2010年01月14日

大雪情報が発表されています(1月14日)


 今朝の引き続き、長野地方気象台から大雪情報が発表されていますので、Kasayanの備忘録を作るついでに集めたデータ等もあわせて掲載しておきます。




 今日午後6時までの24時間で、一番降雪量が多かったのは飯山地方
野沢温泉で60センチ、飯山で51センチ。
 雪雲がかかり続けていた新潟県境の栄村(11日の記事に栄村森宮野原駅=JR積雪量最高地点を訪ねた写真を掲載しています)では、さらに積雪が増えていると思われ、今日も飯山線は戸狩から先で運転を見合わせていました。

 さて、長野地方気象台発表の大雪情報ですが、午前11時発表の情報までは県北部全般の大雪の警戒を呼び掛けていましたが、夕方発表の情報では中野飯山地域を中心にしたものになっています。
 午後7時現在、中野飯山地域に大雪警報が発表(発令という表現は行政命令ではないので誤りです)されていることもありますが、冬型の気圧配置が弱まるにつれて大雪のエリアも、飯山方面に限定されてきていることも確かです。

 積雪の実況は上の図に書き込んだので、実況を省いた形で引用掲載します。
なお、情報中の天気図は、気象庁発表の予想天気図にKasayanが加筆したものです。

大雪に関する長野県気象情報 第5号

平成22年1月14日16時56分 長野地方気象台発表

(見出し)
中野飯山地域では、15日にかけて大雪となるでしょう。大雪による視程障
害、積雪や路面凍結等による交通障害、農業施設の倒壊に警戒して下さい。

(本文)
[気象状況]
 長野県では、15日にかけて、強い冬型の気圧配置が続く見込みです。こ
のため、北部や県の西側の地域を中心に、15日にかけて断続的に強い雪が
降り、大雪となるでしょう。




[予想降雪量]
15日18時までの24時間に、いずれも多い所で、
 北部 大北地域山沿い   :40センチ
        平 地   :20センチ
    長野地域山沿い   :40センチ
        平 地   :20センチ
    中野飯山地域    :60センチ
 中部 乗鞍上高地地域   :20センチ
    松本地域の聖高原周辺:10センチ
       その他の地域 : 5センチ
    上田地域の菅平周辺 :10センチ
       その他の地域 : 3センチ
    諏訪地域と佐久地域 : 3センチ
 南部 木曽地域      :15センチ
       その他の地域 : 3センチ
の見込みです。

[防災事項]

 中野飯山地域では、大雪による視程障害、積雪や路面凍結等による交通障
害、農業施設の倒壊に警戒して下さい。
 大北地域、長野地域、乗鞍上高地地域、木曽地域でも、降雪による視程障
害、積雪や路面凍結等による交通障害、電線や架線、樹木への着雪、農業施
設の倒壊に注意して下さい。
 積雪の多い傾斜地では、なだれに注意して下さい。
 
[補足事項]
 次の「大雪に関する長野県気象情報」は、15日06時頃に発表する予定
です


 ところで、「今日、長野市内では雪が降らなかった」といったら、「なにとぼけたことを言っているんだ」という返事が返ってくると思います。




 これは14時の長野駅付近上空の様子。
雪雲を透して太陽が見えますが、しっかりとした雪粒が舞っていました

 一方、この時間、そして前後30分の気象庁のレーダーを見ても、長野市上空に雪雲は映っていません




 レーダーに映らない雪雲が雪を降らせているわけです。

 次に、当然雪が降っているはずの長野地方気象台(善光寺の東側)のアメダスの降水量や積雪深の記録を見ると・・・・




 積雪の変化は1センチ程度で誤差なのか判別がつきませんし、降水量は一日を通してゼロ

 これだけ見れば、「今日、長野市内で雪は降らなかった」と考える人もいるかもしれません。

 まず、降水量は雨量計で観測できないほど少ないもの・・・雪を溶かすと小さな水滴になって0.5ミリにも達しない程度のものだったと考えられます。

 また、レーダーに映らかかったのは、雪雲が薄霧のように弱いものであったこと、そして山肌にへばりつくような雲頂高度の低いものであったことが考えられます。

 長野県の雪雲は、主に霧ヶ峰の車山、新潟の弥彦山、福井の東尋坊、名古屋市に配置されているレーダーのデータを合成したものによって観測されています。
 レーダーの電波は直進性がありますから、2000m以上の山が入り組んでいる長野県の場合には、電波が届きにくいエリアに入り込んだ雪雲をとらえにくい傾向にあります。




 車山の標高は2000m弱

 雪雲の活発な部分が低い所にあれば、車山の北にある長野市の場合、美ヶ原や聖山付近の山々に遮られて電波が届かない可能性が出てきます。

 ちなみに、計算による今日の長野市の降水(雪)の様子を見ると、14時の降水量は非常に弱い0.2ミリ前後





 雲頂高度は3000m付近




 雪雲を構成している氷粒はかなり低いところにあったのではないかと考えられます。

 長野市で雪は降らなかった・・・・人間の目が必要なんですね

 
   


Posted by kasayan at 20:05Comments(0)雑記

2010年01月14日

天気予報は当たるのか?(1月14日)

