2011年09月15日
台風15号の進路予想と・・・(9月15日)
3連休を控えて、台風15号の動向が気になる方が多いと思います。
また、紀伊半島方面では土砂ダムを抱えてさらなる大雨をもたらすかもしれない台風15号の動向に進路予想図とにらめっこしておられる防災担当者の方々もいらっしゃることでしょう。
にもかかわらず・・・・

進路予想図は5日間先まで沖縄付近に台風が停滞することを予想しているのみ・・・・・
このブログでは、観測の度に更新される進路予想図を引用しないのが原則ですが、停滞の可能性が高くなっているということを一目でわかるよう、例外的に引用しました。
米軍台風進路予想(TC Warning Graphicをクリック。日本時間は+9時間)
http://www.usno.navy.mil/JTWC/
気象庁5日間予報
http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
こうなると・・・・「長く停滞」することで「何が起こるのか?」「停滞後にどのような動向を示すのか?」が一番気になります。
そこで、今朝は①台風の動向に影響する太平洋高気圧の様子と水蒸気(雨の原料)の様子、次に計算値がそこそこ信頼できそうな②17日21時までの台風の影響(雨)、そして、計算値の信頼性が落ちるけれど、参考資料という位置づけで③17日以降の台風の動向について、かなり詳しくまとめてみたいと思います(少々長いですよ)。
(今日の天気については最後に簡単にまとめてありますから、興味の無い方はそちらからどうぞ。)
では、①台風の動向に影響する太平洋高気圧と水蒸気の様子・・・・・
イメージしやすいように、まずは衛星の水蒸気画像で広い範囲の状況の把握しておきましょう。

台風を押し流す強い偏西風は、台風よりずっと北の大陸の沿岸・・・ひまわりの水蒸気画像で”白くない帯状の場所”=太い赤線部分。
秋雨前線に対応した弱い偏西風も日本海中部に流れています。
ということは・・・偏西風と台風の距離が大きく台風を速やかに押し流す気配はありません。
それでは、日本付近に拡大して、水蒸気の様子(雨の原料)についてもう少しチェックしておきましょう。

東日本や西日本は太平洋高気圧に覆われて、”白くない”水蒸気が少なめのエリアに入っていますが、台風15号の北東側には水蒸気たっぷりの空気が反時計回りに流れ込んでいます。
先に見た台風進路予想どおりに台風が進めば、今日の午後にも九州方面に水蒸気が流れ込んでくる可能性・・・・九州で雨が降り始めるかも・・・・・
ざっくりと全体の様子はわかりましたが、どうして台風が停滞するのか?原因がわからないと・・・・
まずは一般的に台風の動向に影響する上空5800m付近の高気圧の様子から。

確かに北上をブロックするように高気圧が日本付近を覆っています。
でも・・・・高気圧が東側に後退すれば北上してくるはず・・・・高気圧は後退しないの?

17日夜にはそこそこ東側に後退する予想。
ということは台風が北上してくるんじゃ?・・・・さらに上空の天気図をチェックしてみると・・・・

はるか上空では高気圧が台風をとり囲んでいて、北にも東にも・・・そして西にも台風を進めないようにしています。
だから・・・台風進路図は停滞を予想し、米軍の進路図にいたっては南にUターンを予想しているわけですね。
しかし・・・進路予想図のように沖縄方面に進むことによって、いずれにせよ水蒸気が西日本方面に流れ込むようになり、その状態が継続してしまうことが予想されます。
水蒸気の様子をイメージし易いように3Dで表現してみました(正確には水蒸気と気温も合わせた暖湿気の様子)。

今日午後の予想ですが、今後さらに暖湿気が流れ込むようになって、その状態がずっと続いてしまうということが考えられます。
先の紀伊半島じゃありませんけど、長雨が予想されるので・・・・・何に警戒する必要があるかは誰もがご存じですよね?
以上を踏まえて②17日21時までの台風の影響(雨)を詳しくチェックしておきましょう。

