2011年08月31日

台風12号の進路・風・降水など(8月31日)


 台風12号の進路や速度が相変わらず不安定
 新しい観測値による最新の計算値が発表されるたびに日本接近のタイミングが遅くなっています

 これは台風を押し流す上空の強い風の流れ・・・偏西風が日本付近までなかなか下りてこないから




 一昨日までの計算値では、中国東北部付近の上空の気圧の谷が深まって、谷の南側を北東に向かって流れる偏西風が台風を迎えに来ることが予想されていたのですが・・・・・
 今朝のMSMという計算を見る限り、上空の気圧の谷はイマイチ深まらず、偏西風もなかなか南下してきません
 このため、台風は東側の太平洋高気圧縁辺の弱い南風に流されてノロノロと北上・・・ここにきて若干西に勢力を強めている高気圧に頭を押されて西寄りに進んでいる状態。

 そこで、気象庁のシミュレーションモデルGSMを、9月1日21時から3日21時までの48時間、一気にまとめておきました。




 たっぷりと書き込みしておきましたから、詳しいことは読んでいただければよいと思いますが、ポイントを二つ
 とにかく長時間、日本にまとわりつくので、特に台風の東側で雨が長時間降り続くこと。
 そして、強い風も台風の東側で吹き続けること。

 とりあえず、『この計算値で』上陸のタイミングと思われる3日0時の計算値を拡大してみると・・・・




 こちらも多くをコメントしませんが、この位置に上陸する場合に限らず暴風・大雨、そして風向きと湾の開いている方向、満潮のタイミングによる高潮に警戒が必要だということは確かでしょう。

 かなり警戒が必要な台風だと思いますが、その進路はまだまだ不安定・・・・
 上の図を見るとリアルに感じてしまいますけど、新しい計算値が発表されると大きな修正を余儀なくされる可能性も大

 ちなみにヨーロッパ中期予報センターアメリカGFSモデルでは・・・・







 ずいぶん西よりに接近するところは両者同じですが、接近のタイミングは大きく異なります

 そこで、安全マージンをどう採るべきか?ですが・・・・




 結局、最新の進路予想図の予報円の範囲内で考えないといけないんですね。
 あえて絞り込むとすれば、若干西寄りに変化する可能性が「ありそう」という程度でしょうか・・・・

10時10分追記
 本当に予想進路が西に変化してきました。今まで以上にコマメに進路予想図をチェックしてGSMのコースを修正し、何が起こるのか?起こった気象現象はどのように影響するのか?何をどう対策すべきなのか?と、頭を回転させてください。

 米軍台風進路予想(TC Warning Graphicをクリック。日本時間は+9時間)
   http://www.usno.navy.mil/JTWC/
 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html

 ところで、波はすでに高まっていて、天気予報でも警戒が呼びかけられていますがが、風はどうでしょう?
 今日21時の風の様子ですが・・・・




 南海上の風速はかなり強まってきているんですよね・・・・
 台風が北上を開始したらいきなり風速が強まるということが考えられそうです。

 いずれにせよ、これだけ不安定な状態ですから、週末の予定もなかなか立てられずイライラされていると思います。
 ただ、気象庁にしても民間気象会社にしても、これまで検討してきたこと以外に、状況が好転する情報があるわけではありませんから・・・・・十分に安全マージンをとった上で・・・・・

 命がかからないことなら「迷ったらGO」
 命がかかる海や山の予定なら「迷ったら止める」


 ・・・・・がおすすめです。

 交通機関がどうなるか?についても悩まれている方が多いと思いますが・・・・・人が絡んでいることなのでなんとも言えませんけど・・・・計算値が不安定ですから・・・・

 「ギリギリ待てるだけ待ってから、その時の最悪の状態をもって判断する」
 
 ・・・・というのがおすすめです。

 最後は、今日の天気・・・台風の話と連続する内容なので簡単に・・・・・




 今日から台風の最外縁の雨雲が関東方面から流れ込み始め、明日には関西方面にも拡大。
 北海道や日本海沿岸にも台風からの暖湿流の影響が出始めるということです。

 雨に影響する暖湿気の様子は・・・・




 ジワジワと南岸から浸食?してくる感じですよね。
 浸食の北縁あたりが前線帯になります。

 なお、このブログの記事も時間とともに賞味期限切れになりますから、追記がなくても新しい情報のチェックを忘れないようにしてください
 
 
 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
 可能な限り返信いたします。



(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)

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Posted by kasayan at 07:38Comments(12)雑記

2011年08月30日

台風11号・12号の動向、関東今夜から雨(8月30日)


 台風12号の上陸が非常に濃厚になっていますが、テレビやネットの天気予報ではまだまだ進路予想を表示しているだけだと思います。

 でも、このブログで使っている気象庁のGSMモデルというシミュレーションの図は、テレビの天気予報で「雨の動きです」なんて使われているアニメと同じものですから、テレビでも放送しようと思えば簡単に放送できるのです。

 ただ、10年ほど前、この図のアニメを初めて放送に使おうとしたとき、「あまりにリアルなので、視聴者が安全マージンを考えずに判断してしまい危険」という反対意見が多々ありました
 安全マージンをもって判断してもらえるよう、いかに解説すべきかが大切なのに・・・・進路予想図とのズレがあると混乱を生じる・・・という理由で台風の場面ではまだまだ使われていません。
(地方ローカル局では、天気予報番組のメニューが固定されているので放送されてしまう場合もありますけど)

 どう思われますか?

