天気予報は当たるのか?(12月17日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
朝起きて・・・カーテンを開けると白い!・・・
どれだけ積もった?って一番気になりますから、まずは
アメダス積雪深から。 私事ですが、週末にスタッドレスに交換したのはジャストタイミングでした!
多い少ないは別として、ライブカメラを見た感じでは、
県北部と西部を中心に広い範囲で積雪になっているようです。
ただ、気象庁が
公式に観測しているデータではこんな感じ・・・まだまだ
序章程度の雪ですね。
新潟県境や志賀・菅平方面を中心に積雪が多くなっています(昨日かなり融けていましたから、菅平を除いて降雪量もほぼ似たようなものだと思います)。
今朝は、ちょっと早起きして、
昨夜(今朝)の雪の降り方を簡単に考えてみたので、一通り
いつもの天気チェックをしたあと、ざっとまとめてみました。
今夜から明日以降にかけての雪のクライマックス?を検討する良い情報になれば・・・と思うのですが・・・どうなるやら?
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。
その昔、
ニュースステーションという番組を担当していたとき、日本地図の
日本海側に雪マーク、太平洋側に太陽マークの二つだけを並べて「冬型!」とやらかしたことがありました。
シンプルでいい!という評判でしたが、
今日もその傾向。
ただ、そんな単純な図は出せません。
北陸は大雪って気象庁は言ってますけど、
金沢は
傘マーク。東シナ海に面した
鹿児島も冬型の影響を受けていますが、やっぱり
傘マーク。
無難に、
二つのエリア分けパターンとコメントしておく場面です。
3、長野県の予報
長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。
こういうときは、
天気マークの予報にたよらず、しっかりと
予報文(クリック)を読むのがお進めです。
北部は「昼前から夕方くもり」ですから、朝のうちまで雪が残るところはあっても
日中は曇りベース。
中部・南部は雪のちらつくところはあっても
晴れベースに回復するようです。
問題は、今夜から明日・・
明日の予報文も添付しておきました。
北部は「明け方から朝くもり」ですから・・・
ほとんど一日雪。
中部・南部も
昼前後から「所により」がついていない
広範囲の雪。
なんで、周期的に雪が降るんでしょう?
この原因がわかれば・・・・そして、その
兆候が一目でわかればとっても役立ちますよね?
今朝は、そんなことをまとめてみました。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
今朝3時の実況天気図と、今夜9時の予想天気図を並べてみました。
西高東低の気圧配置ですけど、
あんまり変わり映えしませんよね?
実は、図に書き込んだ赤点線・・
日本海の弱い気圧の谷・・・ここで
雪雲が大量生産されているんですけど・・・日中は東北まで北上。
今夜から明日にかけて
再び富山・石川県付近まで
南下してきます。
24時間周期で雪雲の噴射口が動くわけですから、周期的に雪が降るわけですね。
もう少し詳しく見てみましょう。
今朝の雪、日付の変わった
深夜1時頃から本格的になって、
5時ころにはほぼ
終息。
降り始め頃と、終わり頃の衛星画像を並べてあります。
特に雪雲が発達したところ・・・ここが
天気図上で弱い気圧の谷になっていたところ。
季節風が線状に集まるところで、
シアーライン(収束線)といいます。
この南端が、
降り始めの頃は石川県付近に激突?していましたが、
雪が終わる5時頃には若狭湾付近に方向を変え、全体としては北上しています。
もっと詳しく、季節風が集まる(収束する)様子を計算値で見てみると・・・・
赤い線のところで、
季節風が線状に集まっていることがわかります。
集まった風は上に行くしかありませんから上昇気流が発生して雲が沢山できるわけです。
そして、
正午にかけて山形付近まで北上するわけです。
今日日中、長野県は回復傾向。
じゃ・・・
長野県内の雪の降り方・・分布はどうなんでしょうか?
風の様子を長野県付近にズームしてチェックしてみました。
降り始めは富山県側で
西南西~西の風が北アルプスにぶち当たる方向で吹きこんでいました。
これが、
雪が終わり始める午前3時になると・・・
北アルプスの南側を迂回して松本方面へ。
これを
レーダーで見た雪雲でチェックしてみると・・・
シアライン(風の収束線)が
南へ移るにつれて北部の
雪雲は東西の帯状から団子になって東へ流れて消滅。
一方、シアラインがぶち当たるようになった
中央アルプスや八ヶ岳方面で雪雲は発達しています。
そして、雪が上がる5時過ぎ、シアラインは弱まりながら北上。
(追記:シアラインが北へもどってくる午前中、もう一度チラッとあるかも)
北部の雪は、
北アルプスを越えた雪雲と、糸魚川から戸隠方面に回り込む風がぶつかるところで発達した雲が原因のようです。
また、
南部の雪は、
北アルプスの南端と御嶽山の間の比較的標高の低いところから
雪雲が流れ込んで降る傾向にあるようです。
なんだか、傾向が見えてきました。
今夜、再びこれと
似たようなことが起こる可能性があるわけです。
昨夜の記事で、
長野市上空に二本の雲の帯ができたことを書きました。
午前1時50分のレーダー画像には、
北部に東西に延びた二つの雪雲が観測されています。
昨夜の記事で書いた仮説が本当なら、
長野市内では二本の帯状の雲が見えたら雪の前兆?・・・と考えることもできるかもしれません。
またまた超長文になってしまいましたが、いずれにせよ、
今夜から明日にかけて、再びシアラインがやってきて、さらに強い寒気の南下とあいまって、
昨夜以上の雪雲がやってくる可能性があります。
スタッドレス交換が遅れちゃった方は、今日日中にサッサとやってしまいましょう。
ちなみに
昨日の予報・・・「夜 雪」でしたが・・・・
「夜遅く」が良かったかも。
でも、
長野地方気象台の予報官、計算値では非常に微妙なところでしたが、さすがに
サジ加減が良かったと思います。
勉強させていただきました!
関連記事