2010年05月27日

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 この図、おなじみの分布予報とかメッシュ予報と呼ばれる図です。
 長野ローカルのテレビの天気予報で使われているのをご覧になった方も多いと思いますが、気象予報士がこの図でコメントをするときや、アナウンサーが原稿を読むとき、気象予報士や原稿作成者の思い入れやプレゼンテーション能力が問われる場面だと思っています。

 長野県の天気予報番組でよく聞かれるコメントならどうなるかというと・・・・・
「午前中は県内はくもり、北部の県境付近では雨となりそうですが、昼過ぎから中部や南部で晴れ間が出てきます。ただ、夕方からは再びくもりとなるでしょう。」というパターンがほとんどです。
 これ、図の様子を読み上げているだけですよね?
 見りゃわかるだろう!!!と言いたくなりませんか?

 これならどうでしょう?
「西高東低の気圧配置で寒気が南下。北部中心にくもりとなって、新潟県境は一日ぐずつきます。夕方は寒気の影響で中南部にも雲が広がり、山梨付近ではでにわか雨がありそうです」
 ほとんど同じ長さの原稿でも、キチンと理由が盛り込まれ、天気の流れとして図を見ることができると思います。

 画面を読めばわかることは、重要なことだけコメントするにとどめて、プラスアルファの情報を簡潔に伝えるのがプレゼンテーション。画面を読んでいるのは最低のプレゼンテーション・・・・・
 このような考え方を教えてくれたのは石橋さんという方でした。
 ウェザーニューズという民間気象会社を立ち上げた方でしたが、22日に亡くなられました。
 気象ビジネスの考え方を教えていただいたり、初めて銀座のクラブというものに連れて行っていただいたりと、公私にわたって私に影響を与えてくれた方でした。
 
 今日13時から気象庁の注意報や警報が市町村単位の発表に変わります。
 テレビやラジオではほぼ従来どおりですが、ネットでは順次市町村単位になっていくようです。
このような天気のきめ細やかなサービスという考え方の流れも、石橋さんが基礎を作って行ったといっても良いでしょう。
 いままで情報が切り替わるタイミングでは、プログラムのバグなどでトラブルが多かったのですが、今日は無事に切り替わるでしょうか?
 石橋さんの63歳の早い死に・・・・プレゼンテーションの話を思い出して、ちょっと長めの一言になってしまいました

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。


天気予報は当たるのか?(5月27日)


 相変わらず東日本・北日本に太陽マークはありません。
 九州方面だけ晴れエリアだった昨日よりは晴れエリアが北上しているので回復傾向ではあるものの、エリアの境目の県内の回復はイマイチといったところでしょう。

 この時期にしては肌寒い?朝
 今日の気温の様子も掲載しておきます。

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 太陽が出る西日本は20℃以上になりますけど、太陽マークがない東日本北日本は20℃にとどきません
 寒気の影響もありますけど、太陽のパワーがないとここまで低めになるんだな・・・という気がしますよね。
 この寒気の影響がどれだけ続くのか?という話は、昨日の記事にまとめてありますので、気になる方はご覧ください。
 昨日の記事http://kasayan.naganoblog.jp/e475378.html

17時10分追記
 なんと長野県全域に霜注意報が発表されました。
 恐るべき遅霜。寒気の様子の図を下に掲載していますから、寒気が日本付近に停滞している様子・・・よかったら見てください。
■発表日時
平成22年 5月27日14時35分 長野地方気象台発表
■概要
長野県では、28日朝高冷地では霜に対する農作物の管理に注意して下さい。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。


天気予報は当たるのか?(5月27日)


 中南部、二つのマークがセットですけど、雲マークが左側なのでくもり優勢
北部は雲マークですが、予報文を読むと「所により 夜のはじめ頃 まで 雨」と書かれています。
 どこが「所により」?ということになりますけど、上で見た分布予報を思い出せば・・・新潟県境付近ですよね。
 分布予報のコメント次第で、一般的なマークの図やコメントとリンクできちゃうわけです。

