2010年01月26日
天気予報は当たるのか?(1月26日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
ここ10年、ローカルテレビの天気予報ではポイント予報とか時系列予報という名前で、市町村単位の天気マークの表がズラリと並ぶ構成が増えています。
「ローカル局は地元の天気を詳しく伝えたいんだ!」「ライバル局と同じポイント予報をやりたいんだ!」
全国各地の放送局の天気予報担当者の方々にお会いしましたが、みなさんこうおっしゃってこの予報を導入されていきました。

昨夜発表の長野県の予報を、北部=北部町・・・に置き換えて似たようなものを作ってみましたが、どの放送局もこんな形式ですよね(古い予報ですから使えませんよ)。
これを見て「オッ、北部町は9時から晴れるんだな!」なんて判断してませんか?
・・・これは間違い!
正しい見かたは「オッ、北部町付近は9時前後からだんだん晴れてくるんだな!」です。
どうしてかって?
全国や県内を20キロとか5キロのマス目にして時間毎の天気変化を表示したメッシュ予報とか分布予報って呼ばれている予報もご覧になったことがあるはずです。

この予報を見るとき、頭上のマス目付近が曇りでも、周囲のマス目がほとんど雨だったら、傾向的に自分のいる○○地域は全般に雨というように判断するはずです。
また、周囲の雨のエリアが大きくなっていくときは、たとえ頭上のマス目が曇りのままでも、「だんだん」雨になりそう・・・と判断しますよね?
上で見たポイント予報は分布予報のマス目を一つとりだして時系列の表にしたもの。
表にして天気マークに置き換えると、なんだかもっともらしく見えてしまって、平面的な天気分布や時間的な移り変わりを忘れてしまうんですよね。
本来アナログに変化するはずの天気をデジタル的に切り取ってしまったのがポイント予報。
一見わかりやすく見えますが、キチンとその「エリア」の天気「傾向」をコメントで伝えなければ誤解を生じる恐ろしい予報です。
だって、お隣のマス目を時系列にしてみたら・・・・全時間帯で雪や雨かもしれませんよ?
この予報の放送の方法については、放送局の担当者の方にずいぶん説明したんですけど・・・・この話の続きはまたいずれ書くことにします。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

昨日はエリア分けできないほどの全国的な下り坂でしたが、坂を下りきったら冬型の天気分布が待っていました。
例によって日本海側は雪。
よく見ると新潟県下越地方の雪だるまは風に吹かれて斜めになっています。
新潟では風雪注意報も発表されていて、荒れた日本海の海に横殴りの雪が降る景色が目に浮かぶようです。
ということは・・・・県内も新潟県境ではしっかりとした雪を考えておく必要がありそうですね。
ただ、日本海側のほとんどのエリアは「のち くもり」マーク。
冬型の気圧配置がゆっくりと回復に向かっているようです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

やっぱり北部には雪だるまマークがついています。
でも、「のち 晴れ」。
「のち」は何時かな?ということで電話の177と同じ気象庁発表の予報文を読んでみると・・・・「朝 から」(予報の用語集には午前6時~午前9時と書かれています)・・・結局、一日を通して晴れるってことです。
(予報文のHP: http://www.imoc.co.jp/yohou/yhd_2.htm )
でもこれは北部の平均的な天気傾向。
お隣の新潟県や富山県は「のち くもり」ですから、北部県境付近では一日晴れない可能性があるということです。
この傾向を確認するためにあるのがポイント予報なんですが・・・いきなり表をいっぱい見せられたって天気の分布なんか分ったものではありませんよね?
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今日はシンプル。
冬型がゆるんで県内は晴れ間広がる・・・ということだけ。
ちょっと北を見ると北海道や東北はまだまだ冬型。
新潟県以北の回復が遅れる理由はそんなところです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
こういう天気傾向では予報がハズレるとかアヤシイなんて考える余地があまりありません。
雪が続く北部県境付近の方も、気象庁発表の「予報は地域の平均的な天気」ということをわかっていればハズレたと思うこともないですよね。
しいて重箱のスミをつつき破るようなことを考えれば晴れの予報のはずが晴れないということですが・・・・一応チェックしておきますか・・・・。

このアニメ、MSMという気象庁の天気のシュミレーションデータ。
右側は下層雲と書いておきましたが、ようは曇りと感じやすい低い雲の分布です。
一日を通して北部県境・・・特に飯山地方で雪の降りやすい状態が続きます。
このエリア、このような気圧配置の場合には新潟県中越地方の天気予報を見たほうがよいかもしれませんね(ポイント予報もイイかも)。
一方、それ以外のエリア・・・富山県や岐阜県にかかる雪雲は北アルプスがバッチリとブロックしてくれます。
山の上を通り過ぎる上層の薄い雲はかかると思いますが、晴れのイメージを崩すことはないでしょう。
ということで・・・今日の天気予報は当たる!です。
最後に、今日日中の最高気温と寒気の様子を掲載しておきます。

冬型はゆるんできますけど寒気の北上はノロノロ。
大雪の目安にもなる上空1500mで-9℃以下の寒気は、日中長野県上空を覆っています。
晴れても気温は低めですけど、日差しと風次第で暖かく感じるかも?
この天気、明日まで続きますけど明日の夜から・・・・まあ明日は明日の風が吹く・・・・・
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