2010年01月23日
善光寺の立地と降雪の関係は?(1月23日)
長野県北部の予報が雪でも長野市南部や千曲市は晴れることが多いのはよく知られていますが、「多い」のはどのような場合なのか?がイマイチ判断つきかねています。
出かけるたびに空の写真を撮り、実況データを見比べ考えているのですが、一朝一夕にわかるようなことじゃないですね。
今日正午の長野市綿内・・・須坂インター近くの千曲川河川敷から撮影した長野市の空。


連続写真で地図で示した範囲の空をつなげてみましたが、長野市北部の飯綱山、坂中峠を境に雪雲が消え、長野市南部や千曲市には青空が広がっていました。
同時刻のひまわり可視画像。

長野市が日本海側の雪雲の南端になっていることがわかります。
最近この様子を確認しながら善光寺が今の位置にあるのが必然だと思えるようになりました。
善光寺が数十キロ北の飯山地方にあったら・・・雪おろしもままならず、あの大きなお堂を維持することはできなかったでしょう。
かといって、雪の少ない盆地平野部に建てたとしたら千曲川や犀川の氾濫の恐れがありますし、大きな建物に不都合な強風という問題もあります。

長野盆地の北西の隅っこ。
雪もほどほど、川の氾濫の恐れもなく、北西の季節風を遮る飯綱山のふところに善光寺があるのは考えに考えた上でのことのように思えるのです。
2010年01月23日
天気予報は当たるのか?(1月23日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
気圧が下がると雨が降る・・・ということを聞いたことはあると思いますが・・・「気圧が上がると雪が降る」ことがままあります。

これ、Kasayanの腕時計ですが、気圧の変化がグラフで表示されるようになっています。
昨日から今朝にかけていったん気圧が下がり再び上昇しているのがわかるでしょうか?
今朝の長野市内は薄っすらと積もった雪・・・・ちょっと好奇心がわいたので・・・・・

これは、長野市の気圧変化と積雪、白馬の積雪の様子をグラフにしたもの。
時計と同様、昨日午前10時頃から気圧が下がり始め、夜8時頃から気圧が上昇しています。
そして、午後8時から白馬で積雪が増加し、長野市内でも深夜1時に積雪が観測されています。
昨日、日本海に低気圧が発生し、新潟方面に進んでいました。
このため、日中は気圧が下がりましたが、県内の天気は基本的に晴れ。
ところが、この低気圧が上陸して消滅・・・気圧が上昇するタイミングで雪。
必ずこうなるわけじゃありませんけど、大陸から冷たい高気圧が張り出してきて雪を降らせる冬型の気圧配置ではこんなことも多く見られます。
「気圧が上がってきたかぁ・・・そろそろ降るかな?」なんて使い方・・・できるかも。
ちなみにこの腕時計は1万円もしない安物ですが、こういった面白い使い方もできますから、ちょっとおすすめです。
(971hpaという台風並の気圧が表示されていますけど、標高の高い長野の生の気圧ですから、天気図と比較するには海面での気圧に校正する必要があります)
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

基本的に日本海側雪、太平洋側晴れの冬型の天気分布ですけど・・・・・
太平洋側の太陽マーク、雲マークとペアになっています。
スカッと晴れない「何か」があるわけです。
こんなときには、マークの裏側?があって、傘マークがなくても予報文には「所により雪」とか「所により雨」なんて書かれていたりします。
お隣の県でこんなことが書かれていたら、ちょっと気になりませんか?
(上の緑文字のリンクから全国の天気マークや予報文を読むことができます)
ちなみに今日の山梨県中西部には「夕方 から くもり 山地 では 雪」と書かれています。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