 なんて話はどうでもイイでしょうから・・・・最新の気象庁GSMモデルからチェック。




16時35分追記
15時発表の進路図を見ると上陸時間が少し遅くなる気配があります。上の図を見る際には上陸のタイミングを半日~1日遅くした場合も想定して安全マージンをとってください

 2日昼前には上陸、日本海沿岸を北上し、3日朝には間宮海峡付近まで到達するという結果になっています。
 水色の矢印で示した上空の偏西風と台風が2日に接触して、偏西風が台風を一気に北上させるというストーリー。

 偏西風の西側には寒気が南下していますから、台風は急速に温帯低気圧化します。
 温帯低気圧化というと、なんだか台風が弱ってしまうような気がしますけど、性質が変化するだけで、むしろ暴風域が膨張して風の強いエリアが拡大するという危険があります。

 そして・・・昨日も書きましたが、潮位が高いこの季節、海水が東風に吹き寄せられて被災地は高潮の恐れがあります。

 1日夜から3日朝にかけてGSMモデルを拡大したアニメも作っておきました。




16時35分追記
15時発表の進路図を見ると上陸時間が少し遅くなる気配があります。上のアニメを見る際には上陸のタイミングを半日~1日遅くした場合も想定して安全マージンをとってください

 かなりリアルですから、自分の頭上は大丈夫とかダメなんていう目で見てしまうでしょうけど、所詮シミュレーションデータです。
 台風進路予想図が気象庁の最終的な見解ですから、予想図の予報円を参考にして安全マージンをとることを忘れないでください(冒頭で書きましたよね。気象庁の予想図とは速度についてほぼ一致してきましたから、米軍の予想図も参考にしてみてください)。

 米軍台風進路予想(TC Warning Graphicをクリック。日本時間は+9時間)
   http://www.usno.navy.mil/JTWC/
 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html

 では、どの程度安全マージンをとるべきか?予報円以外にヨーロッパ中期予報センターとアメリカのGFSモデルも参考にすることにしましょう。







 GSMとの違いを書きこんでおきましたが、上陸予想位置、上陸のタイミングともに微妙に異なっています。
 上のアニメをやや西よりにずらした場合、自分との位置関係で何が起こるのか?を考えてみてください。

 あとは・・・先行して高くなっている波・・・昨日も痛ましい水難事故がありました。
 普通なら台風がかなり接近して雨も降っている状態で観測されるような高い波やうねりが太平洋岸に押し寄せています。
 暑い太陽にだまされて海に入るととんでもないことになりそうですね。





09時45分追記
 仮に台風が関東~東海に上陸した場合、何が起こるのか?ですが・・・・
 気象庁午前3時45分発表の「台風第12号に関する情報 第19号」によれば

 72時間後の2日3時には
日本の南の
北緯32度50分、東経138度20分を中心とする
半径410キロの円内に達する見込みです。
中心の気圧は960ヘクトパスカル
中心付近の最大風速は35メートル
最大瞬間風速は50メートルが予想されます。
予報円の中心から半径600キロ以内では
風速25メートル以上の暴風域に入るおそれがあります。

 今朝6時の実況によれば、中心気圧965hPaで風速25メートル以上の暴風域が半径190キロもあります。
 960hPaまで発達して接近することが予想されている台風が、仮に同程度の暴風域を伴ったまま上陸すれとすれば、台風の中心に近くなくとも相当の影響が考えられますね。


 
 さて、今日も晴れモードなので、今日の天気チェックはあっさりとまとめておきましょう。




 短期予報解説資料というプロ用の資料の抜粋ですけど、なんだか明日(31日)のことばかり書いてあります。
 それだけ今日の天気はノーマークの晴れモード
 上空の太平洋高気圧から吹き下ろす乾燥した空気の影響で夕立も少なめ・・・暑くても比較的カラっという感じがしませんか?・・・特に東日本・・・・・

 ただ、今夜から台風の湿った空気が関東方面から流れ込みはじめます。




 ということで・・今夜から関東をスタートラインに雨が降り始め、ジメジメのムシムシに陽気は変化。
 今日の晴れの後は台風が去るまでまともに太陽は拝めないかもしれません

 具体的な雨の様子は?




 広く晴れるので、下り坂に向かう午後3時以降のアニメになっているので注意してください。
 関東に夜から雨域がかかってくることと、明日の朝は雨かな?というところを見ていただければOKです。

 最後にオマケ・・・・台風の速度をアップさせる偏西風と台風の位置関係・・・・まだまだ遠いですよね。





 時間があったら昨日のように追記をしたいと思います・・・時間があったらですけど・・・・
 そうそう・・・昨日の記事に、天気予報を使って簡単に台風の影響を予想する方法をまとめてありますので、興味のある方は覗いていってください。

 
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Posted by kasayan at 07:07Comments(13)雑記

2011年08月29日

台風11号・12号の動向と予報チェックの技?(8月29日)


 ブログサイトにつながらなくなってしまって、アップできず更新時間が遅くなっちゃいました。

 ところで、ここ数日コメントをいただくことが多くなっていますが、多くの方の書きだしに「検索して・・・ここにたどり着きました」と書いてあります。
 天気予報の砂漠を旅する旅人のような表現になんだか面白さを感じました。

 福島原発の放射能の拡散シミュレーションについて、あとから政府が様々なデータを持っていたことが分かり、国民の怒りをかっていましたけど・・・・・気象データも気象業務法という法律によって、「発表しても構わない状態」でありながらも、テレビなどの天気予報では「非常に放送しにくい状態」になっています。

 国民が混乱するから・・・という理由も同じですが、このインターネット時代・・・このままではどこかの国と同じじゃないでしょうか?
 こんな個人のブログにたどり着くかざるをえない気象行政・・・すこし見直したほうがイイんでしょうね

 さて、今日も気象庁の最新のシミュレーションモデル(GSM)で台風の様子をチェックしていきます。




 必要なことは書きこんでおきましたが、気象庁GSMモデルを見る限り、台風12号の影響は9月2日がピーク
 台風通過後はこの秋?一番の寒気が北日本に接近ということになりそうです。

 台風接近時(1日12時~2日12時)を拡大してアニメにしてみると・・・




 風向変化の様子も矢ばねで書きこんでおきました。
 
 東日本沿岸では台風の通過に伴い東寄りの風が吹き続けます。
 この季節、潮位が高くなっていますから、台風の気圧による海面の吸い上げ効果、東風による海水の吹き寄せ効果高潮のおそれが特に高くなっています。
 地盤沈下や防波堤の損壊がある被災地・・・・天気予報番組で特に注意が呼びかけられると思います。

 気象庁のGSMモデルについては以上ですが・・・はたしてこの計算値を信用してイイものか?







