故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
今朝、
レーダー画像を見ていたら、ベースの地図上に
新潟県の粟島を見つけて、つい懐かしさに朝から昔の写真を引っ張り出してしまいました。
粟島は、
佐渡島の東にある周囲20キロほどの小さな島。
日本海に佐渡島以外に島があることを知らない人も多いですから、粟島という名前をはじめて聞かれる方も多いのではないでしょうか。
長野県から訪れるには、新潟市をさらに北上して
岩船というところからフェリーに乗ることになります。
桶のような器に焼いた魚とネギを入れてお湯を注ぎ、真っ赤に焼いた石を落して、ジューッと煮立ったところで味噌を入れて食べる
「わっぱ煮」という食べ物が有名な島。
そんな食べ物が有名になるくらいですから、
海産物の宝庫。
10年ほど前、
ヨットで訪れたときには、ヨットを留めた岸壁をサザエがたくさん這い上がってきて、
ヨットの上からサザエをつかみ取りし放題だったというウソのようなことがおこる島です。
長野県では佐渡島を旅行される方が多いと思いますが、ちょっと足をのばして素朴で美しい
粟島もぜひ訪ねてみてください。
天気図やレーダーを見ていると、
天気よりも昔ヨットで訪ねたところばかり目が向いてしまいます。
入江の奥のあの漁港でお世話になったあの漁師さんは、この雪の中も漁に出ているんだろうか?沖から見たあの灯台は強い風に吹かれているんだろうか?なんてことを考えながら・・・・・
さて、
いい旅夢気分?はこのくらいにして・・・・
朝の予報が発表された
午前5時のレーダー画像。
長野県
南部に雨(雪)雲がかかっています。また、
山陰にも雲の帯。
この雲の行方・・・しっかり確認していきましょう。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。
いろいろなマークが混在しているように見えますけど、
二つのマークの右側だけ見れば冬型の天気分布。
こういう見方をすれば、この図だけで、今日は
冬型の気圧配置になる変わり目なんだということがわかります。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。
上のレーダー画像で見た
雪(雨)雲が東海上に抜けるんでしょうね・・・・
予報文を読むと、
中部は
「明け方」だけ
「雪」。
南部は、
「昼前」で
「雪」が止むようです。
そして、雪が止めば、2個セットの天気マークの右側・・・
晴れ間が広がってくるようです。
一方、
北部はマーク左側が雲ですから、
曇りベースの一日。
もっとも、
「所により 昼過ぎ から 夕方 雪」。
今日のチェックポイントは、
中南部の雪が止むタイミングと、
北部の雪が降るタイミングとそのエリアということになりそうです。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
中南部の雪が止むタイミングは、
南岸の低気圧が抜けるタイミングと関係がありそうです。
また、北部の雪は、
日本海を進む低気圧の影響次第ということでしょう。
南岸の低気圧はサッサと抜けていきそうですから、中南部は順調に回復しそうですが、
日本海の低気圧の影響はイマイチわかりません。
ここはもうちょっと深くチェックしておきましょう。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
(今日は図が多いので、興味があるところだけ飛ばして見てくださいね)
日本海の低気圧・・・上のアニメで見る限り、南岸の低気圧と比べてあまり発達する気配がありません。
また、
前線もないのに、どうして長野県まで影響するんでしょうか?
そこで、
地上付近の空気の流れと降水の予測をチェックしてみると、地上付近では低気圧の南側に
北西の風と南の風がぶつかるエリア(赤の点線)があることがわかります。
そして、この
エリアの後ろには降水が多めに計算されています。
二つの空気がぶつかる所(
シアーライン)では、ぶつかった空気が上昇して雲が発生しやすくなります。
また、二つの空気の
温度に差があればあるほど雲が発達します。
低気圧の西側(後ろ側)には、比較的
強い寒気がありますから、二つの空気がぶつかった所は大気が不安定になって
雲が発達しやすいんですね。
予報文からすると、この南北に細い降水エリアが長野県北部にかかってくるのが
「昼過ぎ から 夕方」ということのようです。
では、
降水エリアがかかってくる様子をいつものアニメでチェックしてみましょう。
南北の降水エリアが東西に倒れながら、ゆっくりと
日本海側沿岸にかかってくることがわかります。
やっぱり
昼過ぎあたりに長野県に影響してきそうです。
また、
新潟県境付近は夕方以降も雪が残りそうですね。
明日の予報・・・北部は「くもり 昼過ぎ まで 時々 雪」ですから、この付近は
明日まで雪が続いてしまいそうです。
もっと詳しく・・・
中部地方にズーム。
午後3時あたりが本格的に降水エリアがかかってくるタイミングのようですが、
県西部中心に降水が計算されていて、イマイチ東部までエリアが拡大しません。
風がぶつかってできる降水域のメカニズムは寒冷前線に似ていますけど、今日の現象は
地上付近の空気だけで発生している現象なので、標高が高い
北アルプスを越えられないためかもしれません。
で・・・・
今日の予報。
北部は
「時々晴れ」と書かれていますけど、
昼前後には日本海の雪雲がかかってきますから、あまり期待できそうもありません。また、
新潟県境の雪が明日まで続く可能性もあります。その意味で北部の予報はちょっとアヤシイという感じですが、
基本的に曇りベースの予報ですし、
平均的に見れば「所により 雪」ということになりますから、
予報は当たるということにしておきます。
10時半追記:上層雲がほとんどなく、北部の晴れ間はかなり広がっているようですから訂正します。
午後の雪雲の帯はかなりシャープな形で、午前10時現在石川県沖まで進んでいます。
そして
中南部・・・
雪が止むタイミングは明け方~昼前になっていますが、計算値やレーダーを見る限り、妥当な線だと思います。
また、
晴れになるか?という点ですが、昨日と異なり
上空高い所にある雲はすっかり抜けています。
若干中層の雲が残るものの、
雪雲が抜けたら白っぽさの少ない青空が顔を出す(広がるという表現でないところを汲んでください)というイメージだと思います。
ということで、
南部の予報も当たる・・です。
最後に、低気圧にパワーを与える
上空の気圧の谷の様子と、地上の低気圧や高気圧の移り変わりをアニメにしたものを掲載しておきます。
上空の気圧の谷(赤の点線)の東側に低気圧があると低気圧は発達傾向、重なったり西側にあるとあまり発達しないという傾向がありますから、そのあたりを見ていただけると面白いと思います。
日本海の低気圧はあまり発達しないけど、太平洋側の低気圧はそこそこ発達するということがわかるはずです。
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