2010年08月03日
天気予報は当たるのか?(8月3日)長野北陸雷雨注意!

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨夜、松本を皮切りに夕立が始まって、長野県北部中心に激しい雷雨に。
上田のアメダスでは、21時30分までの1時間降水量が観測史上1位の値を更新しています。
また、菅平では、全国で1位。

また、3時間降水量についても観測史上1位を更新していて、地面がたっぷり水を含んでしまったので、今朝7時過ぎ現在で土砂災害について大雨警報が発表されたまま。

昨日の夕立・・・昨日の記事をご覧になればわかりますが、キチンと計算されていて、予想可能でしたから、ゲリラではありません。
でも、予報でキチンと伝えていなければ、長野県民にとっては、ゲリラになっちゃいます。
予想できるなら、安全マージンをとるように強調した上で、ある程度エリアを特定した注意喚起をしても良かったんじゃないかと思うんですが・・・どうでしょう?
今夜も大北地域中心に、長野県北部で夕立の可能性大。
昨夜のテレビの天気予報・・・局によっては暑さ中心の話題ばっかりで・・・ちょっと的外れな構成になっていたところもありました。
Kasayanの感覚では、SBC(信越放送)が防災については一番敏感な感じがします。
それだけに広告収入の厳しいおり、人員をかけられないところを無理してがんばっているのが痛々しい感じ。
一方、NHKは・・・女性気象予報士が出演していますが・・・・気象予報士じゃなくても良いような話ばっかり。
受信料をとっている公共放送なんだから、もう少し気象予報士ならではの解説をしてもらいたいもんだと・・・ブツブツ・・・・・予報士もアレですけど、プロデューサーの防災意識・・・疑問です。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

曇りベースエリアは、このところ停滞している前線の影響エリアですが、前線が弱まって曇りベース。
相変わらず、東日本・西日本は湿気の多い亜熱帯の様相です。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

今日も「所により」と「雨」がついています。
タイミングは「昼過ぎ」で、「雷」の文字もついています。
どこが中心?については、下で検討します。
神奈川県の海上の風速を掲載していますけど、これは関東のゲリラ雷雨の可能性の目安になりそうなんで・・・・
10m/sを越えるようだと、可能性が低くなる感じがしているんですけど・・・・あくまで目安ですね。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今日のポイントは、高気圧の西への張り出しに伴って、暖湿流の流れ込む場所が西に移動するということ。
雷雲発生の中心が、東日本と西日本の太平洋側に変化してきますが、反対に東北の前線が弱まります。
いずれにしても、ムシムシの暑さは続きますね。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
昨日の東日本の夕立は、暖湿流+上空の気圧の谷・・・でしたが、今日は強い暖湿流と日中の昇温が原因。

太平洋高気圧の西への張り出しで、暖湿流の主軸が東日本にモロにぶつかるようになります。
そうなると、暖湿流は北陸まで吹きあがってくるので、今日の北陸は、昨日以上に夕立の可能性が高まります。
長野県は、この暖湿流がぶつかる北アルプス付近?・・・これは最後に・・・・
で・・・暖湿流による雨のエリアを見てみると・・・・

降水が多いエリアを書きこんでおきましたが、日本の南にはじんましん?のようにコマゴマとした降水が計算されていて、まるで熱帯のスコールのようです。
東日本付近をアニメで・・・

夕立のエリアは北陸や長野県北部に偏っていて、18時前後がピークになる模様。
北陸には「雷と突風に関する北陸地方気象情報 第1号」が発表されています。
県内は大北地域ですね。
一方、南風が吹きあがる関東付近はほとんど降水が計算されていません。
(これで関東に夕立があると、これが本当のゲリラ雷雨です)
もっと詳しく見てみましょう。

今日の夕立のエリアは、盆地をすり抜ける風が集まって発生するエリアと、少し上空を吹く風がぶつかるエリアの両方で発生するのでは?と思います。
特に、上空1500m付近を流れる風が、山腹にぶつかる北アルプス東側・・・大北地域で強い降水。
発生した雷雲は・・・昨日は北東に流れて上田方面で大雨でしたけど・・・・今日は・・・・

