2009年11月29日
天気予報は当たるのか?(11月29日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
土日の朝、テレビの天気予報番組の数が平日よりグーンと減ります。
朝のワイドショーが無い日曜日の朝は特に。
放送局で働く人だって週末は休みたいですからね。
となると、週末の朝はネットで天気予報をチェックしたほうが便利。
ただ、今日の天気の場合、天気マークの予報を見ただけでOKな人はいいですけど、予想天気図を見た人は???になるかもしれません。
長野県には「のち 雨」マークがついていますけど、予想天気図には低気圧が描かれていませんから。
今朝、ブログを書きながら、ラジオを聴いていたら、気象予報士が「気圧の谷の影響で」を連発していました。伝える者には便利なコトバですけど、聞いている人にはなんか分りにくい感じがしませんか?

今日のテーマは「気圧の谷の影響」。
どこまでわかりやすくまとめられるか?に挑戦してみます。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

全国の天気はざっくりとエリア分けしてみると、予想天気図と対応した天気変化の傾向が見えてきます。
中部・関東方面だけ傘マークがついている・・・「のち 雨」・・・・天気下り坂ね・・・・ということだけ把握しておけばOKです。
3、長野県の予報
天気マークしか見ていませんか?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。

目的の長野県にズーム。
全県で「くもり 後 雨」マークということが分かったら、「後」が何時?を予報文(クリック)でチェックします。
南部が「夕方」で、その他は「夜」。
よく読むと、全県傘マークなのに予報文では北部だけ「雨か雪」になっています。
長野地方気象台は、基本的に雨ベースにしながらも、雪も想定しているんですね。
県内の概況を読んでみると、標高の高い所を想定していました。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
未来の予報を作った時のスタートライン・・・昨夜9時の実況の天気図から今夜9時までの天気図の変化をアニメにしてみました。

ポイントは書き込んでおきましたが、気圧の谷が”高気圧のクビレ”部分や高気圧と高気圧の間の”相対的に気圧の低い部分”にできることがわかりますよね?
これ、詳しくは上空の空気の流れとも対応して複雑なんですけど、この程度に覚えておくだけで十分です。
今夜、高気圧が張り出しすぎちゃって、本州は日本海と太平洋の高気圧にはさまれます。
ですから谷・・・になってしまって、谷には”谷川”のように南から湿った暖かい空気が流れ込み・・・・冷たい空気とぶつかって水蒸気の粒が出来て・・・雨雲発生・・・というストーリーです。
念のため、雪はどこで降る?を確認

夕方5時には県内全域が降水域になってますから、暗くなるころには雨とイメージしておけばよいでしょう。そして、上空1500m付近の寒気は北部中心に0℃近辺。
標高1500m前後の高原や山・・・霧ヶ峰や美ヶ原、アルプス方面や志賀高原、黒姫・飯縄方面は雪を想定しておいたようがよさそうですね。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
上で見てきたように、今日のポイントは雨の降りだし。
北部・中部では「夜」になってますけど、予報用語で夜の定義は「午後6時以降」。
でも計算値を見ると、午後5時くらいにはあやしい感じ。
ただ、雲が広がった午後5時はもう暗いので、用語の定義を知らない人は夜になって雨が降ったと感じるでしょうから、今日の予報は当たる・・と考えておいてよいと思います。
帰りが遅くなりそうなら、要注意ですね。
で・・・・気圧の谷・・・・説明になってました?
大晦日の雪は?
今夜から雪?今年二回目の本格的冬型へ(11月2日)
また雪?明日にかけて冬型へ、北は荒れ模様(11月1日)
台風一過の晴天にならない?ぐずつきの日曜日(10月31日)
台風情報:台風14号予想進路とお役立ちリンク(10月30日)
台風14号予想進路と台風対策情報(10月29日)
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Posted by kasayan at 07:13│Comments(6)
│今日の天気予報は当たるのか?
この記事へのコメント
初めまして。
カメラマンという仕事柄、天気はとても気になり、毎回、天気図と睨めっこ状態、とても興味深く記事を拝見しております。
同じ晴天でもクッキリ澄んだ青空やうす雲の多い状態、時折、雲が掛かる場合など、晴れにもいろいろ。高い山が見えていたり見えなかったりで、とにかく天気にはいつも悲喜こもごも。
確かにテレビの天気予報では、単に晴れやはたまた雨、雪で傘が必要、という情報は伝えてくれるものの、天気の「質」までは伝えてはくれなくって…。
こういった詳しい天気の解説、予報原稿の裏話、今後も楽しみにしています。
カメラマンという仕事柄、天気はとても気になり、毎回、天気図と睨めっこ状態、とても興味深く記事を拝見しております。
同じ晴天でもクッキリ澄んだ青空やうす雲の多い状態、時折、雲が掛かる場合など、晴れにもいろいろ。高い山が見えていたり見えなかったりで、とにかく天気にはいつも悲喜こもごも。
確かにテレビの天気予報では、単に晴れやはたまた雨、雪で傘が必要、という情報は伝えてくれるものの、天気の「質」までは伝えてはくれなくって…。
こういった詳しい天気の解説、予報原稿の裏話、今後も楽しみにしています。
Posted by 32Count
at 2009年11月29日 17:33