 例によって、ヨーロッパ中期予報センターとアメリカのGFSモデルを引用しましたが、接近・上陸のタイミングは気象庁GSMとほぼ同じですが、いずれも関東~東海付近に上陸し北上することを予想しています。

 いずれの計算値も東から張り出す高気圧の勢力を気象庁より少しだけ強めに計算し、大陸から南下してくる上空の気圧の谷の深さやタイミングについても気象庁と微妙に異なる計算をしているからでしょう。




 そうすると・・・・いったん偏西風に乗ってしまえば、すべての計算値が一定になるんでしょうけど、今朝の段階では、進路についても速度についても、まだまだ安全マージンをとっておかなければなりません。

 ちなみに、今朝6時発表の進路予想図は・・・




 2日から3日にかけて関東東岸を北上することを示唆していますが、上で見た気象庁GSMモデルより半日~1日遅い予想になっています。
 予報円を考慮すれば、GSMと同じということになりますけど、進路予想図をコマメにチェックして頭の中を修正する必要があることは確かです。

 米軍台風進路予想(TC Warning Graphicをクリック。日本時間は+9時間)
   http://www.usno.navy.mil/JTWC/
 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html

 17時30分追記
 本日(29日)09時初期値の新しいGSMの計算値9月1日の予想をざっくりと・・・・







 31日夜には東日本太平洋側から雨が降り始め、2日の本番?にかけて雨・風ともゆっくり強まってくるという感じかな?
 いずれにせよ、上空の気圧の谷+偏西風の南下のタイミングと、東の太平洋高気圧の西への張り出し具合上陸する場所は微妙に変化するんでしょうね。
 また、偏西風に乗るまではノロノロで、高気圧の張り出しに合わせて多少蛇行する感じ?

 29日15時発表の気象庁の進路予想図では2日に関東方面への上陸を示唆しています。


 また、台風が接近するにともなって、通常の短期予報の中に台風の影響が反映されるようになります。
 府県天気予報・・・通常の天気マークの天気予報の元ネタですが・・・を効果的に読んで、早めに影響を把握するよう心がけたいところですが・・・・
 今朝は府県天気予報を使ったちょっとした技?をご紹介したいと思います。

 府県天気予報: http://www.imocwx.com/yohoud.htm

 沖縄方面の旅行などで頭を痛めている方の参考になるように、沖縄方面の府県天気予報を使って、技?のご紹介をしてあります。




 簡単に言ってしまえば、自分の周辺の府県天気予報だけをチェックするのではなく、台風に近い地域の府県天気予報もチェックして台風の影響が迫ってくる様子を把握し、「明日」「明後日」の予報をチェックすることで、台風が影響するタイミングをイメージするということです。

 そのとき、衛星画像やアメダスなどの実況データを使うとイメージがよりリアルになるということです。

 台風が接近するタイミングで是非お試しください

 今日、明日の沖縄方面・・・天気はスコール程度で済みそうですが、波は絶望的に高いですよね。
 沖縄行きをあきらめた方も、この波の様子を思い浮かべて・・・納得してください。


 最後に今日の天気ですが・・・基本的に晴れベース西日本中心に気温上昇・・・・夕立は西日本中心で山沿いに限定される・・・・ということです。







 書き込みを読んでいただくだけでイイですよね?

 ブログアップがなかなかできなかったので、何か気付いたことがあれば・・コメント返信も・・・時間があったら・・という前提で追記したいと思います。

 
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Posted by kasayan at 08:10Comments(17)雑記

2011年08月28日

台風11号と台風12号の動向(8月28日)


 今日も引き続き台風11号と台風12号の動向を中心にまとめていきますが・・・・

 昨日まで、台風のシミュレーションは安定する傾向だったのですが・・・今日になって再び不安定の兆候が現れてきました。

 まずは、気象庁のGSMというシミュレーションデータからチェックしていきましょう。




 台風12号の進路については昨日の計算値とほぼ同様ですが、1日から2日にかけて東日本付近を北上するスピードが若干遅くなっています。

 津波の被災地付近を北上することが予想されていますから、それだけ長時間暴風雨にさらされるということになります。
 また、仮に台風が東海上を通過する場合、東寄りの風が沖合から吹きつけることになりますから、風による海水の吹き寄せ効果で高潮のおそれも高まります。

 他方、台湾付近に停滞する台風11号は、昨日の計算で2日以降沖縄方面と北東進することが予想されていましたが、今日の計算では台湾付近で衰弱、あるいは消滅することが予想されています。
 西日本方面で勢力を強める太平洋高気圧が台風11号の北上を阻み、本当に消滅・衰弱すればよいのですが、今日の段階ではにわかに信頼することはできません
(命にかかわらない場合は「迷ったら行く」が正解になったかもしれないので期待してしまいますが・・・)

 ちなみに、アメリカのGFSというシミュレーションモデルと、ヨーロッパ中期予報センターのモデルは・・・・







 コメントは青字で書き込んでおきましたが、台風11号については気象庁GSMと同様消滅傾向をしめしているものの、12号に関しては北上のタイミング、コースともに大きく異なっています。
 ただ、いずれもそれなりのストーリーが考えられるので、単純に不安定では片付けられない可能性ある結果。

 各シミュレーションデータを見る限り、台風12号の北上速度のバラツキは、昨日の記事に掲載したように、中国東北部から南下してくる上空の気圧の谷の深さと南下速度が微妙にバラついているためだと思われます。
 上空の気圧の谷の南下の速度がバラつけば、その南側を流れる偏西風の南下もバラつき、結果的に台風が偏西風に乗るタイミングもバラついてしまうからです。




