2009年12月16日
天気予報は当たるのか?(12月16日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
テレビの天気予報では、衛星画像を示しながら「日本海に寒気の吹き出しに伴う筋状の雲が発達しています」って言っています。
毎日原稿を書いていたころは、マンネリ化して、違う言い方はないのか?と考えていました。

「大陸の冷蔵庫のドアが開いたので、白い湯気が出来ました」じゃ・・・・だめ?
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

長野の民放の天気予報では、全国の予報は県内の予報の後にやるんですよね。
全国的にも「地元が大切!」という放送局の意向で、こうなっちゃうんんですけど、予報をキチンと理解してもらうためには先に全国の予報から放送したほうが良いと思うんですけど・・・。
・・・という余談はやめて、相変わらず二つのエリア分け。
ただ太平洋側、太陽マークじゃなくて「のち くもり」「のち 晴れ」の回復エリアがある・・・ここが典型的な冬型とは異なるところ。
低気圧や前線が抜けるんじゃないか?と想像できますよね。
3、長野県の予報
長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。

北部だけ「のち 雪」マーク。
中南部は雪マークはないけど、予報文には「所により 夜 雪」。
ここ数日のパターンですけど、今日はちょっと雰囲気が違うんです!
気象庁は予報の発表と同時に、短文の天気概況も発表しているのですが、そこには・・・
・・・と書かれています。
具体的に天気の流れをイメージできるような、短文でも”力の入った自信のある”概況だと思うんですがいかがですか?
ここまで具体的だと、当たったの?という結果の検討に役立つ・・・意地悪くいえば、判断の誤りがはっきりすることになります。人口の多い「平地でも」が一番気になりますよね?
今日は、この概況を発表するに至った根拠を見ながら、予報のストライクゾーンを考えてみたいと思います。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

天気概況に書いてあった、「今日は、日本の南を低気圧が通過する見込みです。夕方からは、冬型の気圧配置が強まるでしょう。」・・・そのとおりになってますよね。
今日のポイントは、昨日の記事にも書いたように、日本海上の弱い気圧の谷。
冷たーい空気が線状にぶつかりあって、雪雲をたっぷりと発生させます。
(昨日の記事で詳しく説明しておきました)
これ、「里雪パターン」と呼ばれていて、山だけじゃなくて平野部にも雪を沢山降らせる気圧配置のです。
ただ・・・北陸や新潟はそうだとしても、長野県の場合はパターンに当てはまるのか?このあたりがイマイチ不明なところ。
概況にあった「夕方からは平地でも雪となるでしょう」は、このあたりを考慮したのかもしれません・・・また中南部の「西側を中心に」もそうですが・・・今日の注目点です。
では、予報官が見たであろう専門天気図で、もうちょっと掘り下げてみます。
なぜ冬型の気圧配置が強まるのか?

これ、地上の天気変化にパワーを与える上空の低気圧や気圧の谷の様子。
このところ続く冬型の気圧配置の原因は、北海道の北に居座る上空の低気圧でした。
そして、上空の低気圧の周辺では、周期的に上空の気圧の谷が発生し、反時計回りに進んでいます。
この気圧の谷が通過するタイミングで、冬型が強まったり弱くなったりするので、「夜から雪」でも昼間には晴れるなど、周期的に雪が降るわけです。
そして、今夜、上空の気圧の谷がやってくるので・・・「夜 雪」になります。
次に、なぜ雪が強まるのか?

理由は天気図のアニメで説明しときましたけど、専門天気図ではもっと具体的に描かれています。
風が集まる場所に+14とか、+19と書かれていますが、降水(雪)量が極大になる場所の計算値ですから、雪雲が発達する場所ということになります。
この場所の延長上に長野があるので、雪が強まると考えられます・・・が・・・どれだけ雪雲が流れ込むのか?はこれだけではイマイチわからないので、後で別の計算値を見てみましょう。
そして、一応、降るものが雪になるのか?をチェックしておきます。

降るものは、まず間違いなく雪になるであろうという目安・・・上空5400m付近の寒気は長野県の北半分を覆っていますから、雪雲の受け入れ態勢は十分といったところでしょう。
で・・・最後に具体的な県内の雪のエリアは?

