2010年05月02日
天気予報は当たるのか?(5月2日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨日の朝、日中に関東北部山沿いで一時的なにわか雨の可能性が予想されましたが、結果的には雲が広がった程度で、レーダーで観測されるような雨はなかったようです。
昨日も書きましたが、このような雨、限られた高い山で発生するので予報として発表されず、各地方気象台が予報と同時に発表する概況文の中に書かれることがあります。
幸い昨日はにわか雨もなく、雷も発生しなかったので、よかったのですが、テレビやラジオの天気予報では、概況文の中に書かれているこのような情報はほとんど伝えてくれません。
ハズレる可能性が高いものはあまり伝えない傾向にあるのですが、長野県のようにゴールデンウィークに登山者が多く入山する地域では、「可能性は低いものの」と前置きしたうえで伝えるべき重要な情報だと思います。

これは先週、チラリと訪ねた志賀草津ルートの渋峠付近の様子。
里は菜の花が咲き乱れる季節になっていますが、車で訪れることのできる志賀高原でさえこんな状況。
パターン化されにくいこの季節の天気を読みながら山に登るのは、ある意味冬山以上に難しいような気がします。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

今日もエリア分けはしませんでした。
原則=晴れ、例外=北日本と甲信越で一時的に曇り・・・・という天気分布。
例外の部分が今日のチェックポイントになります。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

ほとんどの天気マークが太陽マーク一発ですが、長野県と岐阜県飛騨地方、栃木県北部だけ「一時 くもり」マークがついています。
夏場に雷雲が発生しやすいエリアだと思いませんか?
そこで、長野地方気象台、岐阜地方気象台、宇都宮地方気象台の概況を読むと・・・・いずれも「引き続き日本の東に中心をもつ高気圧に覆われますが、寒気を伴った気圧の谷が上空を通過する見込みです。このため・・・・」と書かれています。
「寒気を伴った気圧の谷」が雲マークの原因のようですが、昨日と異なってにわか雨までは予想されていないようです。
昨日、結果的にレーダーに映るような雨までは至らなかったわけですが、今日通過する寒気は昨日よりも弱いから、このような概況になっていると思いますが・・・・
一応、それでもどのあたり中心に雲が広がりやすいか?・・・・うーんと低い確率でにわか雨がありそうか?というところだけはチェックしておきます。
自分が登山をするなら一番気になるところですから(と言っても、すでに歩きはじめている時間ですけど)。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

全国の天気マークの図のところで、原則=晴れ、例外=一時曇りと書きましたが、例外の理由が上空を通過する寒気の影響ということです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
午後一時的に曇るエリアの理由が「寒気を伴った気圧の谷」ということですから、まずは上空の寒気の様子。

上空5500m付近-24℃以下の寒気が、日中東日本・北日本を通過していきます。
では気圧の谷の様子。

赤の点線が上空の谷。
細かく見ると、北日本方面の谷と近畿・中部を通過する谷の二つにわけることができます(異論のある方もいらっしゃると思いますが)。
北の谷のほうが深いですね・・・・・
北日本と中部付近に偏在して「一時 くもり」エリアがあるのはこのためだと思います。
で・・・・この寒気でどのような雲が発生するのか?ですが・・・・

一番雲が計算されている午後3時・・・下層雲はほとんど計算されていないので、中層と上層の雲の様子。
寒気が通過するタイミングで日本海側から雲が通過していきます。
深い谷が通過する北日本は上層の雲が発達しているようですね。
中部や北陸は中層上層の雲中心ですから、これだけじゃくもりのイメージにはなりにくいので、新潟県なんかは太陽マーク一発なんでしょう。
なんで長野県は?・・・・県内にズームして見ると・・・・・

長野県内では風(矢印)が集まる線やエリアに雲が多く計算されていることがわかります。
風が集まれば上昇気流が発生し、そこに寒気が南下していれば雲は発達。
長野県の場合は空気の流れに対する地形的な影響が色濃くでているようです。
もっとも、地上付近は乾燥していて、南から湿った空気の流れ込みはなさそうですが・・・・
(南から湿った空気が入る山梨方面はちょっとアヤシイ・・・)
14時30分追記:レーダーを見ると関東甲信地方でもにわか雨の雲が湧きだしています。

18時15分追記:17時発表、長野県内の概況。
「日本の南には高気圧があって、ゆっくり東へ移動しています。
長野県内では、概ね晴れていますが、中部を中心に曇りとなっている所があり、弱い雨の降っている所もあります。」
日中気温が上昇し、弱い低気圧が発生すれば空気の流れは複雑に変化しますから、雲が発生するエリアや程度をこれ以上特定してもあまり意味はなさそうですが、少なくとも北アや御嶽山付近、南アや志賀高原方面では午後に雲が広がりやすい傾向は確かでしょう。
気象台発表の予報では雷の予想はされていませんが、一応、大気の安定度の指数・・・SSIの様子をチェック。

編みかけの部分が、上空の寒気などの影響で大気が不安定のエリア。
長野県はすっぽり不安定のエリアに入っていて、一部では発雷があってもおかしくない数字だけは計算されています。
日中の気温の上昇の程度、風の流れ具合で、高い山では雷が発生する可能性はゼロではない(この言い回し・・・念のためという意味です)と思います。
ということで・・・・本当はこんなに細かく検討するような天気じゃないんですけど・・・・長野県の春の天気を勉強するという意味もあって、詳しくまとめてみました。
基本的には今日の予報はガチンコに近いのですが、安全マージンをどこまでとるのか?という様子見をしてみました。
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Posted by kasayan at 07:08│Comments(0)
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