2011年05月28日
台風2号予想進路と雨・風の様子(5月28日)
テレビやラジオの天気予報も、ネットの予報サイトも完全に台風2号モードに入っているでしょうから、ブログで同じことを書いたって意味がありません。
そこで、テレビの天気予報でキャスターがチラリと触れる話や、気象庁のプロ用の資料(短期予報解説資料)に書かれている「予報作成の根拠(キモ)」を簡単にまとめて、”自己判断の資料”を増やす手助けになりそうなことを書くことにしました。
ということで、コロコロ更新されるのでブログ向きではない予想進路図は、気象庁HPの予想進路図(http://www.jma.go.jp/jp/typh/)でコマメにチェックしていただき、セカンドオピニオンとして、米軍の台風予想進路図(http://www.usno.navy.mil/JTWC/ TC Warning Graphic)をご紹介するにとどめます。
で・・・・このブログでは、台風の進路がわかっても、「何が起こるのか?」がわからないと意味が無いと考えて、まずは視覚的に台風の影響をイメージできるよう、通常の天気予報を作成するためのシミュレーションの計算値・・・・GSMという資料に書き込みをしてアニメを作成しました。

沖縄が暴風域に入ってくるのは一目瞭然ですが、「先行して今日から本州南岸の梅雨前線が活発化」すること、そして「明日29日から明後日30日にかけて西日本~東日本の南岸中心に暴風と大雨のおそれがある」ということが、この図から読みとれるポイント。
なお、福島の原発がらみ・・・放射性の塵や気体の飛散が気になる方がいらっしゃるでしょうから、台風通過に伴う風向の変化について、オレンジの矢羽根を書き込んでおきました。
明日(29日)夜以降、関東地方では強い北東風が福島県方面から吹き込む可能性がありそうですが、あくまて放射性物質が多量に飛散した場合に影響がある・・・ということなので・・・・・
次に、気象庁がプロ用に発表している資料(短期予報解説資料)に沿って、台風に関する情報を簡単にまとめてみましょう。

上で見たアニメを一枚の図にまとめるとこんな感じ。
図の読み方を書き込んでありますから、解説は不要ですよね?
で・・・・この図に付随して、こんなコメントが書かれています。

①~③の考察が書かれているわけですが、赤のアンダーラインが「観測値や計算値を観察して読みとれること」で、黄色のアンダーラインが「読みとったことから考えられること」になります(だから「考察」ですね)。
ちょっと難しい感じがしますけど、いずれも天気予報番組でお天気キャスターが解説している内容を専門的に書いてあるにすぎません(キャスターは黄色のアンダーラインの部分しかコメントしないんですよね)。
まずは、台風の発達や衰弱に大きな影響を与える①海面水温の様子から。

台風のエネルギー源は暖かい海水(蒸気機関車みたい)ですから、日本付近の冷たい海水域ではエネルギーを断たれて台風は衰弱します。
予報官は、気象衛星で観測した海面水温の様子を見て、「台風は今後、衰弱過程に入る」と考えています。
また、台風が衰弱するとしても、「何時まで台風としての性質を維持し続けるのか?」「台風としての影響があるのか?」ということが気になりますから、予報官は、②台風が暖かい海水から暖湿気としてパワーを受け取る様子(相当温位)をチェックしています。

水色が濃いところほど、暖かく湿った空気として雨雲を作るパワーのあるところを意味しますが、台風が台風としての性質を維持している場合、台風の上空では温かく湿った空気が円形に渦を巻いているという傾向にあります。
図のように、明日(29日)21時の段階で、暖湿気の渦が台風上空に計算されているので、紀伊半島付近に進むまでは台風の性質を維持し、西日本の南岸は暴風域に入る可能性があると判断されているわけです。
最後に予報官は、③上空の寒気と相まって大雨になる理由を説明しています。

上空のジェット気流の蛇行が激しくなって、やがて上空の空気が流れから切り離されて淀みの渦のようになることがあります(蛇行する川の蛇行部分での淀みと同じです)。
その空気が冷たい空気だったとき、これを”寒冷渦”などと言うのですが、この寒気の渦が台風の接近と同じタイミングで、大陸から九州付近にやってきます。
寒冷渦の寒気と、台風の暖湿気がぶつかれば、大気が不安定になって、雷雲が発生。
夕立ならすぐに収まりますけど、台風が南から次々と暖湿気=雨の原料を吸い寄せるので・・・大雨の恐れがあるということです。
以上、今朝発表された予報のポイント①~③を簡単にまとめてみましたが、たぶん、多くのお天気キャスターは、①~③の中にいずれかを簡単に(結論だけ)説明するでしょうから、そんなときには、上の図を思い出してください。
最後は、今日正午の風や雨の様子。

詳しいことは書き込んであるので・・・・・
東日本太平洋岸は基本的に南東の風で推移しそうです。
週末ですから、時間があれば・・・気が向けば・・・・・随時加筆・・・あるいはブログの更新をしてみたいと思っていますので、気になる方はチラリと覗いてみてください。