北部は曇りベースですが「時々 雪」。
中南部は基本的に晴れベース。中部の雪も朝には止むようです。
曇りベースの北部ですが、広い北部のことですから・・・・中部に近い長野市南部や千曲市では、むしろ晴れと感じられるかもしれません。
本当にそうなのか?はあとでチェックしておきます。
また、上で見た山梨県の「雪」。
こいつが長野県にも関係していないか?も確認しておいたほうがよさそうですね。
週末ですから、明日の予報文も書き込んでおきました。
今日は北風中心ですが明日は南風・・・中南部は1日晴れで、北部も午前中には晴れてくるようです。
北風から南風に変わるタイミングが冬型の気圧配置の変わり目。
このあたりは、予想天気図を見るときのチェックポイントになります。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今日は冬型の気圧配置。
日本海側で雪が降るのが原則ですが、等圧線の間隔がそれほど混雑した強い冬型というほとではありません。
そうなると、県内で雪が降るのは新潟県境付近限定・・・県内の晴れのエリアはかなり広そうです。
もっとも、今夜、地上の雪雲を活発にさせる上空の気圧の谷がやってきます。
今夜、ちょっとだけ雪が強まりそう。
上空の谷・・・わかりにくいと思いますから、後で上空の天気図でチェックしておきましょう。
そして、明日・・・高気圧が北日本にアッパーをくらわすように張り出してきます。
広い高気圧の中心が二つあって、一つは関東沖へ。
高気圧の周囲の南風が県内に吹き込んで・・日差しとあいまって、すこし暖かくなるかもしれません。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
まず、今夜やってきて雪を降らせる原因・・上空の気圧の谷からチェックしておきましょう。

上空5500m付近の天気図ですが、等高度線(等圧線と同じに考えればOK)が凹型に折れ曲がっているところが上空の気圧の谷。
地図でいう「沢」の部分で、沢に水が集まるように、上空の気圧の谷の部分には寒気が流れ込んだり渦が出来たりして、地上の雲の活動を活発にさせます。
この谷が今夜本州上空を通過。
そこで、一時的に雪が強くなるわけです。

これは上空の寒気の様子ですが、上空の気圧の谷の部分に寒気のピークがあるのがわかります。
上空の谷のちょっと後ろ側を寒気が通過していくわけですから、日本海の海水が蒸発して・・雪雲の発生が活発になるんですね。
ということで、次は具体的に降水(雪)がどのエリアであるのか?をチェックします。

今日日中は新潟県境付近中心・・・豪雪の栄村・・今日も大変ですね。
日中、北部の長野市南部や千曲市では晴れと感じられる可能性は大ですね。
そして夜、西から流れ込む雪雲が北アルプスの南側にも拡大しています。
ちょっと県内をジャンプしてお隣の山梨県にも雪が・・・
アヤシイ・・・・今日の中南部、「所により 雪」は書かれていませんけどこのタイミングで雪雲が流れ込んでくる可能性が十分にありそうです。
予報文には「下伊那地域 では 後 西の風 やや強く」と書かれていましたが、この風に流されて・・・。
それほど大量というわけではありませんが、山梨県の山にぶつかると雪雲が発生する可能性があるわけですから、チラチラ程度の可能性は想定しておいたほうが良いと思います。
ちなみに南部の時系列予報(http://www.jma.go.jp/jp/jikei/322.html)は・・・・

予報文は晴れ一発ですが、15時から21時の間は曇りになっていて、気温が急激に下がることが予想されています。
この曇りマークの後ろ側に「雪 チラチラ」が隠れているかも。
ということで、北部は日中晴れ間もあることを理解したうえで予報は当たると考えます。
また、中部も夕方雲が広がる可能性があることを理解したうえで予報は当たります。
そして南部・・・午前中の晴天は良いとして、午後の曇りの程度や雪の可能性を考えて「時々 くもり」のイメージでおさまるのか・・アヤシイ感じがします。
最後にオマケ・・検討につかった天気図を掲載しておきます。
風の流れと雪の関係・・・長野県の山々は関東や東海の天気にも大きな影響をあたえています。

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