2010年03月02日
天気予報は当たるのか?(3月2日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨夜の雨ももうすっかり東へ抜けて、関東沿岸で雨がぱらついている程度。

ネットで天気予報をチェックしている方でしたら、レーダー画像をご覧になることも多いと思います。
雨雲が抜けていくタイミングなど、特に天気の勉強をしていなくても感覚的にわかりますから重宝な道具ですよね。
レーダー: http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
そんな方、できれば実況天気図もチェックしてみてください。
実況天気図: http://www.jma.go.jp/jp/g3/
このブログでは予想天気図のアニメを掲載していますが、本当に予想天気図のとおりになるとは限りません。
そんなときは、実況天気図を使って、予測と何が違うのか?を考えていただければ臨機応変な対応ができるようになります。
ブログで検討している予報は午前5時発表の予報をもとにしていますが、予報は午前11時と午後5時にも発表されますから、新しい予報と照らし合わせて頭の中の天気のイメージを修正するのなら、簡単ですよね?
その昔、ヨット雑誌の読者のための気象講習会の講師をしたときの素案をを読んでいて、このブログを読んでいただいている方に役立つかな?と思われるものがあったので、抜粋して掲載しておきます。
天気にあまり興味のない方は、飛ばしちゃってくださいね。
今の空がこれからどうなるのか?という空模様の変化の予測こそが天気予報なのですから、実況を知らないで予測だけを見るのは、現在の株価を知らずに株を買うようなものです。
また、予想より株価が下がってきたら早めに売り払ってしてしまうように、実際の空模様が予測と異なってきたと気付いた場合には、実況をもとに予測を適時修正する必要が生じます。
当たり前のことですが振り返って思い出してみてください。いきなり予測だけを見ていませんでしたか?また、予測がはずれていることに気付いたとき、目の前の現実に愕然として予測の修正を考えようとしなかったことはありませんか?
昔、朝のテレビ番組の天気予報を担当していた頃のことです。朝5時に発表された予報をもとに、お天気カメラの映像をバックにお天気おねえさんが、ご当地の予報をコメントする内容の原稿を書いたところ、午前7時過ぎの放送時間にはすでに予報がはずれ始めていて、あわてて実況で修正して原稿を書き直したことがありました。
また、気象庁も実際の天気が予報と急速に異なってきた場合には、実況で修正した予報を臨時に発表する場合もあります。
このように、予測を実況で修正できるのは、予測を考える段階から常に予測と実況を見比べているからです。
実況は予測の出発点であると同時に、予測がはずれた場合の“もう一つのシナリオ”の出発点なのです。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

今日のエリア分けはちょっと難しかったのですが、大ざっぱにこんな感じ。
昨夜の雨は抜けて広く回復傾向ですけど、東北の日本海側や北陸は夕方以降下り坂傾向。
回復についてはあまり検討する必要はなさそうですけど、下り坂エリアが長野県に近いですから、この影響についてはちょっと目配りをしておきたいと思います。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

北部と中部は「昼前 から 夕方 晴れ」で、南部は「朝晩 くもり」。
用語集を開いてみると、昼前は9時~12時、夕方は15時~18時ですから、北部は”最大で”9時~18時まで晴れ。
また、朝は6時~9時、晩は18時以降なので、南部は”少なくとも”9時~18時まで晴れということになりそうです・・・文字だけ見れば・・・・
だから、天気マークも北部や中部は雲マークが左側にある曇りベースで、南部は反対の晴れベースということですけど、まあ、日中は県内は南部ほど晴れと考えておいてよさそうですね。
ただ、お隣の新潟県中越では「のち 雨」マークがついています。
予報文では「夜 遅く」ですから、生活上あまり問題はなさそうですけど、降り出しやその範囲については、あとで一応チェックしておきましょう。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

低気圧や前線が東へ抜けて天気回復・・・というところは誰でも解説できるところです。
ただ、東北・北陸の下り坂エリアの説明は、はっきりとした低気圧が来るわけじゃないので、簡単にまとめるのは悩むところです。
上空の気圧の谷が接近するので・・・といってサラリと流す解説方法もありますけど、あまり好きじゃない。
そこで、北海道の高気圧が東へ抜けて、東北付近は低気圧にはなりきらない弱い気圧の谷になる・・・ということでまとめてみました。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
まず、新潟県中越の「夜遅く 雨」の影響を先に確認しちゃいます。

新潟県にまともに降水が予測されているのは日付をまたいだ午前2時頃。
多少のズレがあるにせよ、本当に夜遅くなってから新潟県境付近で弱い雨が予想される程度ですから、今日の予報には影響なさそうです。
となると、あとは日中の晴れ具合だけ検討すればOK。
雨や雪さえ降らなきゃどうでもイイという方がほとんどでしょうけど、一応確認しておきます。

今日お昼の上層と下層の雲の様子。
南部ほど上空の雲がかかる傾向にありますけど、雲のカタマリの北端の薄い雲。
一方、下層の雲については南部ほど早めに消えて、昼には長野県周辺だけ穴が開くように消えていきます。
北部は晴れの時間が短いけど、いったん晴れればそこそこ青い青空。
一方南部は、晴れの時間帯が長めだけど白っぽい空ということになるかもしれません。
(空の色はあまりあてにしないでくださいね)
12時追記:
11時発表の予報で、北部の晴れのタイミングが修正されました。
どうも雲の消え方が遅いようです。さっそく修正の場面になりました。
新しい予報:http://www.jma.go.jp/jp/yoho/322.html
17時追記
結局、北部の晴れ間はずいぶん小さかったようです。長野市内、午後はくもりだったといって良いでしょう。今日午後3時の衛星画像を掲載しておきます。長野県付近だけ上の計算値と同様、雲が窓を開けていることがわかります。ここまで現実に肉薄している計算値はさすがだと思いますが、いかがですか?

いずれにせよ、雨の心配もないし、細かくチェックするような状況じゃありませんから、この程度の検討で・・・・今日の予報は当たる・・・と考えておいてよいと思います。
オマケになりますが、今日東北方面の弱い気圧の谷の影響で新潟県に雨や雪が降る様子をまとめてみましたので掲載しておきます。

日本海側に風がぶつかるエリア(シアーライン)ができて、雲が発生するわけですが、このラインの西側上空には冬の冷たい空気があるので、そこそこ雪雲が発達するということのようです。
最後は、今日の失敗作。
コロコロ天気が変化するので、地上の天気変化のリズムを作っている上空の気圧の谷をアニメにしたんですけど・・・・かえって分かりにくくなっちゃいました。

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Posted by kasayan at 07:34│Comments(0)
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