2010年01月02日

天気予報は当たるのか?(1月2日)

 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 毎朝天気チェックのブログを更新していますが、ご覧になった方は、Kasayanって「お天気オタク」なんだろうな・・・・なんて思われたかもしれません。

 でも、そんなことはないんですよ。

 以前、雑誌の連載をしていたころに書いた自己紹介を別のブログを作る際にアレンジしたものがありましたので、年初にあたり遅れた自己紹介として抜粋して掲載しておきます。

 ・・・・・テレビ・ラジオ・ネットには多くの天気情報があふれています。
 でも、世にあふれる様々な気象情報の中から、どれを使えばよいのか、を教えてくれるものはありません。

 また、目的にあわせてどの天気予報を見るべきか?、どのタイミングで、どの情報を使って朝の予報を修正すべきなのか?朝の予報の賞味期限はいつまでなのか?、そもそもハズレたらどうなるの?など、天気予報の使いかたを教えてくれるものもありません。

 Kasayanは、かつて全国ネットの放送局で、気象担当のデスクとして天気予報の番組を制作していましたが、番組を作るとき、予報が「ハズレそう」なんて言えませんけど、内心では「お昼前の天気予報で修正してネ」とか、「今朝の予報は、ハズレる可能性もあるよ」なんて考えていたりしました。

 その後、夢だった「ヨットで日本一周」を実現すべく退職。
天気予報を伝える立場から、自分と女房の命のかかった天気予報のヘビーユーザーとなって、小さなヨットで日本一周をしました。




 このような経験をした後、テレビやネットの天気予報を見るたび、あふれかえる天気予報(気象情報)を、目的にあわせて使うために「案内人」が必要なのではないかと考えるようになりました。

 そこで、天気予報のユーザーの悩みや、キャスターの本音を考えつつ、Kasayanが「天気予報の案内人」として天気予報を「放談」してみようと思ったわけです。

 現役のキャスターでもなく、ただのヘビーユーザーでもない視点から・・・・・


 今もこんな気持ちでブログを書いていますけど、海をはなれてUターンした故郷の長野で新しい発見が始まっています。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日も日本海側と太平洋側で天気傾向が二分されています。

 ただ、山陰から九州にかけての天気マークは「のち 雨」
回復している天気が悪化するわけですから、北陸や北日本の雪マークとはちょっと意味が違います
 なにか天気を悪くするもの・・・低気圧?前線?気圧の谷?がやってくる・・・って考えられますね。

 一方、北日本の天気マークの傾向は、日本海側で雪マーク一個、太平洋側は太陽マーク一個。
固定された天気分布ですから、昨日までの冬型・大雪を思い出して、冬型の気圧配置の影響が残っていると想像できます。

 本当にそうなのか?は、あとで見る天気図でチェックしてみましょう。

3、長野県の予報
 長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。





 県内北部は曇りベースで「時々 雪」。
中部南部は晴れベースで「時々 曇り」・・・・「所によって 雪」です。

 冬型があまり強くないときの天気分布。
どちらかといえば、上で見た天気分布のうち、北日本の傾向に近いようです。

 ただ、日中晴れる中部南部も、夜には「所により」雪が予想されています。

 山陰や九州の「のち 雨」の傾向がこっちに影響しているのかもしれない・・・って考えられます。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。





 これは予想天気図ですが、気圧配置の変化は、今朝の実況天気図と見比べれば誰でもわかります。
比べるのはメンドウなので、Kasayanがかわりに書き込んでいるだけです。

 ただ天気の知識をちょっとだけ知らなければわからない部分は、日本海に低気圧が進んできて、低気圧に南から湿った暖かい空気が流れ込むこと、そして上空の冷たい空気が残っている北陸付近の大気が不安定になって雪や雷がありそうなこと、です。

 結局、九州や山陰の日本海側の「のち 雨」は、日本海を進む低気圧の影響

 北日本の天気傾向は、西高東低の冬型の気圧配置が残っているため、ということが確認できました。

 で・・・長野県は・・・両方の中間の天気傾向なんですね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 北日本と西日本の中間の天気傾向といってもなかなかイメージがわきにくいと思います。

 リアルなイメージができるように降水(雪)のエリアの変化をチェックしてみます。




 昨日まで、日本海にはシアーラインと呼ばれる雪雲を運ぶ太いベルトコンベアーがありましたが、今朝9時で、これが細くなっていることがわかります(昨日の記事)。

 冬型が弱まっているから。

 そして夜、日本海に低気圧が進んでくると・・・北部の降水(雪)のエリアはそれほど拡大していませんけど、南部木曽方面から降水(雪)エリアが東へと拡大してきていることがわかります。

 天気図にアニメで見た南からの湿った空気が流れ込んで雪(雨)雲を作るから。

 このエリア赤矢印で示したように一時的に南部全体に拡大しますから、夜中に一時的に雪(雪まじりの雨?)が降る可能性があります。

 これを時系列の表で示したのが、いわゆる時系列予報。
気象庁のHPで見ることができます(こちらをクリック)。
上で見た県内の予報文には湿った空気を運びこんでくる風の様子も書いておきましたが、いつ風向が変化して湿った空気が流れ込むのか?をこの図で見ておいてください。








 ちなみに気象庁発表の時系列予報は、エリアの平均的な天気傾向と、北部では長野市、南部では飯田市の気温を表示しています。
 ですから、Yahoo天気のピンポイント予報のように市町村単位の予報とはちょっと異なりますが、何度も書いたように、ピンポイント予報は雲や雨のエリアがちょっとズレただけで予報がハズレたと感じてしまいますから、こちらで一定のエリアの平均的な天気傾向を見るほうがおすすめです。

 そうそう、今朝も長野地方気象台は大雪情報(原本はこちら)を出しましたが・・・年末年始に続いた大雪情報最後のご挨拶・・・・

[防災事項]
 積雪が多い傾斜地では、新雪によるなだれの発生するおそれがありますの
で注意して下さい。
[補足事項]
 「大雪に関する長野県気象情報」は、これで終了します。


 と、書かれていました。


 さて、今朝の長野市、日差しが出てきました。
これから山へ雪を見にいってきますか・・・・・

 あ・・・忘れてた・・・今日の天気予報・・・・北部でも南ほど晴れ間がでますから、その意味では嬉しいハズレと感じるかもしれません。
 中南部・・・西ほど雲が多めなので晴れじゃないじゃん!と感じるかもしれません。

 いずれにせよ・・・天気傾向さえキチンとわかっていれば今日の予報「も」当たる・・・と思います。