最後の1枚だけ24時間降水量の予測になっているので注意してください。
書き込みをしてあるので読みとるべきことは図を見ればわかりますよね?
大ざっぱに言えば・・・今夜、宮崎方面で雨が降り出し、次第に東へ拡大。
四国南部や紀伊半島で雨がまとまり初めて、赤の四角で囲った数字=12時間降水量を加算していくとかなりの降水量になるということです。
あくまで生の計算値ですから、予報といえるレベルにするためには他のデータも加味して修正を加える必要があります。
また、予報円の範囲内で台風の位置がズレ、雨のエリアも変化してきます。
これをそのまま鵜呑みにして浮足立つのはどうかと思いますが、それでも警戒を要する状態が目前に迫っていることを教えてくれるデータといえるでしょう。
対策のコストと、被害のロスを考えるための参考にしてください。
そして、気になるであろう③17日以降の台風の動向・・・・週間予報を思い出していただければわかりますが、ただでさえズレが生じるシミュレーションに台風が加わって計算値はそのまま信頼するわけにはいきません。
しかし・・・「こういう計算結果もある」ということで、22日の計算値をご紹介しておきたいと思います。
あくまで参考のためですから、判断はご覧になった方の自己責任で・・・・・

データから読みとれることは書き込んでありますが、ひとつの天気のシナリオとして矛盾はない計算結果だと思います。
また、ヨーロッパ中期予報センターとアメリカのGFSモデルは、同じく22日について以下のように計算しています。


本当にこのようになるのか?ならないのか?Kasayanには全くわかりません。
ただ、可能性としてゼロではない・・・ということだけは言えます。
不確かなデータを引用するのはどうか?と思いましたが、存在するデータがある以上、ご紹介だけはしておくことにしました。
・・・長々と台風15号について書いてきましたが、今日の天気は・・・・

ここまでの説明で、予想天気図の書き込みを見れば十分にご理解いただけると思います。
そして、いつもの雨と風の様子も・・・・

見るだけでわかりますよね?
ずいぶん長く書いてしまって・・・更新時間も遅くなってしまいました・・・・・・
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNI、プログラム配布先より使用許諾を得ています)
(当ブログはリンクフリーです)
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大晦日~元日~2日の天気と初日の出(12月31日)
今日は冬型、大晦日は穏やかに(12月30日)
前線通過、今夜から再び冬型へ(12月29日)
冬型緩むも次の寒波が・・(12月28日)
年末年始の空模様・・年末にかけテンポ早く(12月27日)
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Posted by kasayan at 08:01│Comments(8)
│雑記
この記事へのコメント
おはようございます。
上層のジェット気流(偏西風)がなぜ前線と対応しているのでしょうか?
ジェット気流の強風により、低気圧というか上層風が発生しやすいからでしょうか。
よろしくお願いいたします。
上層のジェット気流(偏西風)がなぜ前線と対応しているのでしょうか?
ジェット気流の強風により、低気圧というか上層風が発生しやすいからでしょうか。
よろしくお願いいたします。
Posted by DK at 2011年09月15日 09:04
>>DKさん
温度風の関係・・・・といってもアレかもしれませんが・・・・
暖かい空気と冷たい空気がぶつかる場所では気圧差が生じて風が発生しますが、地球の自転の関係で東西に風が吹くことになります(比較的中・下層)。
その場所が秋雨(梅雨)前線になるので、ジェット(サブジェット)と対応します。
その他、ジェットの主流(寒帯ジェット)と、サブジェットがクロスするような場所(今なら北海道の北あたり)では、空気が上層で発散、下層で収束するので、上昇気流が発生しやすくまとまった雨が降ることになります。
温度風の関係・・・・といってもアレかもしれませんが・・・・
暖かい空気と冷たい空気がぶつかる場所では気圧差が生じて風が発生しますが、地球の自転の関係で東西に風が吹くことになります(比較的中・下層)。
その場所が秋雨(梅雨)前線になるので、ジェット(サブジェット)と対応します。
その他、ジェットの主流(寒帯ジェット)と、サブジェットがクロスするような場所(今なら北海道の北あたり)では、空気が上層で発散、下層で収束するので、上昇気流が発生しやすくまとまった雨が降ることになります。
Posted by kasayan
at 2011年09月15日 10:39

