2010年06月19日
天気予報は当たるのか?(6月19日)大雨は峠越したけど
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
今朝も、気象庁からは大雨に関する全般気象情報が、長野地方気象台からは「大雨と雷及び突風に関する長野県気象情報 第4号」が発表されています。
原文は http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html で読むことができるので、内容を抜粋すると・・・・
[雨の実況]
降り始めの18日12時から19日05時までの降水量は、
阿智村浪合 130.0ミリ
王滝村御嶽山 113.5ミリ
南木曽 101.0ミリ
飯島 98.5ミリ
飯田市南信濃 89.5ミリ
伊那市杉島 84.0ミリ
飯田市高羽町 83.0ミリ
ということで、南部中心に100ミリを超える雨が降ったようです。

[雨の予想]
19日06時から20日06時までの24時間に予想される降水量は、いずれも多い所で、
北部 40ミリ
中部 40ミリ
南部 50ミリ
予想降水量は比較的少なめですから、これからは降った雨が川に流れ込んだりダムが放水したりして増水することへの警戒、そして、雨水をたっぷり含んだ地面の土砂災害が警戒の中心になってくるようです。
[防災上の注意・警戒事項]
大北、上田、諏訪、佐久の各地域では、これまでに降った雨により地盤の緩んでいる所がありますので、19日昼前まで土砂災害に警戒して下さい。
また、その他の地域でも土砂災害に注意して下さい。
南部と佐久地域、諏訪地域では、19日朝まで、河川の増水、低地の浸水に注意して下さい。
県内では、19日朝まで、落雷、突風、降ひょうに注意して下さい。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

梅雨なしの北海道は別として、今日早めに回復するのが九州北部や山陰の西部。
その他のエリアは、「のち くもり」マークがメイン。
ゆっくりと回復に向かうようですが、雨がいつ上がるの?が週末土曜日、一番知りたいことですよね?
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

雨が上がるタイミング・・・県内全域「昼前」の予想になっています。
用語集で「昼前」は午前9時~12時を指しますから、早ければ午前9時には曇りということになります。
予想気温・・・ぐずつく割には高め。
ムシムシですね・・・・
回復の様子はビジュアルでチェックしたいと思います。
午前9時に予報訂正がありました。
南部が曇りのほかは、中北部で「昼過ぎから夕方晴れ」になっています。(ラジオを聞いていましたが、9時前の放送に間に合っていませんでした)
よい方向に修正してきましたね。
昨日夕方の記事で書いた、希望的予想のシナリオが現実化したという感じです。
防災の必要性があったので、悲観的シナリオを採用せざるを得なかったのは止むをえないでしょう。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

日の出前くらいが雨のピークでしたけど、これから夜にかけて前線南下。
雨が弱まる傾向・・・・だけど九州南部は強い雨のエリアが残る・・・・という流れ。
細かいことを書きこんでもわかりにくくなってしまうので、この程度にしておきます。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今朝は梅雨前線のこと・・・色々考えていたら時間が無くなってしまって、図中にはあまり書き込みをしていません。
実況から予想という流れでザクッと天気の流れをまとめておくことにします。
専門天気図ばっかりなので、興味のある図だけ眺めてみてください。
1、昨夜21時の実況

日本付近は南からのたっぷりの水蒸気に覆われていますけど、朝鮮半島の西側には乾燥した比較的冷たい空気・・・白くない部分・・・がゆっくり流れ込んできています。
乾いた空気と冷たい空気が日本付近でぶつかっているんですね(-6℃は上空5700m付近、18度は上空1500m付近の気温の線)。
これを上空5700m付近の天気図で見ると・・・・

朝鮮半島の西側に寒冷渦という寒気を伴った上空の低気圧。
上空の強い流れから切り離されて、昨日からほんのちょっとしか動いていません。
前線が日本付近に停滞する原因の一つ。
また、昨日と同様に、青の矢印の強風軸と赤の矢印の強風軸がそれぞれ冷たく乾燥した空気と暖かく湿った空気を日本付近に運び込んでいます。
マイナス6℃のラインがちょうど雨のエリアの北限になっているようですね。
次に、もうちょっと下・・・上空1500m付近・・・・

日本の南岸・・・四国沖で50ノット(秒速25メートルの風)の強い風のラインができていて、これが梅雨前線の南側に対応。
青く塗った部分が雨雲のエリアですが、風速は雨雲の発達とも対応しています。
だからどうなの?・・・ということですけど、この図をもとに、風の様子や気温のラインの変化の予想を見れば、これからの天気を流れでイメージしやすくなるからです。
2、予想

上空の流れ・・前線と対応する南の強風軸はやや南下する傾向。
寒気の流れ込みの強風軸も日本海沿岸付近まで南下して優勢に。
他の計算値と併せてみると、前線南下の傾向です。

強風軸の南下に伴い、雨のエリアの北限と対応していたマイナス6℃のラインも南下する傾向。
そして、雲のエリア(灰色に塗ったところ。露点と気温の差が3℃未満)も南下して九州北部や山陰西部は晴れのエリアへ。
気象庁の予報と同じですね。
次は、地上付近に流れ込む暖湿流の様子。
上で見た上空1500mの天気図の未来を相当温位という雨の原料の様子と併せてチェック。

見えにくいですけど、強風のエリアは南の海上中心。
もっとも、湿った空気は東日本・西日本を覆い続けるようです。
寒気の南下に加えて、地上付近は南風で湿った暖かい空気が流れ込んでいるので、大気は不安定に。
前線は南下傾向ですけど、明日にかけて、九州方面から大気が不安定になってくるんでしょうね。
で・・・雨の様子、12時間降水量で見てみます。


12時間降水量の予想ですけど、夜にかけて東日本の雨は回復傾向。
もっとも、九州南部では今朝までと同程度の降水量が予想されています。
MSMという別の計算値で1時間降水量を6時間毎に見ると・・・

九州南部は継続して雨・・・東日本は今朝大雨を降らせた雨エリアは抜けるものの、弱い降水が残るようです。
県内付近は?

回復傾向ですけど、湿った地上付近の空気が風に流されてぶつかる山では一日を通して降水あり。
北から雲が薄くなって、盆地では弱い日差しがあるかもしれませんけど、山の上には雲がベタっとかかっていて、弱い雨も・・・という感じでしょう。
今日は、大雨情報が出ているので、昨日に引き続き天気予報の当たりハズレを云々しませんけど・・・大雨の峠は越すものの、梅雨らしいはっきりしない天気になる・・・と思います。
専門天気図の保存を兼ねてしまって、まとまりがなくなっちゃいました・・・ゴメンナサイ。
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