 正直なところ、台風11号については、台風進路予想図どおりしばらくは台湾付近に停滞すること以上、Kasayanにはわかりません。
 また、台風12号の北上コースや速度についても、各国のシミュレーションデータは気象庁の進路予想図の予報円の範囲とほぼ一致しますから、予報円の範囲内で北上し、上陸する可能性があるとしか言えません。
 結局、台風進路や発達の程度について、再び安全マージンを多く採ることが必要になってしまいました。

 今朝の段階で、気象庁の週間予報http://www.jma.go.jp/jp/week/)は、上に掲載した気象庁のGSMモデルの降水量(青塗り)を、ほぼそのまま踏襲したものになっています。
 今日11時に発表される最新の週間予報と上のGSMモデルの計算結果を照らし合わせ、さらに進路予想図の予報円を見ながら、台風の位置が自分にとって最悪の場合と、最善の場合で週間予報の天気マークがどのように変化するのか?を考えて対策を立てるしかなさそうです。

 一応、今夜あたりから先島諸島付近は大しけになりそうですから(小笠原はすでに大荒れの天気)、波の予想を掲載しておきます。




 これは生の計算値ですが、予報官は0.5~1m程度上方修正して予報を作っているようです。

 米軍台風進路予想(TC Warning Graphicをクリック。日本時間は+9時間)
   http://www.usno.navy.mil/JTWC/
 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html


 さて、台風はこれくらいにして、今日の天気をザッとチェックしておきましょう。




 昨日とほぼ同じ気圧配置・・・基本的に晴れベース。
 ただ昨日と同様、南岸付近に秋雨前線の残骸が残っています。

 昨日は秋雨前線の残骸の影響で、一昨日の東京に引き続き大阪でも記録的な豪雨になりましたが、今日は上空の太平洋高気圧が勢力を強めるので、湿った空気が流れ込みにくい状態。




 昨日ほどの雷雨はなさそうですが・・・・・




 一応、秋雨前線の残骸の部分に点線を引いておきましたが、昨日よりは明らかに雷雨の発生は少なくなりそうです。
 関東平野などではほとんど雷雨が発生しないかも・・・・・?

 自分の頭上の雷雨発生の可能性を知りたい方は、府県天気予報の予報文の中に「雷」の文字があるかチェックしてください(天気マークの予報ではわかりませんよ)。
 基本的には山沿い中心ですが、雷の可能性の有無がわかるはずです。

 府県天気予報: http://www.imocwx.com/yohoud.htm

 コメントへの返信は時間があるときに必ずしたいと思っています・・・・ごめんなさい。

 
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Posted by kasayan at 07:22Comments(14)雑記

2011年08月27日

台風11号12号の動向、南岸で雷雨、東京の大雨(8月27日)

 
 夏休み最後の週末が近づくにつれ、コメントが少なかったこのブログのコメント数が一気に増加してしまい少々戸惑い気味ですが、それだけ台風11号、12号が多くの方々に影響を与えそうだということでしょう。

 今日は、①台風11号、12号の動向に続いて、②今日の天気をチェックし、その後で③昨日の東京の大雨についてザックリまとめておきましたので、原因などをちょっとだけご紹介したいと思います。

1、台風11号・台風12号の今後の動向


 多くの方は、気象庁の進路予想図やアメリカ海軍の進路予想図をご覧になっているはずですから進路予想図にしたがって台風が進んだ場合、何が起こりそうなのか?・・・雨・風・波が気になっておられると思います。
 そこで、今日も気象庁の天気予報の中核を担うGSMというシミュレーションモデルをまとめておきました。

 昨日まではアメリカのGFSというモデルや、ヨーロッパ中期予報センターのモデルもご紹介して、不安定な計算値の安全マージンを考えていただきましたが、今朝の計算値を見る限りほぼGSMと同様の結果。
 コースについては安定してきたようですから、気象庁のGSMを使って考えてみましょう(進路予想図は台風専用のモデルで計算されています)。




 青塗りが1時間降水量、黄色は特に雨が強いところだと思ってください。計算も安定してきたので、じっくりと考えられるように、アニメにするにはやめました。

 思いつくことはザッと書き込んでおきましたが、『27日現在』東日本接近、あるいは上陸の恐れがあるのが9月1日、沖縄本島方面が大荒れになるのが1日前後、先島諸島方面が大しけになるのが明日夜か29日ということが読みとれそうですね。
 
 なお、コースだけではなく、台風の速度もほぼ安定してきたようですが、それでも半日~1日のズレが生じるだけの不安定さはあると思います。
 また、沖縄付近に取り残される台風11号の北上コースが、12号の置き土産の気圧配置によって変化するかもしれません。
 最新の進路予想図の確認はマメにして、頭の中のイメージを修正してください

 米軍台風進路予想
   http://www.usno.navy.mil/JTWC/
 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html

 さて、GSMモデルどおりに台風が進むとして・・・今週末、太平洋岸の海はすでに要注意




 今日の時点で2m・・・最大は約1.5倍程度で考えて・・・ニュースにならないよう注意してくださいね。
 沖縄方面は・・・すでに注意報が発表されています。

 ところで、台風12号が一気に北上して、台風11号が停滞するのはなぜ?




 31日あたりに、中国東北部にある上空の気圧の谷が一気に日本付近に南下してきます。
 上空の気圧の谷の南側には蛇行する偏西風がありますが、この偏西風がゆっくりと北上してくる12号を9月1日頃にキャッチして・・・・一気に北海道方面に押し流してしまう・・・ということのようです。

 他方、台風11号は台風12号の西側の北風に北上を遮られ、上空の強い流れのある場所にたどり着けないので、台湾・沖縄付近で停滞する・・・ということだと思います。

 オマケ・・・・台風の通過によってジメジメの猛暑がやってくることが多いものですが・・・・台風12号もその傾向。




 台風の接近・通過のタイミングで各地の気温が平年より4℃前後も急上昇するのがわかりますよね。


2、今日の天気

 今日は基本的に久々の晴れモード
 ただ、秋雨前線の残骸の影響で、夕立警戒モードもオマケになっています。




 この図では、前線の残骸の位置だけわかっていただければOKです。




 短期予報解説資料というプロ用の資料に掲載されている簡易図を引用。
 読んでいただければイイだけです・・・・(今日は台風がらみの図の作成で疲れちゃったので・・・ごめんなさい)

