天気予報は当たるのか?(7月28日)北と西から下り坂夕立は?
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
西日本ではすでにまとまった
雨・・・東へゆっくりと拡大しています。
また、
東北北部や北海道にも
雨エリア。
太平洋高気圧も一休みのようですが、
東日本は今日いっぱいは休みなし。
猛暑が続き、
不安定な天気です。
昨日の東日本の夕立・・・ゲリラ雷雨と呼べるような雷雨はなく、そこそこ計算通り・・・というか、
計算より少なめの雷雨でした。
ゲリラ雷雨が発生した一昨日より
南よりの海風が強く、上空まで南よりになっていたため、ゲリラ雷雨を発生させるような複雑な空気の流れも発生せず、南風の吹きあがりで、
長野県北部や関東北部の山沿いが中心の雷雨で済んだ・・・ということだと思います。
計算以上の雷雨となった一昨日の事があったので、
気象台も安全マージンを多めにとっていて、
Kasayanもずいぶん安全マージンをとってしまいました。
安全面を考えれば、見逃しよりは空振りのほうが良い雷雨ですけど、
空振りが続くと狼少年になってしまいます。
このあたりの
バランスが非常に難しいところですね。
天気予報って、心理戦?みたいなところがあるんです。
今日は、ますます南よりの風が強まる傾向ですが・・・・どうなるでしょうか?
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。
上の衛星画像で見たように、
西と北から天気下り坂。
明日は、もっと傘マーク拡大・・・・もちろん・・・
猛暑日は明日にかけて解消に向かいますよ。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。
相変わらず、予報文には
全県に「雷」の文字がついています。
昨日は、南部でほとんど雷や雷雨は観測されませんでしたが、今日はこのあたりどうなんでしょうか?
下で詳しく検討してみます。
昨日に引き続きオマケ・・・
神奈川県の海上の風ですが、
昨日よりさらに強く予想されています。
昨日は、
この影響について判断しかねていましたが、
昨日の傾向から考えると・・・・どうなんでしょう?
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
ポイントは全部書き込みましたが、
高気圧が西から弱まって暖湿流が日本海を北海道方面まで北上するというのが、
今日から明日にかけての天気変化の原因。
付け加えるとしたら、
北海道付近に接近する低気圧が上空に強い寒気を伴っていて、北海道は不安定要素も加わるということでしょうか。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
このところの
不安定要因のモト・・・上空の寒気のチェックから。
東日本以北は、昨日と同じ-6℃以下の寒気に覆われて大気不安定が継続。
北海道の近くまで、-12℃の寒気のコアが近づいていることも着目点です。
続いて、今日から明日にかけてのポイント・・・
日本海を北上する暖湿流の流れの様子。
今日は、
暖湿流を流す上空1500m付近の風の様子をまとめてみました。
緑の部分が特に風速が強いところですけど、みごとに
九州~日本海~北海道へと流れています。
風速が強いエリアが、
明日にかけて九州から東へ移動しますから、
東日本も明日にかけて暖湿流がガンガン流れ込むようになります。
ということは、雷雲の発生エリアも暖湿流が流れ込みやすい北寄り傾向?
まずは、
全国の降水の予想から見てみましょう。
暖湿流の流れと対応して、
雨のエリアが東へ拡大しているということと、
北海道の雨域が拡大していくことはまず押さえることとして・・・・・
東日本では、ここ数日とは異なって、
日本海寄りに雷雲の発生が予想されています。
東日本を拡大してみると・・・・
昨日も上越方面で一時的に雷雲が発生しましたけど、今日は
ここ数日になく新潟県方面で雷雲の発生が予想されています。
また、
群馬県と新潟県の県境付近の降水量の計算値もは格段に多くなっています。
いつものように
空気の流れで詳しく見てみます。
日中の猛暑によってできる上昇気流で発生する
熱低気圧は、
いつもより50Kmほど北に計算されています。
ということは、長野県北部では
ここ数日の中で最も北まで南風が入り込みやすい状態。
また、
風向はここ数日で最も南よりで、南部では、
南アルプスや中央アルプス、御嶽山付近で強制的に風が上昇させられてしまうエリアに降水が予想されています。
そして、一昨日までのように、風の合流によって南部で降水を発生させるという傾向は少なく、強まりつつある
南よりの風が、伊那谷や木曽谷を一気に北上するという傾向にあるようです。
一方、熱低気圧が発生する
北部付近では、
北から熱低気圧に流れ込む風と南からの風がぶつかる場所ができていて、
長野県北部や新潟県上越で雷雲発生というメカニズムのようです。
(下降流域になりやすかった北アルプス東側での降水量もここ数日で最も多い)
ただ、何度も書きましたが、
雷雲の時間的・空間的スケールは、シュミレーションプログラムの解像度ギリギリですから、山の斜面の昇温や山岳の気流の影響で、
もっともっと複雑です。
一応、
傾向としてとらえておいてください。
最後は発生した
雷雲を流す上空3000m付近の流れ。
上空まで南よりの風。
昨日は西南西でしたから、一気に南に回っています。
県内で
北部中心、関東でも
北部山沿い中心に雷雲が発生する理由の一つです。
ということで・・・実は今朝・・・・
図を作っている最中にPCがハングアップ・・・・7割の図がつくりなおしになっちゃったんです。
もう今日はブログなんてやめちゃおうかな・・・なんて思ったんですけど・・・1年間は長野県天気の修行の身ですから・・・・
考え直してここまでで時間切れ・・・・・
検討しながら、図をまとめているんですけど、
中途半端になっちゃったんで、今日は天気予報の当たりハズレを云々する資格がありません。
北部中心の雷雨で南部は山沿いの一部に限られるんじゃないかな・・・と思いますが、
安全マージンをとらなくてはならないのが雷雨。
ざっと見たところ、
今日の予報も当たりでイイと思うんですけど・・・・・
当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、コメント欄だけではなく、以下のアドレスにメールしていただいても構いません。
kasayangw@yahoo.co.jp
可能な限り返信いたします。
(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
関連記事