時間降水量)で確認。




 青く塗った点線の内側が雨の可能性のあるエリアですが、さらに一つ内側の点線の部分が「雨」という印象が強く感じられるエリア(経験上そうなるんですよ・・・ほぼ)。
 九州四国方面は一日ぐずつき気味という感じでしょうね。

 一方、長野県はといえば、青の点線の東の端っこ・・・・微妙なエリア・・・

 そこで、長野県付近を拡大して1時間降水量で細かく見ると・・・・




 これは15時の計算値ですけど、南部中ア・南ア付近で弱い降水が計算されていますが、非常に微妙

 この時間の別のGSMという計算値も見ると・・・




 南部、木曽方面に弱い降水が計算されています。

 これをどう見るか?・・・・正直なところ「所により雨」程度以上はなんともいえません

 これじゃしょうがないので、この雨のメカニズムも考えてみますか・・・・・




 日中の気温上昇で発生する上昇気流の影響で、松本盆地付近に熱低気圧(ヒートロー)が発生。
この低気圧に吹き込む駿河湾方面からの湿った暖かい空気御嶽山や中アにぶつかって上昇
上空に入りつつある弱めの寒気の影響で木曽谷周辺で”プチ”夕立発生というところだと思うのですが・・・・

 今日の天気予報、北部と中部(南西部は除く)の予報は当たると思います。
もっとも、南部の予報、「所により」がついていますから、比較的広めに降ろうが限られたエリアで降ろうが当たるということにはなりますけど、南部の西のエリアや中部の西側山沿いでは一応、小さな夕立の可能性は気にしておいたほうが良いと思います。

 ちょっと情けない内容になっちゃいましたけど、先週に引き続き、レーダーで実況監視が一番役立ちそうです。

レーダー: http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/


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2010年06月06日

天気予報は当たるのか?(6月6日)安定した晴天へ


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 県内各地、今朝は10℃前後
青空も広がって、さわやかな朝と感じている方が多いと思います。
 6月6日に雨ザーザー降ってはきませんでした。

 標高の高い長野県、内陸ということもあって朝昼の気温差が大きいので、夏でも朝はさわやかに迎えられるわけですが・・・・・・




 昨日の松本と東京の気温のグラフですけど、松本の気温差が15℃に対して東京は6℃
東京の2倍の気温差!!
 さわやかですけど・・・長野に住んでいるっていうことは、温度耐久試験を受けているようなもんですね。

 久々に安定した晴天・・・日曜・・・Kasayanもサッサとブログを書きあげて出かけることにします。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 この一週間、大気不安定のエリアが西から東へ移動し、昨日東日本を抜けて行きました。
今日は広く安定した晴天エリアになるわけですが、反対に昨日まで安定していた九州方面に傘マーク
 福岡の予報文には「・・・雷を伴う」がついています。
 また西から寒気でしょうか?

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 大気不安定でなくなると、予報文も実にシンプルになります・・・「晴れ」だけ。
南部だけ「夜くもり」ですけど、降水確率10パーセント・・雨の心配はなし。
 「のち南の風」ですから、湿った空気が太平洋から流れ込むためでしょう・・・ちと気にはなりますが・・・南ア方面の天気が。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 高気圧が三陸沖に抜けると、西日本が二つの高気圧にはさまれた弱い気圧の谷に。
朝鮮半島付近にある高気圧上空には寒気があって、気圧の谷とあいまって九州北部方面の大気が不安定になるわけですね。
 この弱い気圧の谷の影響で、西日本中心に夜にはくもり
 もっとも、弱い気圧の谷ですから、天気を崩すまでは至らないようです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 久々に今日は県内で雨が降らない・・・という確認から始めてみましょう。




 午後3時、昨日まではモクモク雷雲が湧きはじめていた時間ですけど、今日はさっぱりと綺麗なもの。
重箱のスミをつつき破れば?、山梨県や南ア付近に弱い降水が計算されています。
 誤差程度のものだと思いますけど、南から湿った空気が流れ込む傾向であることは確か。
 普段の生活では気にする必要はないと思いますけど、南ア方面の登山をするなら、午後から実況重視といったところでしょう。
 なにせ山の天気ですから。

 九州方面、計算値としては非常に弱いですから空振りの可能性・・・あるかな?

 本当はここで終わりにしちゃいたいんですけど、一応、大気が安定してきたか?ということも確認しておきます。
 県南部の弱い降水が気になるので・・・・




 例によって、大気不安定の原因、上空の寒気の様子ですけど、昨日まで不安定をもたらした寒気は東海上へ。
 反対に先週よりは3℃ほど高めの寒気が九州方面へ
 気温が上昇するので相対的にそこそこ不安定になるのでは?