 ということで、サッサと今日の雷雨の様子を風の流れとからめてチェックしておきましょう。




 赤の点線は地上の風が収束して雷雲が特に発生しやすそうな場所(かなり大ざっぱです)。

 点線の周辺は注意が必要ですが、中部山岳方面は内陸部に日中の昇温による熱低気圧ができますから、風の収束や山肌昇温によって、複雑に雷雲が発生しそうです(細かいチェックしている時間がないので・・・ゴメンナサイ)。


3、昨日(26日)の東京の大雨

 テレビニュースで、「東京でゲリラ雷雨」なんて言っていたので、ゲリラじゃないよ(ゲリラの定義はありませせんけど)・・・と言いたくてちょっとまとめておきました。




 昨日15時の雨の様子・・・いわずもがな・・・記録的な豪雨になって、羽田空港も冠水し、神田川も溢れそうになったとか・・・・










 秋雨前線が南下したのが大雨の理由

 ゲリラ雷雨は大気が不安定になって何処でボコッと雷雲が発生するかわからないからゲリラと呼ばれていたはずなんですけど、程度はヌキにしても、あらかじめ雨雲が発生することがわかっている秋雨前線の大雨にまでゲリラなんて名前をつけられたら・・・・にわか雨は全部ゲリラになってしまいます。

 天気予報をチェックしていなかった人にはゲリラでしょうけど・・・さすがにため息がでました。

 コメントたくさんいただいていますが、出かけなくちゃいけないので・・・・夜までには返事します。
 間に合わない方がいらっしゃったら・・・ごめんなさい。

 
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Posted by kasayan at 07:34Comments(11)雑記

2011年08月26日

台風11号・12号の動向、秋雨前線南下大雨注意(8月26日)


 台風11号台風12号、そして秋雨前線南下による局地的な強い雨・・・・・
 今年の季節の変わり目は激しい現象が重なり合うようです。

 さて、ここ数日、気象庁のスパコンが計算したGSMというシミュレーションデータ(地上気圧・1時間降水量・風)を掲載してきましたが、昨日の計算値と今朝の計算値はほぼ同じ。
 計算値がボチボチ安定してきたようです。




 テレビやネットで目にする台風進路予想図は、台風モデルという台風専用のシミュレーションデータで作られたもの。通常の天気予報に使われるGSMモデルとは微妙に異なる結果になりますが、今朝の段階で、GSMモデルのほうがわずかに遅めの結果になっているようです。

 この図はかなりリアルなので、細かいところに目がいってしまいがちですが、所詮はシミュレーションにすぎません。
 ご覧になる場合、台風進路予想図の予報円を併用して、雨の範囲や強風の範囲について、最悪の場合とラッキーな場合など、安全マージンを考えていただきたいと思います。

 ところで、アメリカのGFSモデルと、ヨーロッパ中期予報センターの計算値についても昨日とほぼ同様の結果が出ていて、全体として計算の安定がうかがえます。







 掲載した図は、沖縄付近に最接近?と思われるタイミングのもの。
 気象庁のGSMモデルとの比較を書きこんでおきましたが、これもシミュレーションにすぎませんから、GSMの安全マージンを考える上で参考にするという使い方をしてください。

 いずれにせよ、雨や風の影響はこれからがヤマ場ですが、うねりは台風に先行して本州に影響してきます。




 今日にも九州南部に、明日には西日本全域に2mのうねりが到達しますから、最大3m前後の波が予想されます。
 しばしば天気予報などで解説される一発大波が発生すればもっと高い波も・・・・
 沖縄方面は・・・・いわずもがな・・・ですね。

 昨日も書きましたが、藤原の効果といって、二つの台風がある場合、相互作用によって突然台風が迷走することがあります。
 計算値が安定してきたからといって、新しい台風情報のチェックは怠らないでくださいね。




 米軍台風進路予想
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 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html


 さて、台風はこれくらいにして、秋雨前線の動向・・・予想天気図から。




 短期予報解説資料というプロ用の資料から抜粋して切り貼りして作ってみました。
 
 上空の太平洋高気圧が西日本で勢力を強めるので、秋雨前線は西日本で前線は天気図から消えます。でも、前線の残骸が残るので、地上付近に台風から暖湿流(雨の原料)が流れ込むことも加わって、日中晴れ間が出て気温が上がると大気不安定に・・・・局地的な雨のおそれがあります。

 他方、東日本の前線はまだ活発
 前線にそって局地的に激しい雨や突風、竜巻が発生するおそれがあります。

 そんな様子を、気圧配置の骨格・・・上空の天気図でチェックしてみましょう。




 寒気を伴った上空の気圧の谷が北海道付近を通過・・・北海道では不安定な天気。

 西日本方面に太平洋高気圧が張り出しますが、東日本ではイマイチ。
 西日本の前線は消えるものの、東日本では前線が残ることになります。

 また、新潟県~福島県付近まで-6℃の寒気が南下.
東日本の前線付近は大気が不安定で、雨も活発・・・ということになりそうです。

次は、前線に流れ込む暖湿流(雨の原料)の様子







 西日本経由で北陸方面の前線に暖湿流が流れ込む傾向。
 北陸方面の雨、その南下・・・・に注目ですね。

 で・・・以上を踏まえて具体的な雨の様子をチェック。




 関東甲信越中心の雨
 全体として秋雨前線の活動は弱まってくる傾向ですけど、局地的な激しい雨に注意をする必要・・・ということが読みとれそうです。

 府県天気予報: http://www.imocwx.com/yohoud.htm


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Posted by kasayan at 07:12Comments(4)雑記

2011年08月25日

台風11号・台風12号?の動向と秋雨前線(8月25日)


1、台風11号・台風12号?の動向

 夏休み最後の週末をひかえて、旅行に出かける予定の方にとっては非常に悩ましい台風や熱帯低気圧






 早速、日本の気象庁の天気予報の中核を担うGSMという計算値のアニメ(地上気圧・1時間降水量・風)で、台風と秋雨前線の雨の様子についてチェックすることにしましょう。




 今日にも発生しそうな台風12号?が、西へ進む台風11号をしり目に日本付近に接近してくるのは昨日の計算値と同じですが、昨日の計算値より速度は遅くなり、コースについては同緯度の位置が西寄りに変化しています。

 二つの台風が近くにある場合、藤原の効果という相互作用が働くことを昨日の記事で書きましたが、ちょっとだけその効果が計算上加味されるようになったのかも?




