台風11号進路と台風12号発生?秋雨前線活発(8月24日)

kasayan

2011年08月24日 07:10


1、台風11号と熱帯低気圧(台風12号?)の動向

 小笠原付近で発生し、南海上を西進していた①熱帯低気圧は昨日の計算値どおり発達せずに明日には消滅してしまいそうですが、この熱帯低気圧より後に発生し、昨日朝には発達傾向が弱かったフィリピン東方の熱帯低気圧が②台風11号に昇格してしまいました。
 さらに、サイパン付近でも③熱帯低気圧発達中で、台風12号になるおそれがあります(気象庁では明日25日夜には台風昇格を予想)。







 今後どうなるのか?が、夏休み最後の週末を前にして一番気になることだと思いますが、昨日の記事にも書いたように、台風や熱帯低気圧が複数発生しているため、それぞれが互いに作用しあって、スパコンのシミュレーションといえども混乱が生じている状態です。

 まず、気象庁の予報の中核を担うGSMという計算値(地上気圧・1時間降水量・風)を31日までアニメにしてみました。




 台風11号より、台風12号?が発達して日本付近に接近することが予想されています。
 台風11号の反時計回りの渦の東側の流れに乗って北上が促されるように計算されたのでしょう(藤原の効果なんて言います)。

 もっとも、このような作用は、二つの台風(熱帯低気圧)の距離によって大きく異なってきますから、新たな観測値に基づく計算値毎に大きくバラついてくる可能性があります。
 ちなみに、一昨日21時の観測値に基づいた昨日朝発表の計算値では・・・・・




 台風11号と台風12号?の位置が、今朝の計算値と全く異なります
 ですから、上のアニメは一つの可能性ととらえて、台風が接近するにともなって暖湿気が日本付近に流れ込み、秋雨前線が活発化して、大雨のおそれがあるということを理解する手段にとどめていただきたいと思います。

 なお、アメリカのGFSという計算値と、ヨーロッパ中期予報センターの計算値は以下のようになっています。







 都合3つの計算値を見たわけですが、これだけバラついているわけですから、日々の新しい進路予想図でコマメにチェックして素早い対応をとるのが一番賢い方法ということになりそうです。

 米軍台風進路予想
   http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1411.gif
 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html

9時30分追記藤原の効果について書きましたが、台風11号と台風12号?の相互作用が大きく、台風11号が台風12号を引っ張る傾向が強い場合、台風12号は北西進してヨーロッパ中期予報センターが計算するコースを進む可能性があります。他方、両者の相互作用が小さい場合、アメリカGFSモデルと、気象庁GSMモデルのように台風11号が沖縄付近を北西進し、台風12号?日本の東海上を北東進することになります。つまり、両者の距離と相互作用が今後の予想進路を180度分けてしまうという状態です。いずれになるかは?????誰も断定できないという状態でしょう・・・・残念ながら。明日か明後日に、結果がわかるのではないでしょうか?)


2、秋雨前線の動向

 台風のチェックが長くなってしまったので、今日の秋雨前線の雨の様子・・・コンパクトにまとめておくことにします。

 まずは、予想気圧配置で概況をチェック。




 書き込みそのままですが、ポイントは①前線が日本海側に停滞して日本海側中心に雨が続くこと、②熱帯低気圧の影響で暖湿気の流れ込みが強まり、前線の南側でも局地的に激しい雨が降るおそれがあること、です。

 まずは前線の停滞の様子と雨の降り方を上空の天気図でチェック。




 昨日に引き続き、太平洋高気圧の勢力が強まりますが、西への張り出しが強く北への張り出しはイマイチ
 秋雨前線に対応する強風帯の位置は西日本でほんの少し北上するだけですから、地上の秋雨前線も山陰でちょっと北上するだけで停滞傾向
 強風帯を反時計回り(低気圧性)の空気の渦(赤丸)が流れてくるタイミングで前線が活発になります。

 次は、暖湿流の流れ込みが強まる様子を相当温位(雨の原料)のアニメでチェック。




 熱帯低気圧との関係で強い暖湿気が流れ込む様子がよく再現されています。
 
 暖湿気は地上付近に流れ込みますから、山にぶつかった所で強制的に上昇させられたり、山の風下側で迂回した風が収束したりして、上昇気流が発生すると活発な雷雲が発生します。
 昨日、岐阜県方面で大雨被害が発生しましたが、今日も暖湿気が大量に流れ込む地域では同様の大雨に警戒が必要です。

 以上①②の理由を踏まえて、具体的な雨の様子をチェック。




 秋雨前線の雨の帯だけではなく、水蒸気のままでは湿気を保持しきれないほどの強い暖湿気による降水帯が北上してくるのがわかります。
 地形をイメージしつつ、どこで大雨になり易いのか?イメージしてみてください。


3、昨日(23日)の岐阜県の大雨について

 昨日、岐阜県の下呂方面で大雨になって、避難勧告が発表されたり、土砂災害などが発生しています。
 古いですけれど、国家賠償請求訴訟の重要判例になった飛騨川バス転落事故など、岐阜県ではしばしば大雨による被害がありますが、お隣・・・Kasayanの住む長野県も他人事ではありません。

 暖湿気が流れ込んだから・・・といのが理由ですけど、なぜ岐阜県でなければならなかったのか?は、ニュースでも伝えられていません。

 今日も広い範囲で局地的な大雨が予想されていますが、暖湿気による大雨がどこで発生するのか?を考える参考になるのではと考え、昨夜シコシコと図を作っておきました。
 十分な考察はできていないのでコメントは書きませんが、興味のある方は目をとおしてみてください。































 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
 可能な限り返信いたします。



(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)

(当ブログはリンクフリーです)


関連記事