2011年09月08日
台風14号進路予想と紀伊半島被災地の雨(9月8日)
(「紀伊半島の大雨の本当の理由!!」・・・興味がある方は一昨日の記事をどうぞ)
台風14号が発生してしまいました。
一昨日夜、そして昨日朝の計算値では発達がまったく計算されておらず、気象庁発表の明後日の予想天気図(気象庁HPで見ることができますよ)では消滅させていましたから、予報官も衛星画像で雲のカタマリが出来る様子を見て「ありゃりゃぁ!」という状態だったと想像しています。
台風の発生によって、しばらくは晴天が続くと思われた今後の天気も変化する傾向。
台風の進路予想は最新の進路予想図でチェックしていただくとして、このブログでは「台風14号で何が起こるのか?」を中心にまとめておくことにします。

米軍台風進路予想(TC Warning Graphicをクリック。日本時間は+9時間)
http://www.usno.navy.mil/JTWC/
気象庁5日間予報
http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
それでも一応、台風進路予想図とは別に、気象庁の通常の天気予報の基礎資料となるGSMモデルというシミュレーションデータは確認しておきましょう。

リンク先でチェックしていただいた進路予想図とほぼ同じだと思います。
ついでに、アメリカのGFSモデルというシミュレーションも見ちゃいますか・・・・

こちらも、ほぼ同様。
発達の程度については断言はできませんが、進路については劇的な変化という可能性は低いのでは?
17時45分追記 最新の計算値(8日12時初期値)ですが・・・・台風のコースは今朝の計算値とほぼ同じかやや北寄り。 そして速度は若干早まる傾向。 ![]() 今夜は暖湿気が流れ込む西日本南岸でまとまった雨になる恐れがありますが、明日は九州東岸で大雨。 地上に近い上空約1500mの寒気の様子も重ねておきましたが・・・暖かく湿った空気が流れ込む日本海では寒気との間に前線帯ができ、雲の帯が発生します・・・こちらの影響は今後の台風の進路次第・・・要チェック項目です。 ![]() それほど発達していない台風といえども九州にかなり近づいて通過するので、台風を押し流す上空の流れ。 太平洋高気圧の微妙な張り出し次第でもう少し北寄りになる可能性もありそうですから・・・・ありきたりですけど、最新の進路予想図でアップデートが必要です。 |
では今日の天気・・・・台風進路との流れもありますから・・・・今日はもったいぶらずに?真っ先に今日の雨と風のシミュレーションからチェックしていきましょう。

アニメを見ていただければコメントは不要でしょう。
繰り返しになりますが、所詮シミュレーションデータですから、台風がギリギリかすめるとか、雨は頭上にかかっていない、などと細かなことにこだわって見るのは誤った使い方。
あくまで天気変化の傾向を知る手掛かりとしてチェックして、予報官がこの図を修正したり安全マージンを考慮して作った天気予報の最終製品・・・府県天気予報を深読みするための(確からしさを把握するための)道具として使ってください。
府県天気予報: http://www.imocwx.com/yohoud.htm
上のアニメには、赤矢印で暖湿気、青矢印で寒気の様子を書き込みしておきましたから、暖湿気が西日本南岸に流れ込んで雨が降る・・・というメカニズムは直感的にご理解いただけるかと思います。
でも、直感的じゃどうしようもないので、予想天気図で詳しくチェックしておきましょう。

こちらも書き込みをしておいたので、読んでいただければ・・・・・・
今朝発表された短期予報解説資料というプロ用の資料の解説がとても簡単に書かれていたので、続いてこれも読んでおきましょう。


「台風14号で何が起こるのか?」で、一番懸念されるのが、紀伊半島など台風12号の被災地で雨が降るということ。
台風12号では、暖湿気の流れ込みによって、台風接近前に1000キロ以上も離れた関東で大雨になりましたが、今夜から予想されている西日本南岸の雨も規模は違えど同様の現象だからです。
問題の暖湿気の流れ込みの様子を詳しくチェックしておきましょう。

赤く色塗りしてある数字が強い暖湿気(暖かく湿った空気)のエリア。
台風12号と同様、太平洋高気圧縁辺の南風が手助けして、台風の東側から北上してきます。
そして、今夜には西日本南岸に到達・・・大気が不安定になって短時間の強雨が予想されているわけです。
ところで・・・・基本的に今日日中は、太平洋高気圧の覆われて乾いた晴天になりますから、テレビの天気予報では「今日も乾燥した爽やかな晴天になるでしょう」というようなコメントから始まると思います。
でも、西日本の方は、ここで注意をそらしてはダメ。
「ただ」・・・で始まるはずの西日本南岸の雨に関するコメントを聞き忘れないようにしてください。
(「ただ」以下のコメントをしなかったお天気キャスターは即刻レッドカードです)

これは気象庁HPに掲載されている天気マークの天気予報(上でリンクした府県天気予報を簡略化しただけ。「所により」は読みとることができないので、府県天気予報をチェックする前に天気分布を読みとるために使うのが正しい使い方)。
パッと見ただけでは西日本南岸の今夜の雨はイメージしにくいと思います。
ましてや、昨夜発表の予報では傘マークは全く表示されていませんでしたから、この図だけで天気を判断してはいけません。
(たぶん、昨夜の府県天気予報の中で「所により夜遅く雨」程度の予報だったと思います)
お天気キャスターのコメントが重要になってくる場面ですね・・・・・
西日本を拡大すると・・・・

ようやく西日本南岸の「のち 雨」の予報が見えてきました。
インターネットの天気予報では多くの場合、気象庁HPよりずっとデフォルメ、簡略化された図が掲載されていることが多いですから、天気マークの天気予報についても、地域拡大も簡単にできる気象庁HPを使うことをおすすめします。
ついでですから、天気予報のチェック方法についても・・・・
民間気象会社(日本気象協会も民間なんですよ)が発表しているピンポイント予報は、天気分布を天気マークの天気予報で概観し、府県天気予報をチェックした後、さらに詳細な天気傾向を知るために使うのが正しい使い方。
なぜなら、お隣のピンポイントエリアに雨マークがついていても、頭上のピンポイントエリアにはギリギリ雨マークが表示されないということもあるので、安全マージンをとることができないから。

天気マークの天気予報⇒府県天気予報⇒ピンポイント予報、という流れが正しい天気予報の使い方ですから、この機会に覚えておいてくださいね。
ちなみに、民間気象会社のピンポイントではないエリアの予報については・・・・気象庁発表の予報のセカンドオピニオンとして使うのが吉。
どちらの予報が当たる・・・だから××の予報しか見ない・・・という使い方は、正しい天気判断のチャンスを自ら放棄しているといってよいでしょう。

で・・・このブログの使い方?・・・以上のチェックをする前、あるいは後に、天気予報の安全マージンを考える資料にしていただければ・・・・・と思います。
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
(当ブログはリンクフリーです)