2011年09月20日
台風15号の動向と雨・風の変化(9月20日)
12時40分追記あり、 18時00分追記あり |
沖縄方面を除いて、3連休中に台風の直接の影響はありませんでしたが、今日から明後日にかけて全国的に台風モード。

気象庁5日間予報
http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
米軍台風進路予想(TC Warning Graphicをクリック。日本時間は+9時間)
http://www.usno.navy.mil/JTWC/

西日本南岸中心に、台風12号の被害に追い打ちをかけるような強い雨が降っていて、雨はますます強まる傾向です。
ご存じのように、台風からの湿った暖かい空気(雨の原料=暖湿気)が山にぶつかって雨雲を発生させるとともに、秋雨前線を活発化させているため。

台風12号のときは、山にぶつかる雨雲中心の紀伊半島と、秋雨前線の雨雲中心の北海道でまとまった雨が降りましたが、今回は両方がミックスしてより広い範囲で大雨になっています。
では最初に、今日の天気の着目点を、短期予報解説資料(プロ用の資料)で確認しておきましょう。

ポイントは・・・・・
①今日から明日、比較的長い時間をかけて大雨の範囲が東日本へと移動していくということ。
②台風が明日以降加速すること。
③東日本を通過する際も、暴風域(風速25メートル以上)を伴っているということ。
西日本中心の大雨と、東日本を含めた強風(暴風)が要注意点になりそうですね。
まずは、一番気になるであろう①大雨の様子から・・・・
まずは、今夜9時までの雨の様子を風の流れと絡めて、MSMという解像度の高い計算値でチェック。

地上付近で、北東の風と南寄りの風が赤の点線付近でぶつかっていることがわかると思います。
北東の風は冷たい秋の風で、南寄りの風は暖湿気を運ぶ風。
上昇気流帯が発生して、雨雲が特に発達しやすい場所です。
西日本中心の大雨といっても、東日本も気を抜けない状態といえそうですね。
では、続く今夜9時以降の雨の様子を、GSMという解像度のやや低い計算値でチェック。

明日未明には台風本体の発達した雨雲が南岸にかかってきて、明日朝には、台風12号がノロノロと北上した位置に台風15号がやってきます。
今回は北東に進むので、紀伊半島の強雨のピークは台風の加速とともに解消しますが、それでも一時的には台風12号のときのような短時間の強雨の可能性も。
また、この計算値見る限り、明日は東日本でも一時的とはいえ短時間強雨や竜巻などへの警戒が必要といえそうです。
そして・・・・以上の計算値はすべて1時間降水量ですから、積算するとどれだけの降水量になるのか?が心配になるところ。

降水量に関する気象庁の公式見解は書き込みの降水量・・・全般台風情報というニュースの元ネタになる情報で、今朝(20日)4時40分発表のもの。
図は、12時間降水量を表していて、数字は極値になりますが、極値の数字を加算していくと、気象庁の公式見解に近い数字になるはずです。
一般に積算降水量が200ミリを超えると土砂災害が発生しやすいと言われていますから、誰がなんといおうと厳重警戒の大雨ということは確かでしょう。
大雨のチェックはこのくらいにして、明日以降、暴風域を伴った台風が加速しつつ接近することによって心配される強風の様子をチェック。
まずは、②加速する台風の様子から。

今日の偏西風は日本海の北側・・・台風はまだノロノロ。
しかし、明日になると朝鮮半島方面から上空の気圧の谷が南下してきます。
これに伴って偏西風も急速に南下。
台風をキャッチして明後日にかけて一気に台風を押し流すことになりそうです。
台風を押し流す風速と台風自体の強風の風速が加算されて・・・明日は風台風の様相を示すかもしれません。
地上付近の③強風の様子を風速のアニメにしてみましたが・・・・

陸上は地面の摩擦で風速が弱くなりますが、最大瞬間風速はこのアニメの平均風速の1.5~2倍。
地形的に風が吹き抜けるような盆地や谷では風が一段と強まる傾向もあります。
上でチェックした降水量のアニメには風向も掲載されていますから、風向と併せてどのような風が吹くのか?を考えて、東日本では今日中に対策は終えておきたいところです。
で・・・最後は・・・・以上の計算値を思い浮かべながら・・・・気象庁発表の天気予報で、ご自分の頭上の天気の公式見解?を確認してくださいね。
気象庁短期予報(最寄りの地域をクリックして拡大、予報文も読むこと)
http://www.jma.go.jp/jp/yoho/
気象庁週間予報(更新は11時と17時)
http://www.jma.go.jp/jp/week/
・・・今朝の台風チェックはこのくらいにしておきますが、昼飯でも食べながら天気チェックをして、気付いたことがあれば追記したいと思います。
12時40分追記 昼の気象レーダーの画像 ![]() 瀬戸内海の南側で発生した雨雲は、四国をはさんで北東方向と北西方向に分かれて流れています。 地上付近の風の様子をアメダスでチェックすると・・・・ ![]() 雨雲が発生しているあたりに南寄りの風と北寄りの風がぶつかる収束線・・・今日の記事に掲載してある計算値どおり。 風の温度・・・気温をチェックしてみると・・・・ ![]() 北寄りの風が吹いているところでは気温が低く、20℃を下回るところもちらほら・・・ このあたりが秋と夏を分ける(地上付近の)秋雨前線。 上空の風もチェックしてみると・・・ ![]() 上空にいくほど南風優勢・・・・地上付近の冷たい空気の上を暖かい風が滑り上がり・・・上昇気流になって雨雲が発達しているんですね。 暖湿気が山にぶつかって発生した雨雲がメインだった台風12号と異なり、前線の雨も加わった15号。 北上とともにさらなる警戒が必要ということになりそうです。 以上の図はすべて気象庁HPに掲載されています。 こんな使い方をすると効果120%ですよ。 |
17時50分追記 名古屋市で109万人に避難勧告が出されているということなので、名古屋方面の大雨の様子をまとめておきました。 ![]() 昼の追記と同様、名古屋方面でも太平洋岸平野部まで日本海の寒気が南下。 日本海の寒気と台風からの暖湿気がぶつかるライン(赤点線)をはさんで、気温が急変しているのがわかります。 ![]() これは地上付近の風の様子(計算値)とレーダーの画像を合成したもの。 北東風によって三重県付近まで寒気が南下して、名古屋付近に南北に風がぶつかる収束線(黄点線)が形成され、収束線に沿って雨の強いエリア(赤)が観測されています。 (静岡県方面は長野県山岳地帯がブロックして風が弱く収束線は形成されていません) 一方、上空1500m付近の風の様子を重ねてみると・・・・ ![]() 地上と異なり南風が優勢・・・昼の追記と同様、収束線付近を踏み板にして、暖湿気が寒気の上を日本海まで滑り上がっているようです。 寒気を滑り上がるということは・・・広い範囲で上昇気流が発生して雨雲が発達しやすい状態。 また、鈴鹿山脈に沿った流れと伊勢湾方面からの流れが南北に収束して、上空でも雨雲が発達しやすい状態が重なっています。 では、この雨がいつまで続くのか? 台風が北東進するにつれて、風向が変化して、この風の収束しやすい状態が解消されるまで。 ・・・今朝掲載したMSMという計算値の傾向からある程度読みとれると思うので、じっくりとチェックしてみてください。 もちろん・・・気象庁発表の最新の予報や情報をチェックするのが優先ですが・・・・ 東海地方気象情報 http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/105_index.html |
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Posted by kasayan at 08:03│Comments(0)
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