 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 朝、目覚めて気になる積雪の様子から・・・・




 ざっと見たところ、新潟県境に雪は集中
そして、「昨夜の段階では」大雪情報に書かれていた予想降雪量より少ないと感じます。
 ただ、長野地方気象台からは今朝も大雪情報が発表されていて、さらなる降雪が予想されていますから、これで終わりじゃありません。

 記事の最後に予想降雪量を引用掲載しておきます。




 これ、昨日午後、長野県東部で晴れ間が広がったときの衛星画像。
北陸や東海で雪雲が広がっているのに、長野県東部だけ見事に晴れのエリアに入っています。

 西高東低の気圧配置が北東~南西に傾いていたので、県内には季節風が西寄り
北アルプスが完璧に雪雲をブロックしていたんですね。
 また、北アルプスの南側の木曽地方には雪雲が流れ込んでいて、中央アルプスが伊那地方への雪雲をブロックしているのもわかります。

 長野県の雪・・・・アルプスの影響がすごいです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 昨日に引き続き、九州も日本海側の雪エリアに入っていますけど、宮崎県など九州東部は晴れエリア
 九州全体が雪エリアだった昨日より冬型の天気分布がゆるんでくることが、天気マークの配置だけでわかります。

3、長野県の予報
 長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。





 天気マークは北部だけ雪なのねぇ・・・という感じですが、予報文をキチンと読めば今日から明日にかけての天気傾向がわかります

 北部は昼過ぎから時々くもりですから、次第に回復傾向・・・・だけど明日になると「時々 雪」ということで、今日の午後は一時的な回復という感じ。

 中部や南部も今日は「所により 昼過ぎ まで 雪」ですから、そのあとは回復
だけど明日になると「所により」はついていますが、「朝 から 夕方 雪」なので、明日日中は回復基調ながら雪の可能性があり。

 結局、北部ほど雪が降りやすい傾向が続くけど、今日の後半はいったん回復
ただ、明日になると再び雪が降りやすい・・・ということのようです。

 予報文は、電話の177の内容と同じ
ヘタに天気マークだけの天気予報を携帯で見るよりずっと情報量があるんです。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。





 実況天気図から予想天気図にチェンジしています。

 一目で大陸の高気圧が西日本に張り出していることがわかります。
ですから、西から冬型の気圧配置はゆるむ傾向。

 ただ、高気圧の張り出しが南寄り・・・・

 東日本は引き続き冬型の気圧配置。
強い冬型から普通の冬型に戻るといったイメージです。

 ホントは北海道を通過する低気圧も重要なんですけど・・・・長野にゃ関係ないのでパス。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今朝も長野地方気象台から大雪情報が発表されているので、防災情報が発表されているのに天気予報が当たるのなんの?といっているのはマズイでしょう・・・ということで、今日も当たりハズレはパス
 今日も詳しい解説にとどめておきます。

 まずは、今日の雪の傾向から見ていきましょう。




 午前9時と午後9時の予想降水(雪)量を並べてみましたが、一目瞭然で雪が弱まることがわかります。
 ただ、新潟県境付近・・・本当にしつこく雪が残るんですね・・・本当に豪雪地帯ですね。

 では次に、雪が弱まる理由・・・・寒気の変化も見ておきます・・・というのも、一つのデータだけで判断するとコンピューターの不安定な計算値にだまされてしまうから。
 総合的に判断しなければ・・・・これが結構メンドウ・・・・




 大雪の一つの目安となるマイナス36℃の寒気・・・北上しています。
ということで・・・雪が弱まる理由は冬型の気圧配置が西からゆるみ、寒気も抜けるから・・・ということで確定しました(本当はもっと沢山の天気図を見ています)。

 じゃ・・・なんで明日再び雪が降りやすい状態になるんだよ?
基本的に明日の天気図も今夜の予想天気図と見た目は大きく変わりません・・・・




 ここの部分は、天気予報番組を作るにあたって解説が一番困るところ。
よく耳にする「上空の気圧の谷が通過するため」という部分ですが、なんだかごまかされたような気がしますよね?
 だけど、それ以外に説明のしようがないので・・・・「地上の雪雲にパワーを与える上空の気圧の谷」と言いかえていますが・・・・・・




 昨夜から今朝にかけて雪雲を活発にした上空の谷は、今夜三陸沖へ。
明日、再び雪雲にパワーを与える谷が、今夜朝鮮半島付近へやってきます。
 こうやって図で示せば多少はわかりやすいのかな?

 まあ、こんな形で今日から明日の天気をまとめてみました。

 最後になりましたが、今朝発表の大雪情報から予想降雪量の部分だけ抜粋引用しておきます。
原本は http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html にあります。
 11時に新しい情報が発表されるようですから、チェックしてみてください。

[予想降雪量]
15日06時までの24時間に、いずれも多い所で、
 北部 大北地域山沿い   :30センチ
        平 地   :15センチ
    長野地域山沿い   :30センチ
        平 地   :10センチ
    中野飯山地域    :40センチ
 中部 乗鞍上高地地域   :15センチ
    松本地域の聖高原周辺:10センチ
       その他の地域 : 5センチ
    上田地域の菅平周辺 :10センチ
       その他の地域 : 5センチ
    諏訪地域と佐久地域 : 3センチ
 南部 木曽地域      :10センチ
    その他の地域    : 5センチ



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