2010年06月16日

天気予報は当たるのか?(6月16日)回復はゆっくりと


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 今日は朝から一仕事したので、更新が遅れました。
そのかわり、専門天気図を使った図をたくさん作りましたので、興味のある方は図だけでも眺めてみてください
 難しい?かもしれませんけど、なんとなく天気予報の作り方の雰囲気が分かれば・・・・と思います。

 ところで、昨日の朝、長野地方気象台発表の予報・・・午前5時に発表した直後の午前6時、「晴れのち雨」の予報を「くもりのち雨」に訂正していました。
 実際は・・・・午前中晴れ間が出ちゃいましたよね?
 予報の訂正は、予報を改悪してしまうことも多い・・・・・最初のインスピレーションは予報でも大事です。

 ちなみに、今朝も午前5時に引き続き午前8時に予報を訂正しています。
 今日は楽観的な予報を生活者目線で”改良”したようですから・・・・当たると思うんですけど・・・・・

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 ザッとエリア分けすると、西日本回復の晴れ・・・東日本は回復傾向・・・北日本はこれから雨が強まるという感じ。
 雨域移動エリアなんて作りましたけど、東日本が「のち 晴れ(くもり)」で回復傾向、北海道が「のち 雨」で下り坂傾向・・・・雨のエリアが移動するという流れがマークでもキチンとわかりますよね。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。


 まずは、午前5時に発表された予報から・・・これはすぐに忘れてくださいね。




 そして午前8時に訂正された予報・・・・




 午前5時の予報は、回復をかなり楽観的に考え「昼過ぎから晴れ」にしていましたけど、訂正された予報は「夜 晴れ」にして完全回復を遅めにしています。
 また、雨が回復するタイミングも遅らせて「所により 昼過ぎ まで 雨」にしています。

 昨日から予報作成を担当している予報官・・・最初のインスピレーションは楽観的な方のようですが、レーダーなどで実況を見ながら迷いを生じてしまうようです。
 レストランでメニューを決めるときの性格・・・・予報作りにも表れるんですよね。

 県内の回復・・・結局午後のようですが、雨はちょっと尾をひきそうです。

 ちなみに、この予報官が午前8時に作成した今日の概況は・・・
「今日は、前線上の低気圧が、発達しながら東海地方の沿岸から三陸沖に進み、夜には上空の気圧の谷が通過する見込みです。
 このため、曇りで、昼過ぎにかけて雨の降る所がありますが、夜には晴れる見込みです。」

 午前5時の概況・・・保存してなかったので・・・残念。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 必要なコメントは図に書き込んでおきました。
 付け加えるとすれば、流れ込んだ暖湿流・・・天気回復しても残りそうなので、結構ムシムシするかもしれません。
 予想気温も高めですしね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日は、ちょっとワケがあって、難しそうな言い回しでコメントを書きます
 わかるところだけつまみ読みするだけで、テレビやラジオの天気予報よりは参考になると思いますので、全部読む必要はありません
 興味あるところだけ・・・・どうぞ。

 ちなみに今朝の予報・・・5時発表のままだったら、大いに文句ありだったんですけど、8時の訂正があったので・・・当たる!・・・です。

1、実況




 梅雨前線上の低気圧による発達した対流雲が東日本・東北にかかっている。
水蒸気画像湿潤域が三陸に流れ込み、明瞭な暗域(乾燥域)が西日本に進んでおり、トラフの活発化と地上低気圧の発達を示唆している。




 暖湿流が顕著な東北に強いエコーが観測されており、長野県付近も一部で1時間20ミリ前後の降水が認められる。




 昨夜9時(朝の時点で最新)の実況では、朝鮮半島付近に寒冷渦に伴うトラフ(上空の気圧の谷:500hPa)がゆっくりと東進し、トラフ後面の寒気移流と前面の暖気移流が顕著。
 地上低気圧は発達するとともに、トラフ前面の30ノットの強風軸によって比較的早めに北上するものと思われる。

2、予想

 前記、実況天気図、予想天気図のアニメも参照のこと。




 500hPaのトラフは今夜には東北北部まで進む。




 また、トラフの北東進に伴い、マイナス6℃(500hPa)の寒気が南下
今夜まで北海道東方の低気圧は発達し、以後閉塞過程に入る。




 午前中、低気圧や前線に暖湿流(336K)の流入が予想されており、東日本・北日本では大気が不安定となり、落雷・短時間強雨が予想される。




 降水域も北日本に移動




 MSMモデルもほぼ同様の傾向を示している。
 東日本の雨は急速に回復するが、所々で降水が計算されている点を考慮する必要がある。




 長野県も昼までには回復に向かうが、山岳地帯を中心に降水が残る
気象台発表予報も「所により昼過ぎまで雨」として、これを採用していると思われる。




 地上低気圧の北東進に伴い、低気圧前面の湿潤域(700hPa:中層雲エリア)は北上し、東日本・東北は午後から次第に回復に向かい、東日本では晴天となる所もある見込み。




 MSMでは長野県付近、下層雲が午後も計算されており、弱い降水の予測とも対応する。
 県東部を中心に回復がやや遅れる可能性あり。


 沖縄や西日本を無視しちゃいましたけど、ザクッとまとめてみました。
いつもは、図を作らないで、頭の中でまとめているんですけど、いざまとめてみると時間がかかりますね。
 これじゃ新鮮な予報じゃなくなっちゃう・・・・
 季節の変わり目には、これをやっておくのが良いのですけど、しばらくはゴメンです。


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