こんにちは。
台風や長雨について、とてもよくわかる説明をありがとうございました。
どうして沖縄付近で何日も停滞するのだろうと疑問に思っていたことがよくわかりました。
私は、三重県伊勢市に住んでいます。こちらでは、17日(土)に小学校の運動会を予定している学校がたくさんあります。
17日に運動会はできるのでしょうか? ズバリお答えいただけると,大変うれしいです。また、できなかったとき順延にするのですが、18日も19日も余りよくなさそうだし・・・
どうなるのでしょうね。
すみません。もしよろしかったらお教えください。
台風や長雨について、とてもよくわかる説明をありがとうございました。
どうして沖縄付近で何日も停滞するのだろうと疑問に思っていたことがよくわかりました。
私は、三重県伊勢市に住んでいます。こちらでは、17日(土)に小学校の運動会を予定している学校がたくさんあります。
17日に運動会はできるのでしょうか? ズバリお答えいただけると,大変うれしいです。また、できなかったとき順延にするのですが、18日も19日も余りよくなさそうだし・・・
どうなるのでしょうね。
すみません。もしよろしかったらお教えください。
Posted by クシュコ at 2011年09月15日 11:54
はじめまして。
質問に回答して頂けたら幸いなのですが、19日から3泊4日にて沖縄旅行を計画しております。
その期間の沖縄はどのような状況になるか(台風15号はとどまっているか、台風の規模)等、ご教示いただけますでしょうか?
旅行のキャンセルも視野に入れております。
お教え頂けたら幸いです。
質問に回答して頂けたら幸いなのですが、19日から3泊4日にて沖縄旅行を計画しております。
その期間の沖縄はどのような状況になるか(台風15号はとどまっているか、台風の規模)等、ご教示いただけますでしょうか?
旅行のキャンセルも視野に入れております。
お教え頂けたら幸いです。
Posted by 竜太郎 at 2011年09月15日 12:15
いつもとても参考にさせて頂いています。
前回は質問に答えて下さり有難う御座いました。
また質問なのですが、今日の地球気の週間予報解説資料を見ると
台風15号が22日に関東に進んでくる予報となっていますが
kasayan様はこの事についてどうお考えですか?
また宜しくお願いします。
前回は質問に答えて下さり有難う御座いました。
また質問なのですが、今日の地球気の週間予報解説資料を見ると
台風15号が22日に関東に進んでくる予報となっていますが
kasayan様はこの事についてどうお考えですか?
また宜しくお願いします。
Posted by ハルパパ at 2011年09月15日 12:30
はじめまして。
いつも様々な予報図を用いた解説、たいへん勉強になります。
ある程度、予報図や予報解説資料が読めるようになったレベルの小生にはたいへん参考になり毎日拝見しております。
本日はひとつ質問があるのですが。
参考程度としてウェザーニュース・ラボのGSMの22日の合成図を掲載されていますが、FTが192となっております。
小生のほうではFT=84までしか見れないのですが、これはどうやって取得できるのでしょうか。何か別途必要なもの(ライセンスのような?)が必要なのでしょうか。
瑣末なことで恐縮ですがよろしくお願いいたします。
いつも様々な予報図を用いた解説、たいへん勉強になります。
ある程度、予報図や予報解説資料が読めるようになったレベルの小生にはたいへん参考になり毎日拝見しております。
本日はひとつ質問があるのですが。
参考程度としてウェザーニュース・ラボのGSMの22日の合成図を掲載されていますが、FTが192となっております。
小生のほうではFT=84までしか見れないのですが、これはどうやって取得できるのでしょうか。何か別途必要なもの(ライセンスのような?)が必要なのでしょうか。
瑣末なことで恐縮ですがよろしくお願いいたします。
Posted by NaN at 2011年09月15日 13:43
>>クシュコさん
はじめまして。
このブログをご覧になったのでしたら、およその空模様のイメージができると思います。
そのイメージを持ちながら気象台発表の天気予報と週間予報を見てください。
(予報文もキチンと書かれている気象庁HPを使ってくださいね)
予報用語の定義(「時々」と「一時」の違いなど、気象庁HPに書かれています)を意識しながら読めば三連休のどの日が良いのか見えてくると思います。
私がここでコメントしても状況は時々刻々と変化しますし、修正もできません。
気象台は最低1日3回、新しい情報で地域の特性も考慮して予報を出してくれます。
これを120パーセント使わない手はありませんよ。
>>竜太郎さん
はじめまして。
上で、クシュコさん宛てにこのブログの使い方を書いておきましたので、参考にしてみてください。
時々刻々と変化する台風・・・それも直接の影響を受ける沖縄の様子は那覇の気象台発表の予報を120パーセント利用するのが一番良いと思います。
19日出発予定ですから、まだ週間予報の範囲なので、暴風などは予想されていないと思いますが、17日11時発表の短期予報には明後日の予報として19日が入ってきます。