気圧の谷、わかりやすかったです。正直派手な擾乱(発達した低気圧や前線)は勉強した知識で説明できそうですが、高気圧と高気圧の間の谷と言われるととまどっていしまうのが現状です。勉強になりました。
テレビの地域天気予報はかなり細分化した地域での発表になっていますね。それはどんなデータをもとに予報しているのでしょうか。kasayanさんがコメントなさっているように毎日の傾向を地形とてらして観察することからのスタートになるのでしょうか。正直現状の実力では自分のためにも明日の予報ができません。
テレビの地域天気予報はかなり細分化した地域での発表になっていますね。それはどんなデータをもとに予報しているのでしょうか。kasayanさんがコメントなさっているように毎日の傾向を地形とてらして観察することからのスタートになるのでしょうか。正直現状の実力では自分のためにも明日の予報ができません。
Posted by hanakotaro at 2009年11月29日 18:13
今日はご親切にありがとうございました。
気圧の谷・・わかりましたよ~^^
予報用語で夜の定義は「午後6時以降」などというのも、初耳なんです(笑)
とてもレベルの低い私。
これからも楽しみに見させていただきま~す(^-^)
気圧の谷・・わかりましたよ~^^
予報用語で夜の定義は「午後6時以降」などというのも、初耳なんです(笑)
とてもレベルの低い私。
これからも楽しみに見させていただきま~す(^-^)
Posted by うたかた夫人
at 2009年11月29日 22:22

32Countさん、はじめまして。
カメラマンさんは、皆さん天気には大変気を配っていらっしゃいますね。
自然が作り出す偶然の一瞬を探す心意気に驚かされます。
少しでも未来の空を頭の中で連続的にイメージしていただきたいというのが、現場にいた頃からのテーマですが、いまだ模索中。
30年ぶりの長野のひと冬を経験するまではトンチンカンなことを考えてしまうかもしれませんが、多少なりともセカンドオピニオンになれたら幸いです。
これからもよろしくお願いいたします。
カメラマンさんは、皆さん天気には大変気を配っていらっしゃいますね。
自然が作り出す偶然の一瞬を探す心意気に驚かされます。
少しでも未来の空を頭の中で連続的にイメージしていただきたいというのが、現場にいた頃からのテーマですが、いまだ模索中。
30年ぶりの長野のひと冬を経験するまではトンチンカンなことを考えてしまうかもしれませんが、多少なりともセカンドオピニオンになれたら幸いです。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by kasayan
at 2009年11月30日 04:13

hanakotaroさん、おはようございます。
教科書や試験では典型的な事例ばかりですが、現実は一つとして同じ天気はありません。悩んだとき、つい典型的な事例に近づけて考えてしまいがちですが、そんなときはほぼ失敗しちゃうんです。基本どおりにプログを読むのが一番だと思っています。また、頭上の天気を予測するためには、日本全体の概況を把握することから。最初は「頭上ならできる」と考えちゃうんですけど、すぐに気付きます。しっかり分析した後、短期予報解説資料で答え合わせしてみては?
細分化した予報・・・いずれコメントしようと思っていたのですが、昔は気象会社の中でも使用絶対反対!という考えも多かったんです。気象庁が配信するGPVを、気象庁のガイダンスのように気象会社独自のモデルで再計算したものです。人の修正も多少はしますが、ほぼ生・・ですからメインの一品にはならないはずですよね。
教科書や試験では典型的な事例ばかりですが、現実は一つとして同じ天気はありません。悩んだとき、つい典型的な事例に近づけて考えてしまいがちですが、そんなときはほぼ失敗しちゃうんです。基本どおりにプログを読むのが一番だと思っています。また、頭上の天気を予測するためには、日本全体の概況を把握することから。最初は「頭上ならできる」と考えちゃうんですけど、すぐに気付きます。しっかり分析した後、短期予報解説資料で答え合わせしてみては?
細分化した予報・・・いずれコメントしようと思っていたのですが、昔は気象会社の中でも使用絶対反対!という考えも多かったんです。気象庁が配信するGPVを、気象庁のガイダンスのように気象会社独自のモデルで再計算したものです。人の修正も多少はしますが、ほぼ生・・ですからメインの一品にはならないはずですよね。
Posted by kasayan
at 2009年11月30日 04:25

うたかた夫人さん、おはようございます。
予報の用語は、気象庁のHPにきれいにまとまったページがあります。
ヒマなときにでも斜め読みしておくと、きれいな空に出会う可能性が高まるかもしれませんよ。
これからも長野市内から見えない景色を楽しませてください。
予報の用語は、気象庁のHPにきれいにまとまったページがあります。
ヒマなときにでも斜め読みしておくと、きれいな空に出会う可能性が高まるかもしれませんよ。
これからも長野市内から見えない景色を楽しませてください。
Posted by kasayan
at 2009年11月30日 04:28