 ということで、大気の安定度を示す指数を確認すると・・・




 九州北部では昨日午後の関東程度には不安定になりそうです。
 あと気になるのは長野県南部付近がやや不安定になること。
 降水がポチっと計算されていたことも考えるとちょっとイヤな感じがします。
 盆地ならではの気温上昇でできる局地的な低気圧次第ですけど・・・・
 気象庁の予報では山梨県の予報も含めて完全に無視されていますが、山行なら念のため心の片隅においておきたいですね。

 最後は、西から夜くもりになる様子




 書き込みのとおりですけど、長野県では青空が白っぽくなってくる程度で済みそうですね。

 ということで文字通り今日の天気予報は当たるです。

 さあ・・・でかけよ。


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2010年06月05日

天気予報は当たるのか?(6月5日)不安定・夕立は今日まで


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 この一週間、上空の寒気と雷雲の様子ばっかりチェックしてきて、もうウンザリ・・・・・
今日、寒気が東北を抜けると「所によって午後から雷雲が発生して・・・」というパターンが終わりますから、やっと解放されるような気持ちです。

 で・・・田植えも最盛期を過ぎ、そろそろ梅雨入りが気になる時期になってきました。
長野(関東甲信)の梅雨入りは、平年で6月8日頃ですから来週ですね。
 昨年は6月3日頃に梅雨入りしていますから、いつ梅雨入りしてもおかしくないわけです。




 今朝の天気図では、梅雨前線は沖縄の南・・・太平洋では小笠原より南側
遠いところにありますが、沖縄の南には熱帯低気圧が発生しています。
 熱帯低気圧から湿った空気が梅雨前線に流れ込むと前線の雲が発達して大雨になるわけですが、そのエリアはまだまだ海上。
 もっとも、この熱帯低気圧、来週前半にかけて日本付近に北上してきます。

 気象庁発表の短期予報解説資料というプロ用の資料を見ると・・・・・
「熱帯低気圧は、沖縄の南海上を東北東に進む見込みだが、予想やや不確実。今後の動向に留意。」なんて書かれていて、今後の動きから目を離せません。

 ちなみに、今朝の計算値(来週火曜日)を見ると・・・・




 小笠原の北あたりを低気圧が通過、日本付近には南東から湿った空気が流れ込んでまとまった雨が予想されています。
 梅雨前線の雨というにはちょっと違った形態ですけど、来週は雨モードに入る可能性あり。
 気象庁じゃありませんけど、むこう一週間は気圧配置の「今後の動向に留意」です。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 不安定エリアが関東~東北に限定されてきました。
不安定解消はあと一歩。
 長野県は不安定エリアの西の端っこですから、基本的に夕立から解放されそうですが、エリアの端っこは天気予報が微妙なエリアともいえます。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 関東には傘マークが並んでいて、昨日に引き続き不安定エリアだということがわかります。
新潟に「のち晴れ」マークがついていて、長野県の予報文は「所により朝まで雨で雷を伴う」ですから、長野県は不安定解消傾向ということになりますけど、県の東部・・・佐久方面や野辺山、富士見町方面は関東方面の影響があるかもしれないという気がしてきます。
 ここは細かくチェックしておきたいところですね。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 このパターンのアニメ作りも今日で終わりになりそう。
不安定の原因は、おなじみ上空の寒気ですけど、プラスアルファがあります。
関東~東北が日本海の高気圧と北海道のはるか東にある高気圧の間にはさまれた気圧の谷になっているということ。
そして、上空を気圧の谷が通過するということ。
 寒気で大気が不安定になっているところに、モクモクわき上がる雷雲の原因、上昇気流が発生しやすい状態がプラスされるわけです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 大気不安定の主原因・・・上空の寒気がぬけていく様子をチェック・・・




 -18℃の最後の寒気が今夜東北から三陸沖へ抜けていきます。
今日一日の辛抱。

 ただ、寒気が抜けていくと同時に上空の気圧の谷も東北~関東を通過して行きます。




 赤の点線が上空の気圧の谷。
 通過のタイミングで、地上には低気圧ができたり、雷雲が発生しやすくなります。

 で・・・地上の雨はどうなるの?




 昨日の関東甲信中心に雨が今朝もまだ残っていますけど、午前中には海上に抜けます。
でも、午後には上空の気圧の谷がやってくるタイミングで再び雷雲発生・・・夜遅くまで残りそうですね。

 長野県付近は?




 午後、長野県東部をかすめながら雨エリアが南下しつつ小さくなるのがわかります。
 県内の予報・・・午後の雨を予想していませんけど、県の東部、すくなくとも山沿いでは午後の発雷には注意しておいたほうが良いですね。
 週末ですから、志賀高原、八ヶ岳方面や南ア方面の登山者もおられるでしょう。

 ついでに午後3時の空気の流れと降水の様子。




 上空の気圧の谷が通過するタイミングで、長野県南部に低気圧が計算されています。
そして低気圧には周辺から北の冷たい空気と南の暖かい空気が流れ込んで雨雲発生
 低気圧の東側中心ですけど、南部、それも山梨県に近いエリアではちょっと用心したほうがよさそうですね。
 また、上越国境付近の収束線(赤の点線)の延長線上にある軽井沢や佐久方面もちょっとアヤシイ・・・・

 ということで、今日の天気予報も当たると思いますけど、県東部では今日まで午後の雷雲の発生には要注意
 時々空を見上げて確認してみてください

 携帯電話のレーダーサイトは昨日の記事にご紹介してあります。


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