2010年01月20日
天気予報は当たるのか?(1月20日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
今日は天気図チェックの時間が長くなっちゃって、今日の一言を書いている時間が無くなってしまいました。
あったかくなるけど夜から雨・・・そして天気マークだけで判断すると失敗するよ!という天気ですから、注意してくださいね。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

全国的に「のち」天気悪化マーク・・・久々です。
ただ、「のち」のタイミングは、書き込みのように大きく二分されます。
チラリと下の予想天気図をカンニングすると・・・・
北の「のち」エリアは寒冷前線通過のタイミング。
南の「のち」エリアは停滞前線通過のタイミング。
・・・のようです。
それぞれ天気変化の理由が異なるのでタイミングが違うわけですね。
ということで、長野県は停滞前線通過のタイミングで雨。
3、長野県の予報
長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。

停滞前線通過のタイミングで雨・・・ということですが、これを知るためには予報文を読まなくてはなりません。
北部と南部は「夜遅く」、中部だけ「夜」に「所により雨」。
中部だけ傘マークもありませんし、なんか変ですね・・・これはあとでチェックしておきましょう。
今日は予報文の風の予報も書き込んでありますが、前線通過のタイミングで暖かい南風が冷たい北風に変わります。
県内全域、今日いっぱいは南風・・・・前線は通過しきらない・・・そして、明日北風に。
結局、前線はゆっくり南下するようです。
そして雨が上がるタイミング・・・予報文を読むと、北部ではそのまま雪になってしまいますが、中南部は明日の昼前後に回復するようです。
もうひとつ、今日日中、気温が上がるということが話題になっていますから、一応予想最高気温の図も添付しときます。なだれ、屋根の落雪注意!ですね。

4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

テレビの解説はこんなもんだと思います。
これに続けて予想気温の分布なんかにチェンジして「桜が散る頃の暖かさなんです!」と言えばインパクトがあってテレビ的にありがちな構成ということになります。
でも気温が上がるぞ!も大切ですけど、いつ天気が崩れ始めるのか?気温はどう下がるのか?いつ雪に変わるのか?についても同様かそれ以上に大切だと思うのですが・・・・こういうときに番組制作者のセンスがわかります。
もっとも、県内ローカルの朝の天気予報は何があっても同じメニューですけど・・・・・
(中には自動音声の天気予報番組もあるんですよ。気づいてました?・・電話の177と同じですよ・・・)
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今日の予報がハズレて困るとしたら・・・暖かくならないということはまずないので・・・・①日中晴れない、②雨の降りだしが早まる・・の2点だと思います。
このうち、①日中晴れない、という点については、日の出の長野市内・・・すでに晴れているようですし、計算値を見ても、上層の雲がかかりやすいものの下層の雲は日中全くかかる気配もありません。
予報文は「晴れ のち 曇り・・・」になっていますが、スパッと曇るのではなくて、上層から次第に雲が厚くなってくる・・・とイメージしておけばハズレということはないでしょう。
問題は②雨の降りだしが早まる・・ですが、これは前線の通過のタイミングが早まるということと、前線の雨のエリアが拡大するということ、そして長野の地形と風の影響を検討しなくてはなりません。
気象台が予報を作る過程で見たでチェックしたであろうデータのいくつかを再検討してみます。
ここからちょっと長くなりますから、興味のない方はもう一度予報文読んで終わらせてください。
興味のある方、おヒマな方は続けて・・・どうぞ・・・・
今日の天気のシナリオは、高気圧南下→高気圧の後ろ側に暖湿流流れ込む→フェーン現象も発生して気温上昇→寒気の南下する日本海に前線顕在化→今夜前線南下→夜遅くまとまった雨・・・というものです。
高気圧が南下するのは確かですから、高気圧の後ろに暖湿流が流れ込むというところから。

赤く塗ったところが、特に温かく湿った空気が流れ込んでいるエリア。
今夜の段階で前線は日本海にありますから、県内は前線の南側の湿った空気によって発生した雨雲による雨。
南西の風によって雨雲が流されることになります。
次は、気温上昇・・とそのあとの変化。この時期ですから・・・降るものが確かに雨か?も確認しなくてはなりません。

今日いっぱい、長野県上空はプラスの気温。
すくなくとも明日朝までは標高の高いところを除いて降るものは雨。
予報文と同様、明日の昼前後から雪の可能性が高くなってくるはずです。
では、どのタイミングでどの程度の雨が降るのか?

今夜9時前後から、かなりまとまった雨が予想されています。
気象庁の予報者向けの見解(短期予報解説資料)には・・・
今日午後から明日朝にかけて、東北~西日本では60 ミリ程度のまとまった雨が予想される。積雪の多い地域では、融雪による洪水や土砂災害に注意。
・・・と書かれていますから、これを信頼すればそこそこしっかりした雨になるでしょう。
そして明日午前中、前線の雨のエリアは南岸に抜けて中南部は回復へ。
ただ、日本海側にはもう一つ、寒気南下に伴う雨(雪)のエリアが計算されています。
先に見た気温のアニメと照らしあわせれば、北部では明日午前中に雨から雪にバトンタッチされて、回復しないと思われます(一時的な回復はあるかも?)。
・・・・簡単にチェックしただけでは、気象庁の予報のシナリオを覆すようなきっかけは見えてきませんでした。
もうちょっと・・・降りだしだけを詳しく検討してみると・・・・

雨雲の拡大は、南西の湿った空気の流れと同様に南西方向から。
前線は日本海にありますが、県内の雨の降りだしは思いのほか南部のほうが早そうです。
一方、中部は御嶽山付近の山や中央アルプス、霧ヶ峰、八ヶ岳にブロックされて降りだしが遅いようです。
だから予報も中部だけ傘マークがついていなかったんですね。
とはいっても、中部でも西のエリアは午後9時前後には降ってもおかしくない状態。
この点、予報は「所により 雨」で調整しているんですね。
ホント・・予報は良くできています・・・・
ただ、今日の予報はキチンと予報文を読まなければ誤解しそうな天気です。
というのも、北部に傘マークがついているからといって降りだしは夜遅くですから、空振りと思う人が多いでしょう。
中部では傘マークがないので、松本付近で帰りの遅い人は雨に降られて見逃しと思うかもしれません。
こういうとき、解説者や天気予報原稿作成者のウデが重要になってくるんですが・・・ご覧になった天気予報はどうでした?
朝の長野ローカルは・・・・論外・・・ですけど・・・・
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Posted by kasayan at 07:28│Comments(0)
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