2010年06月04日
天気予報は当たるのか?(6月4日)関東甲信中心の夕立
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨日は、ついに長野市街地でも夕立になりました。

昨日午後2時の菅平の様子。
午後からモクモクと雷雲が湧きあがってきました。
もっとも昨日長野市に雨を降らせた雷雲は安曇野方面で発達したもの。
国道19号線に沿って?長野市にやってきて、菅平方面へと流れて行きました。
今日も夕立モードですけど、今日も夕立エリアに変化がありそうです。
朝の空は雨なんか想像させないほどの青空ですけど、夕立は・・・どこで?どれだけ?
ところで、昨日夕方のNHKローカルの天気予報。
珍しくレーダーを使っていました。やりゃできるんだから、これからの季節はもっと多用すればいいのにと思うんですけど。
ただ、先日市町村単位の発表になったばかりの注意報の構成が全然ダメ。
長野県全域に雷注意報が発表され、所々に大雨や洪水の注意報が発表されていたんですけど、画面の枚数が4~5枚にもなって、時間がかかりすぎ・・・・まるで注意報のための天気予報みたい。肝心の予報の時間が少なすぎ・・・・
おまけにコメントも画面を読むだけで、かえって画面を分かりにくくさせていました。
レーダーを解説しながら、地震情報のようにスーパーで表示するなどの工夫をしたほうが良いでしょうね(民放は従来の表示にしていますが、それも工夫がちょっと・・・)
これからの季節、ちょっと注意してNHKの天気予報チェックしてみてください。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

北海道は気圧の谷と寒気によるぐずつきエリア・・・ちょっと別世界。
そのほかのエリアは例によって太陽マークが多くなっていますが、予報文に「・・・雷を伴う」がついているかついていないかで分けるとこのようなエリア分けになりました。
西日本の不安定はほぼ解消しているんですけど、四国だけは取り残されているようです。
そして関東・・・東京にも「のち」傘マークがついています。
東京に夕立となると、全国ネットの天気予報はちょっと大げさになるんですけど、昨日今年一番の夕立モードだった長野県・・・今日はどうなるんでしょうか?
ちなみに、関東甲信地方には「雷と突風及び降ひょうに関する関東甲信地方気象情報 第1号」が発表されています。
関東甲信地方の上空およそ5500メートル付近には氷点下15度以下の寒気があり、大気の状態が不安定となっています。今後5日にかけて氷点下18度の寒気を伴った気圧の谷が通過する見込みです。
このため、4日昼過ぎから5日未明にかけて、関東地方南部平野部を含む関東甲信地方の広い範囲で雷雲が発達する見込みです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

今日も「夕方から夜のはじめ頃」まで夕立がありそうです・・・・「所により」ですけど。
午後3時~9時ということですが、「所により」が一番気になりますね?
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

昨日まで近畿・中国付近までを覆っていた上空5500m付近で-15℃の寒気はちょっと小さくなって、東日本まで・・・・西日本は安定した晴天に。
もっとも、-18℃以下の寒気はまだまだ東日本や北日本を覆っていて、さらに上空の気圧の谷が北日本に接近。
上空の気圧の谷がやってくると、地上付近では上昇流が発生しやすくなるので、初夏の日差しで上昇した気温とあいまって、雷雲発生です。
昨日は、南風と北風が本州の脊梁山脈付近でぶつかる傾向がありましたけど、今日は風が弱いので、内陸部の熱せられた空気が上昇してできる熱低気圧の上昇流の発生の具合が雷雲発達に影響しそうです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
もう・・・ウンザリなんですけど、やっぱり大気不安定の主役・・・寒気の様子からチェック。

長野県内から-18℃の寒気は抜けていますけど、まだまだ-15℃の寒気が上空に。
ただ、西日本の寒気が抜けてくるのがよくわかりますね。
そして、今日の雷雲を発達させるプラスアルファ・・・・上空の気圧の谷の様子。

赤の点線が上空の気圧の谷。
今夜通過するわけですけど、この谷の東側の地上では上昇気流が発生しやすくなりますから、みごと関東甲信は雷雲が発生しやすくなるわけです。
そして、地上付近・・・気温の様子を見ると・・・・

関東内陸部は25℃以上のオレンジ色。
30℃手前まで気温上昇するところもありそうですから、暖かい空気が上昇して局地的な低気圧が発生・・上昇気流ができます。
また、上空との気温差が大きくなってますます大気不安定。
地上の空気の流れと局地的な気圧の計算値を見ると・・・・

赤字の「L」が局地的な低気圧ですけど、そこに周辺の空気が集まってくるようすがよくわかります。
で・・・具体的に大気不安定のエリアをSSIという指数でみると・・・・

関東甲信・・・長野県は東部の安定度が特に悪いようです(赤で塗りました)。
それでは雨はどうなるの?・・・まずは広いエリアから・・・・

点線の内側が降水が予想されるエリアですけど、梅雨の沖縄と気圧の谷の北海道は横目で見ておいて、関東甲信付近に雨のエリアが計算されています。
それでは長野県付近は?

雷雲を流す上空の流れが弱いので、動きが遅い・・・はじめて1時間ごとのアニメを作っちゃいました。
長野県は東部中心。
もちろん、傾向として見る必要がありますから、昨日夕立があったエリアも警戒が必要ですけど、長野県東部や上越国境で発生した雷雲が夜にかけて関東南部へと流れていくようです。
ということで・・・もちろん、「所により」で場所を特定していないので今日の天気予報もあたります。
このように、発生の理由や程度を考えるのに手間がかかるわりにむなしい気持ちになるのが雷雲の予想。
むしろ、レーダーでリアルタイムに状況を把握することのほうが役立つんですよね。
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