 朝っぱらからシコシコと藤原の効果をハンマー投げにたとえる図を作ってしまったんですけど、どちらかの台風が室伏?になってハンマーの台風を反時計回りに投げ飛ばすというイメージ。
 台風の強さや位置しだいで、どちらの台風が室伏になるかは分りませんけど、仮に台風11号が室伏になると台風12号は日本にぶつかる方向(北西方向)に投げ飛ばされることになります。

 GSMモデルで台風12号?が昨日より西寄りに計算されるようになったということは、太平洋高気圧の張り出しの影響以外に、11号が室伏になる可能性も考えられるということですから、今の日本に台風12号の動向を断言できる人はいないんじゃないでしょうか?(Kasayanだけだったらゴメンナサイ)

 ちなみに、海外の気象機関のシミュレーションデータは・・・・







 昨日まで、藤原の効果(11号が室伏)を強烈に計算し、台風12号を九州に接近させていたヨーロッパ中期予報センターの計算値も米国GFSとならんで、日本の気象庁とほぼ同様の結果をはじき出しています。
 結局、三つの計算値がそろってきたことにはなりますが・・・・・まだまだ計算は安定したとは言い切れません

 じゃ・・・どうすればいいんだよ?

 多くの方は、台風の中心が自分の頭上に来ることを気にされますが、上のアニメを見ればわかるように、発達した台風の大きさなんて、日本の半分近くを覆ってしまうほどデカイわけです。
 上のアニメで台風やそれに伴う秋雨前線の大雨、強風域などをイメージしておいて、台風進路予想図のコースが予報円範囲でズレた場合に雨や風がどうなるのか?ということを考えて、自分への影響の安全マージンを考えていただくのが良いと思います。

 迷う場合がほとんどでしょうけど・・・・旅行に行かれるの?とか、スポーツの試合があるけれど?という命にかかわらないことでしたら、「迷ったら行く!!」が原則
 登山やヨットクルージングなど命にかかわることなら「迷ったらやめる!!」が原則です。
 
 米軍台風進路予想
   http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1411.gif
 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html

2、秋雨前線と大気不安定による雨


 台風に労力を使いきってしまったので・・・・簡単に・・・・といっても大雨注意なんですけど・・・・・




 前線の凸部・・・雨が活発な場所が東北方面に接近
 昨日から強まり始めた前線の南側の暖湿流がさらに強まって広範囲で大雨注意
 以上2つがポイント。

 なぜ、前線の凸部が東北に接近して雨が強まるのか?高層天気図でチェック。




 上空の気圧の谷が今夜にかけて北日本に接近
 地上付近には反時計回りの渦・・・低気圧性の渦・・・・が出来やすく、前線が活発に。
 活発になる前線凸部分が上空の気圧の谷の南側に吹いている強い西風に乗って東北にやってくるということです。

 次に、前線の南側に流れ込む暖湿気(雨の原料)はどうなってるの?




 昨日に引き続き、今日は強い暖湿気がさらにググッと内陸に流れ込んできます・・・熱帯低気圧が南を進む西日本方面。
 特に強い暖湿気だけを表示していますけど、暖湿気が深く内陸に入り込む場所で局地的に雷雨発生の可能性が高まります。

 以上を踏まえて具体的な雨の様子を見ると・・・・




 前線の南側で活発な雨が予想されています。

 ありきたりですけど、暖湿気がぶつかる山や風が集まる場所が「局地的な・・・」の場所になります。
 昨日の記事に、23日の岐阜県の大雨の様子をまとめた図を掲載してありますから、どんな場所で大雨になるのか?・・・参考にしてみてください。

 ところで、メールや書き込みたくさんいただいてしまって、今朝の段階で返事ができません。
 ヒマを見て順に返事を書いていきますから・・・・

11時40分追記

 昨夜から、夏休み最後の週末(27日以降)に沖縄方面に旅行を予定されている方から「天気は大丈夫?」「飛行機は飛ぶの?」というお問い合わせの書き込みやメールをたくさんいただいています。

 テレビやネットの天気予報では、「今後の台風や熱帯低気圧の動きには注意が必要です」とか「最新の情報を確認するようにしてください」というコメントばかりで、今後の台風の影響について全然といっていいほど伝えられておらず、天気マークが並んだだけの週間予報で天気チェックするしかないからだと察します。

 これは、気象業務法という法律によって、民間の気象会社といえども自ら予想進路図を発表することが許されていないため、テレビやネットの天気予報の担当者としては、動きがノロノロで目先大きな影響がない台風については、とりあえず気象庁発表の台風進路予想図を短時間表示しておけばイイという心理が働くためです。
(Kasayanが番組を担当していてもたぶん同じでしょう。それほど気象業務法に抵触するということは認可を必要とする気象会社にとってメンドウなことなのです。ましてや一個人の気象予報士が台風進路の予想などを公言することは許されないのです。)

 さらに、今回の台風11号と台風12号?については特に動きが複雑なので、シミュレーションデータに基づいたおよその進路すら公言することは混乱を誘発しかねないという心理が働きますし、目先の秋雨前線の大雨も重要なことですから、なおさら天気予報番組などで触れられないといった状態になっていると思います。

 そこで、Kasayanのブログでは、気象庁予報の中核になっているGSMというシミュレーションデータを毎日アニメにして公開するとともに、他国のシミュレーションデータと比較して、台風のコースが日々変化していく様子から、予想が困難である状態をありのままにお伝えし、気象庁や米軍の進路予想図の安全マージンを読みとっていただきたいと考え、ご覧のような内容になっています。
 天気予報はあくまで科学に基づく可能性を伝えるものであって占いではありません。
 台風の動きを予想するのが難しいのなら、その理由を伝え、安全策を考えていただくことが大切だと思うのです。

(シミュレーションデータという公然の事実を解説することで、メンドウな気象業務法と関わらずに未来の空模様をイメージしていただこうという下心?もありますが・・・・)

 この点、テレビやネットの天気予報では可能性の根拠を十分に伝えていませんから、多くの方が盲目的に進路予想図を信じるしかない状態におかれ、安全マージンすら考えることができなくなって不安になっているのではないでしょうか?
 安全マージンを考えることができない未来の予想は占いと同じですよね?

