2010年02月12日
天気予報は当たるのか?(2月12日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨日の夕方、久々に長野ローカルのニュースと天気予報を梯子して見ていたんですけど、小諸~軽井沢間などで電車が止まっていたニュースを様々に扱っていました。
架線に着氷するという現象によって、電車に電気を送れなくなったためですが、「珍しい」着氷現象のメカニズムにまで踏み込み、図まで作って報道していたのは、Kasayanが見る限りSBCだけでした。
気象事業者として登録してある放送局としては、気象台への取材を中心にせず、もうちょっと突っ込んだ解説が欲しいと思いましたが・・・祭日で人も少なかったかもしれません・・・さすがに老舗の民放だな・・と思いました。

ニュースの中では・・・・
・・・と、コメントされていましたが、昨日朝の短期予報解説資料というプロ用の情報には・・・・・
・・と書かれいました。
発生の可能性は十分にあったのですが、予測が難しいということの内実は、場所の特定や発生の程度の予測が難しいということなんですね。
日中、気温がプラスまで上昇しなかった軽井沢方面や大町方面で多発しましたが(発生メカニズムの解説は昨日の記事に追記してあります)、着氷が発生する状況になることを判断するには実況を注視して発生直前に判断せざるを得ません。また、注意報の基準は「著しく」発生のおそれがある場合なので、程度の見積もりも悩むところです。
Kasayanも、朝の段階では発生しても電車がとまるほどじゃないだろうと思ってましたが、昼過ぎに雨(みぞれ)の状況を見てアレ・・・?なんて状態でした。
東京でも発生することがあって、山手線などが止まったらトップニュースですから、局にいる気象予報士が図を多用して解説しまくるのですが、車社会になってしまった長野県?
翌日のダイヤ混乱の可能性もあるのに、トップニュースにしていない放送局があったのも驚きでした。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

冬型の天気分布のように、日本海側と太平洋側に二分される分布ですけど、どっちも曇りがベースになっていて、中途半端。
この理由が、長野県の中南部の予報に影響してくるところです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

北部が「時々(一時) 雪」で、中南部が「くもり」。
ただ、予報文には中部にも、「所により 昼前から夕方 雪」と書かれていますから、中部も事実上「くもり 一時 雪」という感じです。
ところが、南部は北部や中部と違う時間帯・・・「夜 雪」と書いてあります。
なんで?
天気マークの予報だけでパッと理由が思いつかない場合の予報は・・・疑ってかかるのが吉。
あとで詳しくチェックしてみます。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

日中、西高東低の気圧配置になるわけですが・・・・あえて冬型と書いていないのは、大陸からの高気圧の張り出しのほうが優勢すぎて、一般的な冬型といえるほど西高東低のバランスがとれておらず、ためらいを感じるからです。
今日、冬型の天気分布のように、太平洋側でスパッとした晴れにならないのは、二つの弱い気圧の谷ができるから。
弱い気圧の谷付近はぐずつくので、雨や雪の可能性もあります。
曇りの天気マークの関東や東海地方の予報文を読むと、夕方あたりに一時的に雨や雪が予想されていますが、この弱い気圧の谷の影響のようです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
一応、西高東低の気圧配置になりますから、北部の雪は簡単に理由がわかります。
ただ、強い冬型というわけでもないのに、中部の昼前後の雪の理由は?

正午の降水量予測と気圧配置の図ですが、東海付近に弱い気圧の谷ができていて、静岡や長野県中部や南部に降水が予測されています。
上のアニメで見た弱い気圧の谷の影響だったんですね。
降ってくるものが雨か雪か?・・・昨日のことを考えると気になるので一応チェック。

強い寒気というほどではありませんけど、昨日より地上付近に冷たい空気が流れ込んでいて、一応県内上空は0℃以下。
雪がメインと思われます。
でも・・・・中部より降水が予測されている南部は日中くもりなんだろう?
降水量予測に統計的処理も加えた天気分布予報を見ると・・・・

南部にはそれほど雨域がかかっていませんから、こちらを優先した?・・・・イマイチ理由がわかりません。
日中の天気についてはこのくらいにして、南部の「夜 雪」のチェックを・・・・

GSMとMSMという二種類の計算値を見比べると、確かに少しだけ降水が予測されています(この図は一番降水域が拡大した23時)。
そして天気分布予報は・・・・

一応雪のエリアが広めに計算されています。
南部の予報の「夜 雪」はこれを重視したのでしょうか?
うーん・・・・・・
正直なところ、今日の南部の予報・・・・どうしてこういう予報になったのか?Kasayanとしてはイマイチ理解できません。
ちょっと強気なモノイイですが、少ない情報で解説しきれない予報・・・・すなわち「綺麗じゃない予報はアヤシイ」という経験から・・・・今日の南部の予報はアヤシイと思います。
日中、「所により雪」があってもイイ状態だと考えます。
14時追記:
午前11時発表の南部の予報「北の風 くもり 所により 雪」。
「所により雪」になりましたよ。
一方、中部や北部・・・・・こちらは雪の程度に地域的バラツキがあることを十分に把握しておけば天気予報がハズレたと感じることはないでしょう・・・・当たるです。
南部の予報・・・何か気付いたら時間の許す限り追記してみたいと思います。
当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、
kasayangw@yahoo.co.jp
までメールしてください。
可能な限り返信いたします。
1、今日の一言
昨日の夕方、久々に長野ローカルのニュースと天気予報を梯子して見ていたんですけど、小諸~軽井沢間などで電車が止まっていたニュースを様々に扱っていました。
架線に着氷するという現象によって、電車に電気を送れなくなったためですが、「珍しい」着氷現象のメカニズムにまで踏み込み、図まで作って報道していたのは、Kasayanが見る限りSBCだけでした。
気象事業者として登録してある放送局としては、気象台への取材を中心にせず、もうちょっと突っ込んだ解説が欲しいと思いましたが・・・祭日で人も少なかったかもしれません・・・さすがに老舗の民放だな・・と思いました。

