2010年03月20日
天気予報は当たるのか?(連休バージョン3月20日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
今朝も長野地方気象台から「強風となだれ及び融雪に関する長野県気象情報 第2号」が発表されています。
気温が急上昇したあとに急降下すること、南よりの強風が吹いた直後に北西の強風が吹くこと、という激しい天気変化ですから、まだ冬山のアルプスなどの登山に関しては最悪の条件でしょう。
今朝、ラジオで今日は何の日?というコーナーを聞いていて、昭和47年に富士山で一度に24人の死者を出す大量遭難があった日であることを思い出しました。
昔、放送の企画で取り上げたことがあるのですが、明日の天気図にそっくりです。

気象情報の原文を引用掲載しておきます。
風速が予想さていますが、瞬間の風速はもっと強いと思います。
強風となだれ及び融雪に関する長野県気象情報 第2号
平成22年3月20日05時30分 長野地方気象台発表
(見出し)
急速に発達する低気圧の影響で、21日にかけて、長野県では風が強まり、山岳では荒れた天気となるおそれがあります。強風、なだれや雪解けによる土砂災害等に注意して下さい。
(本文)
[気象状況]
20日は日本海を低気圧が急速に発達しながら北東に進み、21日には北海道付近を通過する見込みです。
このため、県内では広い範囲で風が強まり、南からの暖かい空気が流れ込み気温が上昇する見込みです。
また、21日は、明け方を中心にまとまった雨となり、その後は、冬型の気圧配置が強まるため、山岳では荒れた天気となるでしょう。
[風の予想]
20日から21日に予想される県内の最大風速は、
北部 南の風 13メートル
中部 南の風 14メートル
南部 南の風 13メートル
[防災事項]
県内では、強風、なだれ、雪解けによる土砂災害や河川の増水に注意して下さい。
[補足事項]
次の「強風となだれ及び融雪に関する長野県気象情報」は、20日17時頃に発表する予定です。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

全国的に下り坂ですが、何かが降るマークがついているのは西日本と北日本。
東日本・・・予報文を読むと、日中は暖かい晴れで次第に雲が広がってくる程度・・・夜になって南風の強まりとともに雨が降ってくるという流れです。
連休なので、続けて明日の予報も。

西日本は晴れマーク主体という感じですけど、他のエリアは傘マークや雪マークとセットになっています。
詳しく予報文を読んでみると、太平洋型は朝のうち一時的に雷を伴った激しい雨が降ったあと、次第に晴れ間が広がってくるという流れ。
一方、日本海側は朝のうち雨が降ったあと、次第に雪に代わってくるという流れです。
穏やかな晴れから、南風が吹きだして西から下り坂、そして前線通過時に強い風と雷、前線通過後は冬型へ・・・という春の嵐の典型パターンが見えてきます。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

県内は日中晴れでも夕方以降南風が強まってきて、雲に覆われたと思うと南部から雨が降りだすようです。
南部の雨には「所により」がついていませんから南部中心の雨ですね。
こちらも明日まで見てみましょう。

前線通過後、北部・中部は北風に変化・・・寒気が流れ込んできそうですね。
今夜降りだす雨は、明日朝にはいったん回復しそうですが、夜再び雪。
今度は北部に「所により」がついていませんから、北部中心に雪ですね。
予報文では中南部に「時々 晴れ」がついていますけど、マークは全県とも曇りベースですから、予報官の頭の中では前線通過後もスパッと回復しないというイメージがあるようです。
北部中部で北風にかわっても南部で南風の場合・・・回復が遅れる傾向は先週末・先々週末と同じパターンです。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今日の一言でご覧いただいた天気図とそっくりですよね。
どれだけ山に厳しい天気かということがわかりますが、海も同様です。
春と冬が一気に交代する春の儀式ですけど、連休にくることはないですよねぇ・・・
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
注意喚起の情報が出ていますから、天気予報の当たりハズレは検討しません。
天気変化の内容は上のアニメでわかりますから、もっと詳しく知りたい興味のある方向けに専門天気図のアニメ集を作っておきました。
わかるところだけ眺めるだけでも、今日明日の天気の特徴がわかると思います。
まず、上空の気圧の谷が急激に深まりながら通過していく様子と、上空の谷に対応する地上の低気圧の様子。

先週末と同様、南岸の前線と日本海の寒冷前線が合体するように東進しますから、長野県付近の天気は非常に複雑に変化します。
各アルプス方面でちょっと早めに雨が降り始めるパターンとも考えられそうです。
次は、上空の気温の様子。

今日は暖かい空気に覆われますが、明日前線が通過すると上層・下層ともに冬の寒気南下。
明日夜には、北日本や北陸を中心に降るものは雪になる寒気に覆われます。
太平洋側中心の雨から日本海側中心の雪へと変化する理由ですね。
続いて雨の様子。

今夜西日本を通過する前線の雨域が非常にシャープになって東日本を通過。
明日朝にはサッサと東海上に抜けていきます。
雨が止めば一時的に急速に回復・・・冬型にバトンタッチする前にかなり青空が広がるかもしれません。また、一時的に風がおさまるかも。
ただ、この青空にだまされるとヒドイしっぺ返しがやってきます。
夜にかけて日本海側は雪雲の降水が計算されています。
北西の冬の風も強くなってくるようです。
県内も詳しく見てみましょう。

今夜、前線接近前にすでに湿った空気が流れ込み、南西斜面中心に雨が降り出します。
そして雷をともなった激しい雨は午前4時前後。
一気に通り過ぎていきますけど、窓をガタガタいわせる風とともにドッと降りますから、家のまわり、物が飛ばないようにしときましょう。
県内、今日日中は大丈夫・・・夜から下り坂で明日は激しい天気変化・・・・明後日は冬型が弱まって天気回復傾向という流れですけど、どんなペースで回復するかは明日朝の検討にしときます。
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