今夜、各時間帯の降水(雪)のエリアをチェックしましたが、降水(雪)エリアのピークと思われる午後9時の予想図を添付しておきました。
上で見た上空の気圧の谷が通過する時間帯です。
ザクッと見たエリアを書き込んでおきましたけど・・・なんだかイマイチな感じです。
計算の誤差を考えてGSMという別の計算値もチェックしましたが・・・やっぱりイマイチ。
計算されているエリア・・・ちょっと降水量が少ないんですよね・・・・・
平野部・・・せいぜいちらつく程度かなぁ・・・積もっても長野盆地の北側の一部で、うっすら程度かなぁ・・・・なんて気がするんですが・・・・正直確信が持てません。
長野地方気象台の予報官は、きっと過去のデータにもとづいて計算に修正を加えているんでしょうから、今日の実況をチェックすれば、かなり長野の天気の勉強が進みそう。
予報官の修正方向を見ること・・・これを今日の宿題にしておきます。
ということで・・・・天気予報は当たるのか?のお題に反して、今日も「天気予報はどうなってるの?」にしておきます。
余談:昨日の朝、北部の予報は「所により」がついていない「夕方 から 雪」。
夕方5時発表の予報では・・・「所により 雪」に変更。
気象庁の予報官もサジ加減に悩んでいるようです。
傾向として、ちょっと悪目の予報出すような気がするんですが・・・見逃しよりも空振りのほうがイイという考え方があるんでしょうか?
1、今日の一言
テレビの天気予報では、衛星画像を示しながら「日本海に寒気の吹き出しに伴う筋状の雲が発達しています」って言っています。
毎日原稿を書いていたころは、マンネリ化して、違う言い方はないのか?と考えていました。

「大陸の冷蔵庫のドアが開いたので、白い湯気が出来ました」じゃ・・・・だめ?
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

長野の民放の天気予報では、全国の予報は県内の予報の後にやるんですよね。
全国的にも「地元が大切!」という放送局の意向で、こうなっちゃうんんですけど、予報をキチンと理解してもらうためには先に全国の予報から放送したほうが良いと思うんですけど・・・。
・・・という余談はやめて、相変わらず二つのエリア分け。
ただ太平洋側、太陽マークじゃなくて「のち くもり」「のち 晴れ」の回復エリアがある・・・ここが典型的な冬型とは異なるところ。
低気圧や前線が抜けるんじゃないか?と想像できますよね。
3、長野県の予報
長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。

北部だけ「のち 雪」マーク。
中南部は雪マークはないけど、予報文には「所により 夜 雪」。
ここ数日のパターンですけど、今日はちょっと雰囲気が違うんです!
気象庁は予報の発表と同時に、短文の天気概況も発表しているのですが、そこには・・・
今日は、日本の南を低気圧が通過する見込みです。
夕方からは、冬型の気圧配置が強まるでしょう。
このため、北部では初め晴れますが、次第に曇りとなり、昼過ぎから山間部を中心に雪の降る所があるでしょう。また、夕方からは平地でも雪となるでしょう。
中部と南部では曇りで時々晴れますが、夜には西側を中心に雪の降る所があるでしょう。
・・・と書かれています。
具体的に天気の流れをイメージできるような、短文でも”力の入った自信のある”概況だと思うんですがいかがですか?
ここまで具体的だと、当たったの?という結果の検討に役立つ・・・意地悪くいえば、判断の誤りがはっきりすることになります。人口の多い「平地でも」が一番気になりますよね?
今日は、この概況を発表するに至った根拠を見ながら、予報のストライクゾーンを考えてみたいと思います。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

天気概況に書いてあった、「今日は、日本の南を低気圧が通過する見込みです。夕方からは、冬型の気圧配置が強まるでしょう。」・・・そのとおりになってますよね。
今日のポイントは、昨日の記事にも書いたように、日本海上の弱い気圧の谷。
冷たーい空気が線状にぶつかりあって、雪雲をたっぷりと発生させます。
(昨日の記事で詳しく説明しておきました)
これ、「里雪パターン」と呼ばれていて、山だけじゃなくて平野部にも雪を沢山降らせる気圧配置のです。
ただ・・・北陸や新潟はそうだとしても、長野県の場合はパターンに当てはまるのか?このあたりがイマイチ不明なところ。
概況にあった「夕方からは平地でも雪となるでしょう」は、このあたりを考慮したのかもしれません・・・また中南部の「西側を中心に」もそうですが・・・今日の注目点です。
では、予報官が見たであろう専門天気図で、もうちょっと掘り下げてみます。
なぜ冬型の気圧配置が強まるのか?

これ、地上の天気変化にパワーを与える上空の低気圧や気圧の谷の様子。
このところ続く冬型の気圧配置の原因は、北海道の北に居座る上空の低気圧でした。
そして、上空の低気圧の周辺では、周期的に上空の気圧の谷が発生し、反時計回りに進んでいます。
この気圧の谷が通過するタイミングで、冬型が強まったり弱くなったりするので、「夜から雪」でも昼間には晴れるなど、周期的に雪が降るわけです。
そして、今夜、上空の気圧の谷がやってくるので・・・「夜 雪」になります。
次に、なぜ雪が強まるのか?