ほぼ北へ流されるようです。
松本・大町方面で発生した雷雲は白馬・小谷方面へ。
計算通りになるなら、警報級の雨になると思いますから、このあたりでブログを見ている方がいたら・・・・このブログは、予報じゃないですから(予報という位置づけだとメンドウなことがあるので、「天気予報は当たるのか?」なんです、一応)・・・注意報やレーダーを確認しておいてください。
12時20分追記:午前9時の観測値に基づく最新の計算値では、松本方面の夕立の雨量が少なめに計算されてきています。範囲の縮小・雨量の減少が考えられますが、夕立の雲の大きさはシミュレーションプログラムの能力の限界ギリギリの大きさですから、安心というわけではありません。昨日のように上空の気圧の谷が影響しないという点が、計算値をあいまいにさせているのかも?
17時10分追記:実況は計算値より1~2時間早めに推移しているようですが、一応第2波の可能性も視野にいれておきたいところです。
18時50分追記:きっちり第2波というカタチで大北地域の強い降水がやってきました。長野地域ではすでに警報が発表されていますが、その内容は土砂災害。昨日の雷雨の影響を考慮したものかもしれません。これから大北地域がどうなるか?です。
長野ローカルの天気予報を梯子してみましたが、放送局に気象担当者がいないからでしょうか・・・全部情報が遅い・・踏み込んだ解説が一つもない・・NHKの予報士も気象庁発表の概況や注警報を読み上げるだけ・・・・ダメだこりゃ・・という感じでした。関東ローカルとの差は歴然。天気予報のシャッター通りですよ・・これじゃ。
20時追記:大北地域でも大雨警報(浸水害)発表。気象台に取材するなり、気象会社に電話でもすれば、これから大北地域で降るという可能性が高いということがわかるはずなのに、どの放送局も触れていませんでした・・・これで何かあったら人災です。
ということで、今日の予報も当たり・・・・・このところ予報の解説になっちゃっていますけど、基本的に気象庁の予報は80パーセント当たるんです。
そう感じていない方は、たぶん予報をしっかりと理解していないから・・・・
理解していない理由は・・・予報を送り届ける側に90パーセント以上の責任があると思います。
当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、コメント欄だけではなく、以下のアドレスにメールしていただいても構いません。
kasayangw@yahoo.co.jp
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
大晦日の雪は?
今夜から雪?今年二回目の本格的冬型へ(11月2日)
また雪?明日にかけて冬型へ、北は荒れ模様(11月1日)
台風一過の晴天にならない?ぐずつきの日曜日(10月31日)
台風情報:台風14号予想進路とお役立ちリンク(10月30日)
台風14号予想進路と台風対策情報(10月29日)
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Posted by kasayan at 07:13│Comments(3)
│今日の天気予報は当たるのか?
この記事へのコメント
今日は夕立がありそうですね。午後は、レーダーとにらめっこします。
Posted by cabin at 2010年08月03日 09:25
こんにちは。
長野県も大変な雨でしたね。
昨日の当地は、朝より過去に経験したことのないような蒸し感とスコール様の雨になりました。ブログを拝見して予想はしていたので、レーダーをたよりに仕事をこなせ助かりました。
一転、今日は南よりの風でも低い雲の塊をどんどん流してゆき、少し楽です。風を知るのは難しいけれど重要なんですね。
長野県も大変な雨でしたね。
昨日の当地は、朝より過去に経験したことのないような蒸し感とスコール様の雨になりました。ブログを拝見して予想はしていたので、レーダーをたよりに仕事をこなせ助かりました。
一転、今日は南よりの風でも低い雲の塊をどんどん流してゆき、少し楽です。風を知るのは難しいけれど重要なんですね。
Posted by Teko at 2010年08月03日 12:15
>>cabinさん、こんにちは。
計算値が少し下降気味ですから、今朝の計算値ほどは降らないかもしれませんが、ここから先は実況監視しかありません。
監視のメリットは、「あと10分早ければ間に合ったのに・・」ということを防ぐことに意味があるわけですが、にらめっこされるなら、この機会にレーダーのクセなどもつかんでおかれると、今後にも役立つかと思います。
>>
TeKoさん、こんにちは。
風の収束による上昇気流と、滞留した熱気による雷雲の場合は、風がものすごく影響します。その風が計算では上手く表現されないので、実況監視しか対応できないんです。
今日の海風・・・比較的強い感じで、気圧配置に基づく場の風と一致していますから、雲をどんどん吹き飛ばして吹きあがるという感じだと思います。
計算値が少し下降気味ですから、今朝の計算値ほどは降らないかもしれませんが、ここから先は実況監視しかありません。
監視のメリットは、「あと10分早ければ間に合ったのに・・」ということを防ぐことに意味があるわけですが、にらめっこされるなら、この機会にレーダーのクセなどもつかんでおかれると、今後にも役立つかと思います。
>>
TeKoさん、こんにちは。
風の収束による上昇気流と、滞留した熱気による雷雲の場合は、風がものすごく影響します。その風が計算では上手く表現されないので、実況監視しか対応できないんです。
今日の海風・・・比較的強い感じで、気圧配置に基づく場の風と一致していますから、雲をどんどん吹き飛ばして吹きあがるという感じだと思います。
Posted by kasayan
at 2010年08月03日 12:27