ニュースの中では・・・・
「気象台によると、着氷を予測することは難しいとのことです」
・・・と、コメントされていましたが、昨日朝の短期予報解説資料というプロ用の情報には・・・・・
地表が冷えて、上空に気温の高い所があると、過冷却の雨が架線などに凍り付く現象が起こることがあり影響が大きい。温度成層にも注意。
・・と書かれいました。
発生の可能性は十分にあったのですが、予測が難しいということの内実は、場所の特定や発生の程度の予測が難しいということなんですね。
日中、気温がプラスまで上昇しなかった軽井沢方面や大町方面で多発しましたが(発生メカニズムの解説は昨日の記事に追記してあります)、着氷が発生する状況になることを判断するには実況を注視して発生直前に判断せざるを得ません。また、注意報の基準は「著しく」発生のおそれがある場合なので、程度の見積もりも悩むところです。
Kasayanも、朝の段階では発生しても電車がとまるほどじゃないだろうと思ってましたが、昼過ぎに雨(みぞれ)の状況を見てアレ・・・?なんて状態でした。
東京でも発生することがあって、山手線などが止まったらトップニュースですから、局にいる気象予報士が図を多用して解説しまくるのですが、車社会になってしまった長野県?
翌日のダイヤ混乱の可能性もあるのに、トップニュースにしていない放送局があったのも驚きでした。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

冬型の天気分布のように、日本海側と太平洋側に二分される分布ですけど、どっちも曇りがベースになっていて、中途半端。
この理由が、長野県の中南部の予報に影響してくるところです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

北部が「時々(一時) 雪」で、中南部が「くもり」。
ただ、予報文には中部にも、「所により 昼前から夕方 雪」と書かれていますから、中部も事実上「くもり 一時 雪」という感じです。
ところが、南部は北部や中部と違う時間帯・・・「夜 雪」と書いてあります。
なんで?
天気マークの予報だけでパッと理由が思いつかない場合の予報は・・・疑ってかかるのが吉。
あとで詳しくチェックしてみます。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

日中、西高東低の気圧配置になるわけですが・・・・あえて冬型と書いていないのは、大陸からの高気圧の張り出しのほうが優勢すぎて、一般的な冬型といえるほど西高東低のバランスがとれておらず、ためらいを感じるからです。
今日、冬型の天気分布のように、太平洋側でスパッとした晴れにならないのは、二つの弱い気圧の谷ができるから。
弱い気圧の谷付近はぐずつくので、雨や雪の可能性もあります。
曇りの天気マークの関東や東海地方の予報文を読むと、夕方あたりに一時的に雨や雪が予想されていますが、この弱い気圧の谷の影響のようです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
一応、西高東低の気圧配置になりますから、北部の雪は簡単に理由がわかります。
ただ、強い冬型というわけでもないのに、中部の昼前後の雪の理由は?

正午の降水量予測と気圧配置の図ですが、東海付近に弱い気圧の谷ができていて、静岡や長野県中部や南部に降水が予測されています。
上のアニメで見た弱い気圧の谷の影響だったんですね。
降ってくるものが雨か雪か?・・・昨日のことを考えると気になるので一応チェック。

強い寒気というほどではありませんけど、昨日より地上付近に冷たい空気が流れ込んでいて、一応県内上空は0℃以下。
雪がメインと思われます。
でも・・・・中部より降水が予測されている南部は日中くもりなんだろう?
降水量予測に統計的処理も加えた天気分布予報を見ると・・・・

南部にはそれほど雨域がかかっていませんから、こちらを優先した?・・・・イマイチ理由がわかりません。
日中の天気についてはこのくらいにして、南部の「夜 雪」のチェックを・・・・

GSMとMSMという二種類の計算値を見比べると、確かに少しだけ降水が予測されています(この図は一番降水域が拡大した23時)。
そして天気分布予報は・・・・

一応雪のエリアが広めに計算されています。
南部の予報の「夜 雪」はこれを重視したのでしょうか?
うーん・・・・・・
正直なところ、今日の南部の予報・・・・どうしてこういう予報になったのか?Kasayanとしてはイマイチ理解できません。
ちょっと強気なモノイイですが、少ない情報で解説しきれない予報・・・・すなわち「綺麗じゃない予報はアヤシイ」という経験から・・・・今日の南部の予報はアヤシイと思います。
日中、「所により雪」があってもイイ状態だと考えます。
14時追記:
午前11時発表の南部の予報「北の風 くもり 所により 雪」。
「所により雪」になりましたよ。
一方、中部や北部・・・・・こちらは雪の程度に地域的バラツキがあることを十分に把握しておけば天気予報がハズレたと感じることはないでしょう・・・・当たるです。
南部の予報・・・何か気付いたら時間の許す限り追記してみたいと思います。
当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、
kasayangw@yahoo.co.jp
までメールしてください。
可能な限り返信いたします。
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