2010年01月16日
雪雲の通り道を考える(1月16日)
土曜の昼下がり・・・長野駅付近は青空と太陽が顔を出すものの雪がチラチラ・・・・
夕方になってようやく飯綱山が久々に顔を出してくれました。
明日から一週間は雪ともおさらば。
大雪最後に長野市街地に雪を降らせる雪雲の通り道について考えてみました。
専門的であるような・・・単なる備忘録であるような・・・・走り書きですので、長野市民で長野の雪の降り方に興味がある方だけお読みいただければ結構です。
まず、3枚の写真から。



いずれも長野バスターミナル付近のビルから、①南西方向 長野放送・茶臼山方面、②北西方向 県庁・頼朝山方面、③北東方向、善光寺・浅川方面を撮影したもの。
各写真の山腹に白く霧状に写っているのが雪雲の先端。
雪雲が消えつつも、なお雪を降らせている様子です。
これを、立体地図に書き込んでみると・・・・

長野市街地には、一様に雪雲が流れ込んでくるのではなく、基本的に3本の雪雲の通り道があるようです。
標高1300m前後の山が連なる虫倉山・陣馬平山山系の南側、犀川に沿った小川ライン。
その北側で戸隠・飯綱山の南側、鬼無里から裾花側に沿った鬼無里・戸隠飯綱南ライン。
さらに、南北に連なる妙高・黒姫・飯綱の東側、野尻湖・浅川ライン。
写真の番号と地図上の番号を対応させてありますが、ちょうど山の間をぬうように雪雲が流れ込むと考えると、雪雲が弱まりつつあるタイミングで、その先端部分3か所が、写真のように見えたと考えられそうです。
また、谷あいを雪雲が抜けてくるため、霧ヶ峰車山山頂にあるレーダーに映りにくかったということも理解できます。

さらに、この様子をMSMという天気のシュミレーションデータに書き込んでみました。

今日の午後、長野市付近の雲を流す風の流れは北西でした。
また、北アルプスの西側は上昇流域、東側一帯は広く下降流域になっており、長野市東部から志賀高原にかけて再び上昇流域が形成されていました。
そこで・・・・・こんなストーリーを考えてみました。
北アルプスの東側の下降流によって雪雲は消滅しつつも、戸隠・飯綱をはじめとする2000m級の山を迂回する際に強制的な上昇流が発生。
一時的に雪雲は活発になり、3つの雪雲の通り道に沿って長野盆地に下降し、最後の雪を降らせて消滅していった・・・。
もっと北西の風が強く、日本海で発生する雪雲が背の高い活発なものであれば、北信五岳を一気に乗り越えて長野盆地から上田方面まで大量の雪を降らせるのでしょうが、今日は冬型の気圧配置が弱まるタイミングだったので、雪雲の通り道の骨格の部分だけが見えた・・・・のかもしれません。
そうだとすれば、この雪雲の通り道は、雪雲が活発な時の降雪量の分布にも影響してくるはずです。
さらに、風向風速との関係から降雪を細かく予測することも可能かも?
すでに、長野市役所や気象台には積み重ねられたデータが存在しているかもしれませんねぇ・・・・
どうなんだろ?
2010年01月16日
天気予報は当たるのか?(1月16日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
テレビの天気予報では、冬型ゆるむ・・ということがポイントになっていると思いますが、ここでも同じことをやっていては意味がありません。
今日は「天気マークの予報を使いこなす」というノウハウものを意識しつつ記事を書いてみました。
ところで今朝の長野市内、まだ雪が舞っていますが、千曲市方面に青空が顔をのぞかせています。

今日はセンター試験のようですが・・・はるか昔の共通一次試験を思い出します。
雪が降る中を自転車で信州大学工学部に向かう途中・・・・国鉄の陸橋の上で自転車のチェーンが外れ、手を油と雪まみれにして修理し、会場に急ぎました。
それ以来、共通一次試験には雪が降るというジンクスがあったのですが、センター試験と名称が変わってから、そんな話も無くなったようです。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

天気が回復基調のときは、あれこれ理屈をこねるより、どんなペースで回復するのかをビジュアルでイメージしておいたほうが良いと思います。
というのも、全国ネットの天気予報では、回復が遅れる地域を置き去りにして回復のイメージが強調されがちだからです。
ということで、今日、明日の天気マークをゆっくりチェンジするようにしてみました。
自分の頭上の天気マークに着目するのではなく、どのエリアで雪マークが減って、太陽マークがどのように拡大するのかを感覚的にとらえてみてください。
3、長野県の予報
長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。

