2010年01月18日
天気予報は当たるのか?(1月18日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
冬型の気圧配置が弱まっていますが、昨日と一昨日、雪雲が生まれる日本海から雪雲が消える長野まで、「雪雲の道」を訪ねてみました(17日の記事、16日の記事)。
今日日中は引き続き晴れる長野県ですが、今夜、「雪雲の道」を通って雪雲がフラリと訪ねてくるかもしれません。

今朝の長野市内、放射冷却で氷点下7度前後。
昨日に引き続き、上空より地上の気温が下がる逆転層ができて、煙突の煙が横に流れています。
周辺の山の高さから推測すると、地上400~500m付近が逆転層の境界。
日の出のオレンジに染まる菅平とのコントラストは、ちょっと幻想的な雰囲気です。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

今日はここ半月とはちょっと異なったエリア分けになっています。
東日本は「のち・・・」のマークが多くなっていて、右側の天気マークが曇りや雪。
北にいくほど雪マークが増えています。
今日、このエリアに天気を悪くする何か?がやってくるということですから、今日のチェックポイントはこの「何か」が中心になります。
また、雪マークのエリアが県内にも拡大しないのか?を確認しておく必要がありますね。
3、長野県の予報
長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。

今日の県内は晴れベース。
ただ、北部だけが「のち 曇り」マークになっていて、予報文によれば曇るタイミングは夜。
また、あいかわらず北部の予報文には「所により 雪」がついています。
「所により」はどこでしょう?
また、周辺各県の天気マークの多くは「のち 曇り」が多く、富山や新潟は「のち 雨(雪)」マークになっています。
にもかかわらず長野県中部と南部は太陽マーク一発!、予報文も晴れ一発!
本当にこれでいいのかな?という感じがしませんか?
県南部のお隣・・・静岡県中部西部も太陽マーク一発ですが、このあたりだけが太陽マークということのようですが・・・・あとでチェックしておきます。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今朝のテレビやラジオの天気の解説は結構ばらついていたと思います。
東日本の「のち・・・」の理由について、東北や北陸を重視して説明すると、日本海に発生した低気圧の影響ということになりますが、関東や東海の曇りを重視して説明すると、気圧の谷について説明することになります。
また、日本海の低気圧が弱まる傾向にあるので、上空の気圧の谷が通過するため・・・とあっさり処理してしまう人もいるかもしれません。
さらに、関東ローカルでは南から湿った空気が流れ込み・・・というような関東限定の解説をする人もいるかも・・・・。
こういう場合、南北に長い長野県の解説は・・・雪の可能性もあるので低気圧中心かな?
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
上の一般的な天気図の解説では、地上の高気圧と高気圧の間の気圧の谷の影響・・ということを強調してみました。
長野県の場合はこれでも良いと思いますが、そうなると中部や南部はなんで曇らないんだよ・・・周囲の県はみんな曇るんだろ?という疑問が出てきちゃいます。
まず、広い範囲をもうちょっと深くチェックしてみます。

例によって、地上の天気悪化にパワーを与える上空の気圧の谷の様子。
今夜、上空の気圧の谷が発達しながら(深く・・そして南北に長くなって)本州を通過します。
これがもっと深い谷だったらドカンとした低気圧が発生して、北日本の天気はもっと悪化するはずですが、今回の気圧の谷はそこそこ。
谷が深めなのは北日本中心ですから、長野県内に大きな影響を与えるものではなさそうです。
つづけて、上層の寒気と下層の暖気の様子をチェック。
日本海を東進する低気圧の発達の程度や性質、降るものが雪?雨?に関係してきます。

まず、上層の気温ですが、ここ数日寒気はゆっくりと北上する傾向でしたが、今夜上空の気圧の谷が通過するタイミングでちょっとだけ南下します。

そして、下層の気温・・・上層とは反対に気圧の谷の通過のタイミングで上昇傾向。
低気圧は弱まる傾向ですけど、大気が不安定になりますから・・・小粒でもピリリ・・・低気圧付近では雷なんかも発生して一時的に雪や雨が強く降る可能性があります。
また、下層の気温上昇で北陸では雨が中心になりそう。
北部の「所により 雪」の雪も、かなり湿った雪の可能性があります。
では、長野県にズーム。
チェックポイントは「所により 雪」のエリアと、中部・南部は曇らないの?でした。

まず、MSMという天気のシュミレーションデータを見てみます。
「所により」のエリアは北アルプス周辺のようですね。
一方、昨日まで雪が降り止まなかった飯山方面はほんのわずかの降水しか予想されていません。
これ、西寄りの風が雪の素を運んでくるときに多いのですが・・・北アルプスが雪の素をブロックしてこの周辺だけに雪が降るパターン。
雲の予想を見ても、富山県や岐阜県・・・そして新潟県を覆っている雲が北アルプスでスパッとブロックされています。
だから、中部・南部は晴れマーク一発なんですね。
でも・・・・西寄りの風で雪の素が運び込まれるときには、北アルプスのブロックが効かない南部には西から雲が流れ込みやすい傾向にあります。
そこで、もうひとつの計算値、全地球モデル(GSM)という計算値もチェック。

こちらでは、木曽方面に雲が流れ込んでいます。
日中は晴れだと思いますが、北部同様に「夜 くもり」にしても良かったのかも・・・・
ということで、北部は、大北地域と飯山地域で雲が広がりやすく、低気圧が近づく午後から雪がちらつく可能性もあるということを意識していれば予報は当たると考えて良いと思います。
また、北アルプスのブロックが効く中部も晴れの予報も当たると思います。
一方、南部・・・一日を通して晴れの予報になっていますが、こちらの予報・・・晴れ一発についてはアヤシイと思います。
まあ、雨や雪の可能性はありませんから、ハズレと感じることは少ないと思いますけど・・・・・
(オマケ)
しばしば暖冬の長期予報のハズレが言われますけど、今日明日の予報と違って、長期予報の当たりハズレも長期で判断する必要があります。
長期予報・・・なんですから。
この点、せっかちなKasayanはあまり好きじゃない予報なんですね・・長期予報って。
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Posted by kasayan at 08:47│Comments(0)
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