 このブログの使い方と、様々な事情・・・ご理解いただけましたでしょうか?


 さて、時間も無くなってきましたので・・・・・
 この週末から来月初めにかけて旅行を予定されている方・・・・本当に悩ましいと思います。
 そこで、Kasayanが27日から31日まで沖縄旅行、それもマリンスポーツを予定していると仮定したらどう考えるか?という独り言を、『今日25日現在』手に入れられる情報に基づいて書いておくことにしたいと思います(なぜ仮定するのか?上記のことからご理解ください)。

 27日(土)、台風11号は、太平洋高気圧の西への張り出しと、先行する台風12号の西側の南風に北上を抑えられ、動きはノロノロ・・・・沖縄はスコールのようなにわか雨の可能性は高く、波も3m程度、最大で5m前後の波もありそうでマリンスポーツはちょっとヤバそう・・・・でも強風の影響は少なそうなので、せっかくの沖縄旅行・・・飛行機が飛ばなくなるほどの天気じゃなさそうなので、とりあえず出発はできそうかな?・・・しかし、波が気になる・・・・・

 28日(日)、台風11号は動きが遅く、28日は若干西寄りに進む可能性もあるので、影響はマダマダ。台風12号は小笠原方面に北上しているから、12号の影響も大丈夫。雨もスコール程度で済みそうなので、27日に海で遊べれば28日もOKだろうね・・・・ただ、台風12号からの波も加わったら厳しそうだなぁ・・・・西海岸なら大丈夫かも?
  できれば28日から宮古島方面にも足を延ばしてもみたかったけど、GSMアニメを見る限り風も雨も厳しくて宮古はちょっと絶望的かなぁ・・・・飛行機も船もかなりヤバそう・・・・


 29日(月)、台風11号が沖縄の南西を北上中・・・この位置は米軍の進路予想と大体同じだから、とりあえず沖縄の南西を北上していることを前提に考えて見よう。
 台風との距離は近付いているのだから、スコールのような雨がだんだん本降りになってくるよなぁ・・・・・・。
 台風の位置からして沖縄全島で波は高そう・・・・・ビーチじゃなくてホテルのプールならイイかもね・・・でもKasayanはヨットに乗りたいから・・・・うーん・・・・

 30日(火)、GSMで見る限り台風11号と台風12号にはさまれちゃって、雨は強い本降りを覚悟しておいたほうがイイな・・・・でも、うまくすればスコールのように止み間はあるかもしれない?・・・希望的に考えればね。
 ただ・・・この日から気象庁の5日間進路予想が若干東寄りの変化を示しているし、米軍の進路予想でも30日あたりから北東方向に転向することを予想しているから、気象庁のGSMアニメの台風位置より若干東側に台風11号があることを想定して、30日の天気はもうちょっと悪目に考えて用心しておくのがイイかも。
 波はちょっと絶望的かな・・・・とりあえず30日なら飛行機は飛びそうだから・・・あらかじめ29日に航空会社に問い合わせておいたほうがイイかもね・・・・・

 31日(水)、台風11号の影響・・・・GSMで見る限り停滞しちゃうから、30日と天気傾向ほぼ同じだと思うけど、航空会社はどう考えるんだろう?GSMをそのまま信じるなら風も特に強まらないみたいだけど・・・・
 でも・・・・気象庁5日間予想がさらに米軍予想に近づいて、米軍の進路予想ズバリなれば雨風ともモロの影響を受けて帰れなくなる可能性も大・・・31日が予想のヤマ場だね。
 飛行機は飛べばラッキーくらいに考えておいたほうがイイかも。
 やっぱり29日に航空会社に問い合わせをするべきだろうねぇ・・・

 じゃあ・・・・沖縄旅行に行くべきかよ?・・・・命にかかわらないことだから行くべきっていえば行くべきなんだけど・・・・・
宮古なら行かない・・・けど、沖縄本島だから・・・30日に飛行機の席がとれそうなら行く・・・だな・・・・でも雨に降られまくりだから悩むけど、沖縄観光だってできるんだし、それならそれでイイか!


 ということです・・・・・
 この考え方、Kasayanが昔ヨットで日本一周をしたときの考え方とは正反対・・・命がかかる天気チェックなら、絶対に沖縄なんか行きません。
 鹿児島あたりの港で台風対策モードに入るでしょうね。

・・・・以上ですが、参考になりましたか? ちょっと早めの昼食時間に書いたので、ムチャクチャな文章になっているのをお許しください。まあ・・あくまで一人の気象予報士の独り言ですので・・・・

 沖縄の土産話・・楽しみにしています。





 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
 可能な限り返信いたします。



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Posted by kasayan at 07:30Comments(15)雑記

2011年08月24日

台風11号進路と台風12号発生?秋雨前線活発(8月24日)


1、台風11号と熱帯低気圧(台風12号?)の動向

 小笠原付近で発生し、南海上を西進していた①熱帯低気圧は昨日の計算値どおり発達せずに明日には消滅してしまいそうですが、この熱帯低気圧より後に発生し、昨日朝には発達傾向が弱かったフィリピン東方の熱帯低気圧が②台風11号に昇格してしまいました。
 さらに、サイパン付近でも③熱帯低気圧発達中で、台風12号になるおそれがあります(気象庁では明日25日夜には台風昇格を予想)。