理由は天気図のアニメで説明しときましたけど、専門天気図ではもっと具体的に描かれています。
風が集まる場所に+14とか、+19と書かれていますが、降水(雪)量が極大になる場所の計算値ですから、雪雲が発達する場所ということになります。
この場所の延長上に長野があるので、雪が強まると考えられます・・・が・・・どれだけ雪雲が流れ込むのか?はこれだけではイマイチわからないので、後で別の計算値を見てみましょう。
そして、一応、降るものが雪になるのか?をチェックしておきます。

降るものは、まず間違いなく雪になるであろうという目安・・・上空5400m付近の寒気は長野県の北半分を覆っていますから、雪雲の受け入れ態勢は十分といったところでしょう。
で・・・最後に具体的な県内の雪のエリアは?

今夜、各時間帯の降水(雪)のエリアをチェックしましたが、降水(雪)エリアのピークと思われる午後9時の予想図を添付しておきました。
上で見た上空の気圧の谷が通過する時間帯です。
ザクッと見たエリアを書き込んでおきましたけど・・・なんだかイマイチな感じです。
計算の誤差を考えてGSMという別の計算値もチェックしましたが・・・やっぱりイマイチ。
計算されているエリア・・・ちょっと降水量が少ないんですよね・・・・・
平野部・・・せいぜいちらつく程度かなぁ・・・積もっても長野盆地の北側の一部で、うっすら程度かなぁ・・・・なんて気がするんですが・・・・正直確信が持てません。
長野地方気象台の予報官は、きっと過去のデータにもとづいて計算に修正を加えているんでしょうから、今日の実況をチェックすれば、かなり長野の天気の勉強が進みそう。
予報官の修正方向を見ること・・・これを今日の宿題にしておきます。
ということで・・・・天気予報は当たるのか?のお題に反して、今日も「天気予報はどうなってるの?」にしておきます。
余談:昨日の朝、北部の予報は「所により」がついていない「夕方 から 雪」。
夕方5時発表の予報では・・・「所により 雪」に変更。
気象庁の予報官もサジ加減に悩んでいるようです。
傾向として、ちょっと悪目の予報出すような気がするんですが・・・見逃しよりも空振りのほうがイイという考え方があるんでしょうか?
大晦日の雪は?
今夜から雪?今年二回目の本格的冬型へ(11月2日)
また雪?明日にかけて冬型へ、北は荒れ模様(11月1日)
台風一過の晴天にならない?ぐずつきの日曜日(10月31日)
台風情報:台風14号予想進路とお役立ちリンク(10月30日)
台風14号予想進路と台風対策情報(10月29日)
今夜から雪?今年二回目の本格的冬型へ(11月2日)
また雪?明日にかけて冬型へ、北は荒れ模様(11月1日)
台風一過の晴天にならない?ぐずつきの日曜日(10月31日)
台風情報:台風14号予想進路とお役立ちリンク(10月30日)
台風14号予想進路と台風対策情報(10月29日)
Posted by kasayan at 07:56│Comments(2)
│今日の天気予報は当たるのか?
この記事へのコメント
《大陸の冷蔵庫のドアが開いたので、白い湯気が出来ました》 はははぁ~
こういうのって、私向きです!しろうとでも面白いって思って耳傾けます☆
ちょっと悪目の予報でいいのかもぉ。
空振りのほうが怨まれないと思うんよ^^
こういうのって、私向きです!しろうとでも面白いって思って耳傾けます☆
ちょっと悪目の予報でいいのかもぉ。
空振りのほうが怨まれないと思うんよ^^
Posted by うたかた夫人
at 2009年12月16日 13:25

うたかた夫人さん、こんばんは。
悪目の予報にしておけば・・・っていう気持ちは予報を出す人ならだれでも持っているんですけど、反対に狼少年・・・狼がきたぞ!・・・が続くと信用が無くなっちゃうんですよね。
お金をもらって予報をする場合なんかは、空振りだと「大丈夫だったんじゃねーか・・・儲け損なったぞ!」ってことにもなるんです。
サジ加減って難しいです。
悪目の予報にしておけば・・・っていう気持ちは予報を出す人ならだれでも持っているんですけど、反対に狼少年・・・狼がきたぞ!・・・が続くと信用が無くなっちゃうんですよね。
お金をもらって予報をする場合なんかは、空振りだと「大丈夫だったんじゃねーか・・・儲け損なったぞ!」ってことにもなるんです。
サジ加減って難しいです。
Posted by kasayan
at 2009年12月16日 21:12