 一応、夕方から広い範囲で雨になった昨日よりは回復傾向ですが、気温はかなり低め
今日は雨の様子に加えて、気温の様子も細かくチェックしておきましょう。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 まるで冬型の「ような」西高東低の気圧配置
おまけに寒気が南下していますから、寒気があと15℃低ければ日本海側の雨は雪になっていたであろうという気圧配置です。
 したがって、北陸や北日本は季節はずれの季節風?・・・北よりの風が強めです。

 また、昨日の寒気の影響も残っていますから、昨日ほどではないにしても似た場所でにわか雨の可能性があります。
 県内は大丈夫?という目でも雨の様子をみておきたいところです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まずは、気温の低下と大気不安定をもたらす寒気の様子

 上空5500m付近の寒気が昨日の雷雨やにわか雨の原因でしたから、この寒気はどうなったの?というところから・・・

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 今夜にかけて東海上に抜けますけど、もう一つのカタマリが今夜北陸方面へ南下。
冷たい空気がアメーバのようにクニャクニャ回転しながらゆっくりと進む、寒冷渦と呼ばれるものなので、なかなかすっきりと抜けてくれません

 ついでに地上付近、上空1500mの寒気の様子も見てみると・・・・

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 この時期としてはかなり低めの寒気明日夜にかけても南下したままで、東北では3℃とかなり低めになっています。
 県内は6℃前後ですけど標高が高いのが長野県・・・標高次第では東北なみの肌寒さが予想されます。
 農作物への影響が心配。

 で・・・この寒気で大気は不安定になるの?ということですが・・・・

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 昨日のように網かけの特に不安定なエリアにはなりませんけど、赤の点線で囲んだエリアはやや不安定
 山梨では昨日土砂崩れなども多発したようですが、今日も不安定。
 すでにしみ込んだ雨水がありますから、昨日ほどの強い降りにならなくても危険性は高いといえます。

 さて、最後はこの寒気と西高東低の気圧配置で雨はどうなるの?ということをアニメで確認。

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 昨日のアニメと違って、新潟県境に限定されていますよね。
また山梨方面、大気不安定の指数とリンクして夕方以降にわか雨が予想されています。

 12時の様子をピックアップして風の様子を重ねてみると・・・

天気予報は当たるのか?(5月27日)


 北風が長野県の高い山々を通り抜けて山梨方面でぶつかりあっています。
上昇流が発生して、ちょっとだけ大気不安定でもにわか雨になってしまうようです。

 ということで、全体の把握がおわったところで・・・・・
長々と検討ましたけど、今日の予報は当たる・・・になりそうです。
 もっとも、南部の南アルプス方面・・・予報文に「所により雨」はありませんけど、山梨方面のにわか雨の影響はあるかもしれません

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この記事へのコメント
Kasayan様。

はじめまして、宮崎県で気象予報士の勉強をしておりますJUNと申します。
数ヶ月ほど前からこちらのブログを拝読いたしております。

いつも分かりやすい解説と情報提供を有り難うございます。
様々な画像を用いての解析手法、予報を提供する上での心得等々、勉強になることばかりです。
毎日更新されるなんて、本当に尊敬します。
低温の日々が続いておりますが、どうぞ御自愛くださいませ。

これからも楽しみにしております!
Posted by JUN at 2010年05月27日 13:55
JUN様、はじめまして。コメント有難うございます。
宮崎県でご覧いただいているとは驚きました。
昔、MRTに日帰りで出張したことがあるくらいで、あまり宮崎にことはわからないのですが、台風に関しては敏感にならざるを得ないところですよね。
気象予報士試験、頑張ってください。
このブログは、気象庁の予報という結論から逆算して思考していくという変則パターンですので、ゼロから予報を組み立てる予報士試験の思考の流れの足を引っ張らないよう、気をつけてご覧ください。
最低1年は同じエリアの天気を見続けないと予報が使いものにならないので、1年だけと思ってブログを書いているのですが・・・コメントをいただくとやめられなくなってしまいますねぇ・・・・
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by kasayankasayan at 2010年05月27日 17:18
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