2010年06月07日
天気予報は当たるのか?(6月7日)西から再び不安定に
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言

この降水量の予想図は、いずれも昨夜12時の予想降水量ですが、計算の初期値(観測に基づく計算のスタートライン)毎に九州方面の降水量の計算値が次第に多くなっていることがわかります。
計算値がこのように変化するにしたがって、気象庁発表の予報も変化していきました。
計算値には限界がありますから、予報の修正で対処するしかありません。
これ以上の精度を上げるのなら・・・事業仕分けでスパコン導入にたくさんお金をつぎ込むしかないでしょう。
これからの季節、梅雨前線の位置がほんの数十キロずれたり、弱い気圧の谷の影響がこれに重なったりすると、実況と計算値を再検討して、一日の中でも予報が修正される可能性が高くなってきます。
天気予報は、基本的に朝5時、昼前の11時、午後5時の3回発表されます。
いずれも朝、昼、夕のニュースや天気予報に間に合うように、発表されていますから、朝見た天気予報の内容は昼に修正されているかもしれません。
これからの季節は、天気予報が発表されるタイミングにあわせてコマメな天気チェックが、天気で失敗しない秘訣です。
ちなみに週間予報は毎日午前11時と午後5時に発表されますから、朝の週間予報は今日・明日を除いて前日午後5時に発表された古い予報。
早くチェックしたいなら、午前11時を待ってチェックするのがおすすめです。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

このエリア分け、予報文に午後以降に雨が予想されているかいないかで、およそのエリア分けをしたものです。
天気マークに傘がついているのは、この図では四国と沖縄、小笠原だけですけど、予報文ではかなり広いエリアで雨の可能性があるということが分かります。
天気マークだけチェックするのは・・・・・・ですね。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

全国の天気マークの図では不安定エリアと晴天エリアの境目にあたる長野県。
日中は晴れベースで、昨日なみの気温が予想されていますが、南部だけ「所により雨」がついています。
どのあたりで降るのよ?
先週の夕立連続モードを彷彿させますが、このあたり詳しくチェックしておきましょう。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

長野県はどちらかといえば、北日本の高気圧の勢力範囲ですけど、西日本の気圧の谷+寒気+南の低気圧と梅雨前線の3点セットの影響を微妙に受ける位置にあります。
今日の一言じゃありませんけど、夕方の天気が気になる方は11時の予報は一応目を通しておいたほうが安心でしょうね。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今日、長野県に悪い方向で影響する「西日本の気圧の谷+寒気」の様子から。

今週も寒気の様子からスタートするんですねぇ・・・・ちょっとウンザリですけど・・・・・
先週の寒気よりちょっと弱めの寒気のカタマリが九州方面にゆーっくりと近づいてきます。
この寒気のカタマリ、寒冷渦といって反時計回りにグルグル回っています。

この図で青く塗ったところが上空の低気圧で、上で見た寒気のカタマリの位置と一致します。
寒気のカタマリが低気圧の渦になっているから寒冷渦。
地上付近では低気圧になりきれず気圧の谷として天気図に現れる傾向があります(上の天気図のアニメにありましたよね)。
この寒冷渦の影響で西日本は大気不安定・・・「昼過ぎ(または夕方)から雨」の原因になります。
九州方面はさらに南の低気圧や前線の北側の雲の影響も重なるわけですが、具体的な雨の様子を確認してみましょう。
まず、広い範囲とちょっと長めの時間帯(12時間降水量)で確認。

青く塗った点線の内側が雨の可能性のあるエリアですが、さらに一つ内側の点線の部分が「雨」という印象が強く感じられるエリア(経験上そうなるんですよ・・・ほぼ)。
九州四国方面は一日ぐずつき気味という感じでしょうね。
一方、長野県はといえば、青の点線の東の端っこ・・・・微妙なエリア・・・
そこで、長野県付近を拡大して1時間降水量で細かく見ると・・・・

これは15時の計算値ですけど、南部中ア・南ア付近で弱い降水が計算されていますが、非常に微妙。
この時間の別のGSMという計算値も見ると・・・

南部、木曽方面に弱い降水が計算されています。
これをどう見るか?・・・・正直なところ「所により雨」程度以上はなんともいえません。
これじゃしょうがないので、この雨のメカニズムも考えてみますか・・・・・

日中の気温上昇で発生する上昇気流の影響で、松本盆地付近に熱低気圧(ヒートロー)が発生。
この低気圧に吹き込む駿河湾方面からの湿った暖かい空気が御嶽山や中アにぶつかって上昇。
上空に入りつつある弱めの寒気の影響で木曽谷周辺で”プチ”夕立発生というところだと思うのですが・・・・
今日の天気予報、北部と中部(南西部は除く)の予報は当たると思います。
もっとも、南部の予報、「所により」がついていますから、比較的広めに降ろうが限られたエリアで降ろうが当たるということにはなりますけど、南部の西のエリアや中部の西側山沿いでは一応、小さな夕立の可能性は気にしておいたほうが良いと思います。
ちょっと情けない内容になっちゃいましたけど、先週に引き続き、レーダーで実況監視が一番役立ちそうです。
レーダー: http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
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Posted by kasayan at 07:21│Comments(0)
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