2009年12月18日
大雪情報第4号(12月18日)
これ、今日午前10時の長野地方気象台の超音波式積雪計。
ちょいと抜けだして写真を撮ってきました。

雪の積もった横棒の先っぽ、下に向いているラッパから雪面に向けて超音波を発射し、その反射を利用して積雪を観測しています。
今日午前10時、まさにこの写真を撮った瞬間の長野の公式の積雪は2センチ。
公式発表の積雪のイメージができますよね(意外と少ない?)。
さて、長野地方気象台、今日は6時、11時、16時と、3回も「大雪に関する長野県気象情報」を発表しています(原本はここをクリック)。
これ、ニュースの中で、アナウンサーが「・・・と気象庁(長野地方気象台)は注意を呼びかけています」という項目の元ネタです。
これを引用添付すると、古い情報で誤解を生む可能性がありますから、警戒情報ということで、予想降雪量などは、上のリンクをクリックして原本を確認してください。
ここでは、本文中の「気象状況」を噛み砕く・行間を読む・補足する、というコンセプトでコメントしてみます(このブログはKasayanの気象解説能力低下のリハビリでもあるので)。
同じ現象でも試行錯誤で、できるだけ異なる図を使いながら細かくコメントしてみるつもりなので、大雪が気になる方、興味がある方、忘年会もなくてヒマな方は、お付き合いください。興味のある図だけでもわかるように書いてみますので・・・・。
(16時05分、長野地方気象台発表 大雪に関する長野県気象情報 抜粋)
[気象状況]
長野県の上空約5000メートルには、氷点下36度以下の寒気に覆われており、冬型の気圧配置が強まっています。
19日にかけて、氷点下39度以下の強い寒気が流れ込み、強い冬型の気圧配置となる見込みです。
このため、19日にかけて、北部や西側の地域をを中心に断続的に強い雪が降り、大雪となる所があるでしょう。
(積雪の実況・予想降雪量 略)
なお、19日夕方以降も、北部を中心に断続的に強い雪が続く見込みです。
気象台の解説は、いたってシンプルですから、ちょっと補ってみます。
文字ばっかりじゃつまらないし分かりにくいので、まずはじめに、天気予報や大雪のニュースのにも出てくるであろう解説コメントを明日朝の予想天気図上に全部書き込んでおきました。

(1) まず、長野県気象情報にある「強い冬型の気圧配置となる」ということは、いわゆる西高東低の気圧配置になること、そして、西と東にある高気圧と低気圧の気圧の差が大きいということを意味することはご存じだと思います。
気圧の差が大きくなると、高気圧から低気圧に空気が流れ込む風が強くなります。
そして、等圧線が縦に並ぶ形になると、強い風の風向は北西になります。
「強い冬型の気圧配置」という文章からは、北西の風が強くなるということをイメージするわけです。
もっと詳しく冬型が強まる様子をみるために、今夜9時と明日9時の専門の予想天気図をならべてみました。

比べてもあまり変わり映えがありませんが、よく見ると、本州上にある等圧線の数が、今夜5本に対して明日朝には6本になってます。
今夜でも十分に冬型が強まっているので微妙な比較ですが、少なくとも明日朝までは北西の風が弱まらないということだけは確かなようです。
また、日本海上で等圧線が大陸側に少しだけ曲がっている場所・・・ここが弱い気圧の谷ですが、ここでは大陸から吹きだす北西の季節風が集まる傾向にあります。
ホースの先をつまんで洗車することを思い出してください。
この場所の延長線上に北陸、そして長野があります。
(2) 次に、天気予報やニュースでも聞きあきた上空の寒気。
長野県気象情報では「氷点下39度以下の強い寒気が流れ込み」と書かれています。上の天気図では寒気の中心の-42℃の位置を示しておきました。
この寒気、まず日本海と関係があります。
この季節、日本海の水温は、南から流れ込む暖かい対馬海流の影響で、15℃もあります。

こんなに暖かい日本海の水の上を渡って冷たい空気がやってくるわけですから、長野の川でもよく見かける川霧のように、海水が蒸発して雲が発生します。
このとき、日本海上の空気が冷たければ冷たいほど海水の蒸発が活発になって雪雲が多くなり、海水に暖められた空気はより上昇しやすくなって発生した雪雲がますます成長することになります。
この雲が、大陸から吹きだす季節風に流され、天気予報で何度も耳にする「筋状の雲」になって、北陸から長野の流れ込むことになるわけです。
特に、日本海に上で説明したような弱い気圧の谷がある場合には、そこに集まる風に雪雲が流され、雪雲が北陸、長野に集中的にやってくることになります。
では、その寒気、今夜から明日にかけてどうなっているんでしょうか?
テレビの天気予報で使われる寒気の図の元ネタの専門天気図を使います。

一番強い寒気のコアが今夜日本海を通過して北海道方面へと進みます。
そして、雪雲が特に活発に成長するといわれる-36℃以下の空気は長野県の上に居座り続けることが見てとれます。
(3)これで、長野県気象情報に書かれていた「寒気」と「強い冬型」が、なぜ大雪の原因になっているのか、それが今夜から明日にかけてどうなるか?について説明が終わりました。
この二つは別ものではなくて、両方があいまって大雪をもたらすわけです。
テレビで寒気だけを示して、「大雪になります」といっても、本当は理由のほんの一部しか説明していないんですね。
でも・・・これだけではテレビとちがって時間制限のない文字情報のブログとしてはまだまだ物足りません。
一番重要な「なぜ冬型の気圧配置が強まるのか?」という理由も解説してみたいところです。

これは、上空5300m付近の天気図。
上でみた地上の天気図と同じ位置に上空の低気圧もあることが分かります。
そして、上空の低気圧の南側にU字型に等圧線(正式には等高度線といいますが等圧線と同じに考えてかまいません)が折れ曲がっています。
赤の点線で示したところですが、ここが上空の気圧の谷。
上空の気圧の谷がやってくると、地上では低気圧や弱い気圧の谷が発生し、空気の動きが活発になります。
まるで皿回しの皿を手のひらでこすって皿の回転を速くするように、上空の空気の流れから地上の空気にパワーが伝えられるわけです。
この谷が、今夜日本の上空を通過することがわかりますよね。
ですから、北海道付近の低気圧や日本海にあった地上の弱い気圧の谷が活発化して、冬型が強まることになります。
(4)これで長野県気象情報のコメントは終わり。
短い文章ですけど、その奥には深ーい理由が詰まっているんです。
ところで、今日もずいぶん長文になりました。
テレビやラジオでは、放送時間が限られていますから、これをおもいっきり削らなければなりません。
コメントで置き換えられるなら図を省きますし、そこまで必要ないと考えればそのまま省略します。
また、最近ではCGを使って、画面上の天気図にお絵かきをして解説をする場合もあります。
でも、どんなに長くても天気予報は3分程度。
限界があります。
ブログはこの点、時間の問題はないんですが・・・・
かといって、このブログみたいに長文すぎるものはどんなもんだか??
ネットで伝える天気予報・・・・Yahoo天気をはじめとする情報を並べただけの天気予報じゃなくて占いのフローチャートのように知りたい人にはとことん詳しく、簡単に知りたい人には簡単に伝える良い方法はないもんですかね?
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Posted by kasayan at 20:50│Comments(0)
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