こちらは、自分の頭上の天気マークが明日にかけてどう変化するのかに着目してみてください。
どうしても太陽マークに目が向いてしまいますけど、二つセットの「時々(一時)」の天気マークは左側のマークがメインの天気傾向です。
そして、自分の頭上の天気に影響しやすい一番近くの周囲の県の天気マークもチェックしておきましょう。
北部なら新潟県上越と富山県、中部南部は岐阜県。
県境ならこっちの予報を見たほうが良い場合もありますし、予報がハズレたときの天気がこれになることが多いんです。
で・・・今日から明日の天気マークのイメージができたところで、予報文を読んでみましょう。
長野県 16日 5時
北部
今日 北の風 雪 朝 から くもり (413)
明日 北の風 くもり 昼前 から 夕方 晴れ
所により 昼前 まで 雪 (201)
中部
今日 北の風 くもり 昼前 から 晴れ 所により
朝 まで 雪 (211)
明日 南の風 後 北の風 晴れ 昼前 から 時々
くもり (110)
南部
今日 北の風 晴れ (100)
明日 北の風 後 南の風 晴れ 昼過ぎ から 夕方
くもり (100)
予報文の末尾に(413)とか(211)という暗号のような番号が並んでいますが、テロップ番号といって、天気マークの番号。100なら太陽マーク一個を表示しなさいよという意味です。
天気マークの天気予報は、コンピューターがこの番号を自動的に読み取って、指定の天気マークを表示しているだけ。
風の予報や、「昼前から夕方」なんて時間指定までしてくれる予報文のほうが全然情報量が多いですから、これを読まないのはもったいない。177も同じですから、今さら・・・と思われがちな電話の天気予報ってかなり使えるんです。
(予報文のサイト http://www.imoc.co.jp/yohou/yhd_2.htm )
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

テレビの天気予報では、冬型がゆるむ・・・ということが強調されていると思います。
ただ、こちらも「冬型がゆるみにくい」というエリアが置き去りにされがちです。
北日本の冬型・・・西高東低の気圧配置が残るということも意識しておきましょう。
この影響を受けやすい県北部・・・それも新潟県境付近の回復はかなり遅くなりそう・・・ということになります。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
上で見てきた天気チェックの方法からすれば・・・南部の晴れはまず堅いでしょう。
お隣の愛知県や静岡県西部も晴れ・・・曇りの岐阜県南部も「のち晴れ」ですから・・・。
南部の予報は当たると思います。
中部・・・太陽マークがついていますが、左側のマークは曇りですから基本的に曇りベース。
どれだけ晴れ間がでるのか?ということですけど、昨日まで岐阜県側から流れ込む雪をブロックしてくれていた北アルプスに近いエリアでは晴れ間が出にくいと思われます。
雪ベースの予報が出ている富山県に近いエリアほど雲が広がりやすいということです。
一方、諏訪や八ヶ岳方面、そして上田や佐久方面は晴れ間というより冬晴れに近いでしょう。
お隣の山梨県や群馬県の太陽マーク一発!に近いはずです。
そして、大雪が続いた北部。
中部に近い長野市南部や千曲市は晴れ間が多いはずですが、北にいくほど雲が厚みを増して、県境付近は雪ベースの新潟県と同様雪の降りやすい状態が続きそうです。
以上のことをキチンと理解して天気予報をみていれば、比較的単純な気圧配置の今日は予報がハズレることはないはずです。
・・・とまあ、専門天気図など使わずに天気マークだけでここまで考えることができることがおわかりいただけたと思います。
テレビで見かける県内の予報は長野県だけしか表示していませんけど、周囲の県の予報も含めたものを増やしてくれると良いのですけど・・・。
ただ、天気マークだけのチェックで判断が難しいのは明日でしょうね・・・・。
高気圧が張り出しても、高気圧の中心がどこにあるか?高気圧の吹きだしの風がどう流れ込むか?で雲が広がりやすいことがあります。
もっとも、太陽マーク一発でも、予報文の中に曇る可能性がキチンと書かれています。
明日の南部の予報文は良い例です。
最後に、雪が続く飯山方面の降水(雪)の様子だけ専門の天気図で確認しておきます。

雪が本当に止むのは、明日の後半からということになりそうです。
このエリア・・・もうちょっと我慢ですね。
当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、
kasayangw@yahoo.co.jp
までメールしてください。
可能な限り返信いたします。