可能であれば、そこで「暴風」の文字が書かれているか否かで、真剣にキャンセルを考えてみてはいかがでしょうか?
>>ハルパパさん
週間予報は通常のGSMとは異なりアンサンブル予報という手法を用いています。
したがって、GSMとは異なった結果が出ることがしばしばあります。
また、22日近辺は台風が南下してきた前線上のジェットで急速に北東に流されるタイミングになる可能性があります。
このため、わずか半日のタイミングのズレで、九州付近に台風を予測していたり、関東付近まで流された状態を予測したり、一見バラツキが大きく見えたりするはずです。
22日はまだまだ先の出来事ですから、半日くらいは余裕の誤差範囲と考えます。
>>NaNさん
はじめまして。
NaNさんは早朝の天気チェックはされていますでしょうか?
早起きをされると気付くと思いますが・・・・・これでは答えになりませんよね。
ラボをお使いでしたら、画面右側にあるAnalysis Viewerを使ってください。
そして、Viewerの左上にある「base」で、「2011/09/○○ 12Z」を選択してください。
初期値12Z(前日21時)の計算では192時間先まで計算されています。
もっとも内容については3時間毎になっている要素もあります。
これは、週間予報資料の作成などを考慮した気象庁のスパコンの運用スケジュールでそうなっているからです。
これからもよろしくお願いいたします。
はじめまして。
このブログをご覧になったのでしたら、およその空模様のイメージができると思います。
そのイメージを持ちながら気象台発表の天気予報と週間予報を見てください。
(予報文もキチンと書かれている気象庁HPを使ってくださいね)
予報用語の定義(「時々」と「一時」の違いなど、気象庁HPに書かれています)を意識しながら読めば三連休のどの日が良いのか見えてくると思います。
私がここでコメントしても状況は時々刻々と変化しますし、修正もできません。
気象台は最低1日3回、新しい情報で地域の特性も考慮して予報を出してくれます。
これを120パーセント使わない手はありませんよ。
>>竜太郎さん
はじめまして。
上で、クシュコさん宛てにこのブログの使い方を書いておきましたので、参考にしてみてください。
時々刻々と変化する台風・・・それも直接の影響を受ける沖縄の様子は那覇の気象台発表の予報を120パーセント利用するのが一番良いと思います。
19日出発予定ですから、まだ週間予報の範囲なので、暴風などは予想されていないと思いますが、17日11時発表の短期予報には明後日の予報として19日が入ってきます。
可能であれば、そこで「暴風」の文字が書かれているか否かで、真剣にキャンセルを考えてみてはいかがでしょうか?
>>ハルパパさん
週間予報は通常のGSMとは異なりアンサンブル予報という手法を用いています。
したがって、GSMとは異なった結果が出ることがしばしばあります。
また、22日近辺は台風が南下してきた前線上のジェットで急速に北東に流されるタイミングになる可能性があります。
このため、わずか半日のタイミングのズレで、九州付近に台風を予測していたり、関東付近まで流された状態を予測したり、一見バラツキが大きく見えたりするはずです。
22日はまだまだ先の出来事ですから、半日くらいは余裕の誤差範囲と考えます。
>>NaNさん
はじめまして。
NaNさんは早朝の天気チェックはされていますでしょうか?
早起きをされると気付くと思いますが・・・・・これでは答えになりませんよね。
ラボをお使いでしたら、画面右側にあるAnalysis Viewerを使ってください。
そして、Viewerの左上にある「base」で、「2011/09/○○ 12Z」を選択してください。
初期値12Z(前日21時)の計算では192時間先まで計算されています。
もっとも内容については3時間毎になっている要素もあります。
これは、週間予報資料の作成などを考慮した気象庁のスパコンの運用スケジュールでそうなっているからです。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by kasayan
at 2011年09月15日 15:54

kasayanさん
ご返事いただきありがとうございます。
WNIラボのAnalysis Viewerで初期値12Zで表示されました。
ご教示いただきありがとうございます。
早起きして天気チェックするようにします。
早起きしていたら三文の得以上のものが得られてたんですねぇ(笑
これからもよろしくお願いいたします。
ご返事いただきありがとうございます。
WNIラボのAnalysis Viewerで初期値12Zで表示されました。
ご教示いただきありがとうございます。
早起きして天気チェックするようにします。
早起きしていたら三文の得以上のものが得られてたんですねぇ(笑
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by NaN at 2011年09月16日 17:25