2011年09月09日
台風14号の進路と週末の天気、そして暖湿流?(9月9日)
(「紀伊半島の大雨の本当の理由!!」・・・興味がある方は6日の記事をどうぞ)
台風14号の進路が気になる方も多いと思いますが、最新の観測値によって変更される進路予想図を、書きっぱなしのブログに掲載するのは不適切・・・というのがKasayanのポリシーなので、いつもリンクを掲載するにとどめています。
米軍台風進路予想(TC Warning Graphicをクリック。日本時間は+9時間)
http://www.usno.navy.mil/JTWC/
気象庁5日間予報
http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
さて・・・台風12号のときもそうでしたが、天気予報で「暖かく湿った空気が流れ込んで」・・・・「大雨」「局地的に激しい雨」という解説が多いと思いませんか?
天気図に赤の矢印を描きこんで説明するヤツです・・・・・

冬場の「寒気」「冬将軍」の図と双璧をなすお馴染みの図ですが、なんとなく「雨の原料」なんだな・・・というイメージで聞いておられると思います。
今日から週末にかけての天気予報の解説にも頻繁に登場してくるでしょうから、今日は「暖かく湿った空気」を中心に今日、そして週末の天気をチェックしてみたいと思います。
(長くなってしまったので、斜め読みしていただければOKです)
さて・・・「暖かく湿った空気」・・・相当温位という数値の高い空気のことですが、相当温位とは空気の湿り気と温度の両方を織り込んだ数値で、気温が高いほど、そして湿度が高いほど、大きな数字になります。
ですから、イメージどおり「雨の原料」の量の多さと考えてしまってもイイでしょう(空気の上昇のし易さなんかも判断できる数字です)。

この図は今日お昼の図・・・・まずは「暖かく湿った空気」をリアルにイメージしていただこうと立体図を作っておきました。
相当温位が350K(ケルビン)という、雨の原料としては大きな数字の空気を立体的に表示したものですが、台風と太平洋高気圧周辺に多く存在しているのがわかると思います。
太平洋から蒸発する水蒸気が集まる場所・・・ですね。
これを数値として表現した専門の天気図がこれ(今朝3時)。

赤の数字が一般的に相当温位の数字としては高いところ・・・・雨の原料が多い場所ということになります。
青の色塗り部分は混合比といって空気に含まれる水蒸気の量をチェックするための数値を表現したものですが、水色が濃いところほど水蒸気が多い所。
衛星画像(水蒸気画像)でも、雨の原料の様子をチェックすることができます。

台風周辺や太平洋高気圧縁辺にあたる本州南岸、そして日本海に雨の原料が集まっていることがわかりますよね。
そして、雨の原料が流れ込んでくれば、雨が降り易くなる・・・ということも容易に想像できると思いますが、それに加えて、台風12号の大雨の解説にあったアレ・・・山にぶつかって上昇気流が発生すると雨雲ができる・・・という傾向があります。
また、乾燥した空気とぶつかったり(前線帯)、空気どうしがぶつかったり曲がって(シアーライン)上昇気流が発生しても同様。
そして、強い日差しに空気が暖められて発生する上昇気流・・・ゲリラ雷雨ですね。

上の図と同じ今朝3時のレーダーに雨の原料の空気が流れ込む様子を矢印で書きこんでおきました。
東北日本海側にある雨雲の帯は冷涼で乾燥した空気とぶつかってできる雨雲。
紀伊半島付近や四国で発生している雨雲は山にぶつかってできる雨雲。
ちなみに、暖かく湿った空気の「流れ」は、こんな専門天気図などでチェックできます。

理科の授業みたいな「暖かく湿った空気」の話しはこのくらいにしておきましょう・・・・・
では、今日から週末の天気・・・・今朝の気象庁発表の天気概況に目を通しておきましょう。

テレビの天気予報(今朝のYahoo天気の解説もそうでしたが)の解説と同じですよね(同じじゃなかったら困りますけど)。
また、短期予報解説資料というプロ用の資料にも・・・・

どうです?「暖かく湿った空気」=「暖湿気」について興味を持って読み進めることができました?
今日のポイントは、暖湿気による紀伊半島被災地と九州南部の雨と、北海道の雨。
紀伊半島や九州では山による上昇気流、北海道は空気が集まる(シアーライン)ことによる上昇気流に基づく雨ですね。
また、週末に関しては、暖湿気の流れ込みが日本海に拡大して山陰沖のシアーラインによる雨が活発になるようです。
文字だけじゃわかりにくいでしょうから、短期予報解説資料に掲載されている図も掲載しておきましょう。

上の文字情報と照らし合わせて読んでいただければ・・・・なんとなくわかりますよね?
ちなみに北日本に影響する「トラフ」は、上空の気圧の谷のこと。

反時計回りの低気圧性の空気の流れを作る悪天の原因と思えばOKです。
では・・・・ようやく今日の詳しい雨や風の様子。

「暖かく湿った空気」が矢印に沿って流れ込み、どこで上昇気流が発生して雨が降るか?ということを考えながらチェックしていただければ、いつもより深読みができるかも?
続いて週末の雨の様子・・・・「暖かく湿った空気」が流れ込む様子のアニメも併せてチェックしてみてください。


雨と「暖かく湿った空気」の関係を意識してチェックできました?
ムシムシした・・ちょっと不安定な天気の週末になりそうですね。
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
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Posted by kasayan at 07:36│Comments(3)
│雑記
この記事へのコメント
いつもお世話になっています。
ブログ内で紹介されている様々な天気図を役立たせていただきます。
ところで、視程、視界を予報するような天気図は存在するのでしょうか?
ブログ内で紹介されている様々な天気図を役立たせていただきます。
ところで、視程、視界を予報するような天気図は存在するのでしょうか?
Posted by DK at 2011年09月09日 10:03
>>DKさん
はじめまして。
航空機や写真撮影などへのご利用を想定されておられるのでしょうか?
正直なところ、私の知る限り、視程の予測については直接判断できるような天気図は存在しません。
視程を左右するのは空気中の水蒸気(雨・雪・霧・・・も含む)や塵、スモッグなどですが、水蒸気量がどの程度になれば視程が何キロという単純な相関がとれるものではありませんし、塵について予測できるのはせいぜい黄砂や火山灰等のシミュレーション程度です。
ただ、飛行場予報(TAF)には、視程の予報があります。
数値予報と視程との相関計算や経験則等から複合的に判断されているようですが、実用的な視程の予報はこのくらいではないかと思います?
ご希望の解答になっているか??ですが・・・
はじめまして。
航空機や写真撮影などへのご利用を想定されておられるのでしょうか?
正直なところ、私の知る限り、視程の予測については直接判断できるような天気図は存在しません。
視程を左右するのは空気中の水蒸気(雨・雪・霧・・・も含む)や塵、スモッグなどですが、水蒸気量がどの程度になれば視程が何キロという単純な相関がとれるものではありませんし、塵について予測できるのはせいぜい黄砂や火山灰等のシミュレーション程度です。
ただ、飛行場予報(TAF)には、視程の予報があります。
数値予報と視程との相関計算や経験則等から複合的に判断されているようですが、実用的な視程の予報はこのくらいではないかと思います?
ご希望の解答になっているか??ですが・・・
Posted by kasayan
at 2011年09月09日 21:12

ご回答ありがとうございます。
写真撮影の参考にと考えていました。確かに視程には様々な要素が
絡んでますから、難しいですよね。
写真撮影の参考にと考えていました。確かに視程には様々な要素が
絡んでますから、難しいですよね。
Posted by DK at 2011年09月09日 23:49