週末の天気予報はアヤシイ?(6月25日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
今朝は・・・ご想像どおりの理由で更新ができなかったので、
週末の天気をザクッとまとめてみました。
Kasayanが住んでいる
長野市はムシムシの一日。
午後から雲が厚くなってきましたが、
ムシムシの暑さは解消するどころかより強まっているような気がします。
というのも・・・・
梅雨前線が九州・四国を北上中・・・このあたり、明日までに
300ミリの大雨が予想されています。
週末の天気はこの前線の動き次第。
ちょっとオマケですけど、目を南に向けると
小笠原の南あたりに雲のカタマリ。
これから熱帯低気圧に変わるのか?上陸云々とは別にして、この時期の熱帯低気圧や台風は、
梅雨前線に湿った暖かい空気(雨の原料)を運びこむポンプの役目をしますから、
今後の動向に注目する必要がありそうです。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。
土曜、日曜の天気マークの予報を並べました。
雨や、ぐずつくエリアが日曜日にかけて津軽海峡付近まで北上していくのがわかります。
また、
土曜日の西日本のマークは傘マーク一発・・・しっかりとした雨ですけど、
日曜日に広い範囲に散らばっている傘マークのほとんどは雲マークとセットになっていて、基本的には曇りベース・・・雨よりも曇りの時間のほうが長いということになります。
雨の降り方が違いますから、単純に前線が北日本に延びるというわけじゃないんですね。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。
土曜日は雲マーク一発ですから、
基本はくもりですけど、
「所により雨」のおまけつき。
日曜日は左側が雲マークですから
雨も降るけど、曇りの時間のほうが長いということのようです。
で・・・
予報文の違いは「所により」と「一時」。
ちなみに、予報用語集を開いてみると・・・
「所により」とは、
”現象が地域的に散在し、複数の地域を指定して表現することで冗長な表現になる場合に用いる。 ”とのこと。さらに、
”その発現域の合計面積が、対象予報区全体の50%未満である”とのことですから、土曜日では長野県の半分以下のエリアで雨が降る可能性があるということのようです。
また、
「一時」とは、
”現象が連続的に起こり、その現象の発現期間が予報期間の1/4未満のとき”ですから、雨が降っている時間が6時間くらいということになります。
なんだかんだと言いましたけど・・・
昨日から計算値を見ていると、新しい計算値が出るたびに雨のエリアがコロコロ変化するんです・・・・これが現在の予報技術の実力。
気象庁も、
「前線・低気圧や降水の予想はイニシャル変わりがあり、予想やや不確実」なんてコメントしています。
はっきり言ってしまいますけど、本当に明日の天気が気になるなら、早起きをして朝5時発表の予報で行動を確定してください。
特に長野県は
前線の東の端っこですから、
超微妙な位置なんです。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
短期予報解説資料というプロ用の資料に添付されていた図が、いたってシンプルでわかりやすかったので、そのまま使わせてもらいました。
一般的な予想天気図もこれとほとんど変わりません。
ようは
前線が明後日にかけて日本海に北上するということ。
長野県・・・前線の東の端っこですよね。
まさに
不確実エリアです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
明日の予想・・・不確実ではありますけど・・・・
なぜ不確実なのか?はキチンとまとめておきました。
長野県の梅雨の天気を修行中の
Kasayanの備忘録だと思って、
興味のあるところだけでも読んでやってください。
まず、
地上の天気変化に大きく影響する上空の気圧配置・・・そして
地上の天気図と降水のエリアをセットにした図です。
上空の天気図の線(等高度線)が
南北に思いっきり蛇行。
蛇行した流れから
切り離された空気は低気圧になって、
朝鮮半島の北西側に停滞しています。
このため、
上空の天気図は明後日までほとんど変化なし。
そうなると
地上付近の天気変化の速度もうーんとゆっくりに。
ゆっくりになると、前線や雨のエリアの動きの
誤差が予報に大きく現れてしまうわけです。
一応、計算上では、
明日夜には東日本まで雨のエリア拡大。
明後日朝には津軽海峡付近まで拡大するようですから、上でみた全国の天気マークと同じですね。
もっとも、
強い雨のエリアは九州方面と日本海。
太平洋高気圧が勢力を強めて前線を押し上げてしまうからです。
続いて
前線の位置・・・
湿った空気が流れ込むエリアの図で見てみましょう。
赤の点線が前線の位置とほぼ対応していますけど、
明日にかけて北上して日本海を東北方面に延びていきます。
そして、
前線の南側には湿った空気(雨の原料)が大量流入。
今日よりもっとムシムシ傾向。
西日本の暖湿流はかなり強まります。
そして・・・
湿った空気と上空の寒気がセットになると大気が不安定になって、雷雲が発生しますから、
上空の寒気もチェック。
朝鮮半島の北西側に寒気のカタマリがあってアメーバのように
回転していますけど、これが南下してきて、前線が活発になるのははまだ先のこと。
もっとも、
東日本方面には-6℃の寒気が南下してきていますから、
それなりに雲がモクモクという可能性が高まってきます。
一方、
西日本方面は上空より相対的に
強い暖湿流が流れ込むために不安定・・・
南斜面を中心に集中豪雨が発生してもおかしくない傾向が続きそうです。
で・・・いつものように、
土曜日と日曜日の全国の雨のエリアのアニメ。
明日朝の計算値ではまた変化がありそうですからアニメを作るのもちょっと空しい感じもするんですけど、明日朝、比較ができるので一応作っておきました。
太平洋高気圧が張り出してきて、その
縁を回るような梅雨前線の雨エリアが日本海に延びていくのがわかりますよね。
土曜日は雨のエリアの東側の端、長野県の予報がアヤシイ感じが見てとれます。
そして、
日曜日は強い雨の中心は日本海になりますけど、
日本付近は細切れの不安定性の降水・・・これを予報に表現すると・・・・やっぱり「一時」という表現しか使えませんよね?
そして、
県内の明日・・MSMという計算値でチェック。
この計算値だと、
昼頃には県内のかなり広いエリアで雨になるんですよね。
長野地方気象台・・・GSMという計算値や、一つ前の計算値なども考慮して、
この計算値をちょっと割り引いて予報を出しているかもしれません。
そうなると・・・
曇りマークの予報のイメージより悪くなってしまう可能性も十分あります。
いずれにせよ、
明日の予報はかなりアヤシイ・・・・
Kasayanの感覚では、ちょっと
悪目に変わる可能性があると思うのですが・・・・とにかく
明日朝5時発表の予報で最終確認してください。
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