 今後どうなるのか?が、夏休み最後の週末を前にして一番気になることだと思いますが、昨日の記事にも書いたように、台風や熱帯低気圧が複数発生しているため、それぞれが互いに作用しあって、スパコンのシミュレーションといえども混乱が生じている状態です。

 まず、気象庁の予報の中核を担うGSMという計算値(地上気圧・1時間降水量・風)を31日までアニメにしてみました。




 台風11号より、台風12号?が発達して日本付近に接近することが予想されています。
 台風11号の反時計回りの渦の東側の流れに乗って北上が促されるように計算されたのでしょう(藤原の効果なんて言います)。

 もっとも、このような作用は、二つの台風(熱帯低気圧)の距離によって大きく異なってきますから、新たな観測値に基づく計算値毎に大きくバラついてくる可能性があります。
 ちなみに、一昨日21時の観測値に基づいた昨日朝発表の計算値では・・・・・




 台風11号と台風12号?の位置が、今朝の計算値と全く異なります
 ですから、上のアニメは一つの可能性ととらえて、台風が接近するにともなって暖湿気が日本付近に流れ込み、秋雨前線が活発化して、大雨のおそれがあるということを理解する手段にとどめていただきたいと思います。

 なお、アメリカのGFSという計算値と、ヨーロッパ中期予報センターの計算値は以下のようになっています。







 都合3つの計算値を見たわけですが、これだけバラついているわけですから、日々の新しい進路予想図でコマメにチェックして素早い対応をとるのが一番賢い方法ということになりそうです。

 米軍台風進路予想
   http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1411.gif
 気象庁5日間予報
   http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html

9時30分追記藤原の効果について書きましたが、台風11号と台風12号?の相互作用が大きく、台風11号が台風12号を引っ張る傾向が強い場合、台風12号は北西進してヨーロッパ中期予報センターが計算するコースを進む可能性があります。他方、両者の相互作用が小さい場合、アメリカGFSモデルと、気象庁GSMモデルのように台風11号が沖縄付近を北西進し、台風12号?日本の東海上を北東進することになります。つまり、両者の距離と相互作用が今後の予想進路を180度分けてしまうという状態です。いずれになるかは?????誰も断定できないという状態でしょう・・・・残念ながら。明日か明後日に、結果がわかるのではないでしょうか?)


2、秋雨前線の動向

 台風のチェックが長くなってしまったので、今日の秋雨前線の雨の様子・・・コンパクトにまとめておくことにします。

 まずは、予想気圧配置で概況をチェック。




 書き込みそのままですが、ポイントは①前線が日本海側に停滞して日本海側中心に雨が続くこと、②熱帯低気圧の影響で暖湿気の流れ込みが強まり、前線の南側でも局地的に激しい雨が降るおそれがあること、です。

 まずは前線の停滞の様子と雨の降り方を上空の天気図でチェック。




 昨日に引き続き、太平洋高気圧の勢力が強まりますが、西への張り出しが強く北への張り出しはイマイチ
 秋雨前線に対応する強風帯の位置は西日本でほんの少し北上するだけですから、地上の秋雨前線も山陰でちょっと北上するだけで停滞傾向
 強風帯を反時計回り(低気圧性)の空気の渦(赤丸)が流れてくるタイミングで前線が活発になります。

 次は、暖湿流の流れ込みが強まる様子を相当温位(雨の原料)のアニメでチェック。




 熱帯低気圧との関係で強い暖湿気が流れ込む様子がよく再現されています。
 
 暖湿気は地上付近に流れ込みますから、山にぶつかった所で強制的に上昇させられたり、山の風下側で迂回した風が収束したりして、上昇気流が発生すると活発な雷雲が発生します。
 昨日、岐阜県方面で大雨被害が発生しましたが、今日も暖湿気が大量に流れ込む地域では同様の大雨に警戒が必要です。

 以上①②の理由を踏まえて、具体的な雨の様子をチェック。




 秋雨前線の雨の帯だけではなく、水蒸気のままでは湿気を保持しきれないほどの強い暖湿気による降水帯が北上してくるのがわかります。
 地形をイメージしつつ、どこで大雨になり易いのか?イメージしてみてください。


3、昨日(23日)の岐阜県の大雨について

 昨日、岐阜県の下呂方面で大雨になって、避難勧告が発表されたり、土砂災害などが発生しています。
 古いですけれど、国家賠償請求訴訟の重要判例になった飛騨川バス転落事故など、岐阜県ではしばしば大雨による被害がありますが、お隣・・・Kasayanの住む長野県も他人事ではありません。

 暖湿気が流れ込んだから・・・といのが理由ですけど、なぜ岐阜県でなければならなかったのか?は、ニュースでも伝えられていません。

 今日も広い範囲で局地的な大雨が予想されていますが、暖湿気による大雨がどこで発生するのか?を考える参考になるのではと考え、昨夜シコシコと図を作っておきました。
 十分な考察はできていないのでコメントは書きませんが、興味のある方は目をとおしてみてください。































 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
 可能な限り返信いたします。



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Posted by kasayan at 07:10Comments(12)雑記

2011年08月23日

秋雨前線の動向と熱帯低気圧の今後(8月23日)


1、秋雨前線の動きと気温乱高下

 先週、秋雨前線が南下して秋の気配を感じる週末になりましたが、再び前線が北上して暑さが復活・・・・
 という話が天気予報番組の中心の話題になっているはずですから、今回の小さな秋?の総括から・・・




 15日からの一週間の天気図と、東京の最高気温をアニメにしてみました。
 これだけのことなんですけど・・・・前線の南側の暑い空気と北側の冷たい空気のせめぎ合い・・・・
 今日、前線は日本海沿岸まで北上しますが、上昇気味の気温変化はこれからどうなるのか?




 今月いっぱいは平年並みに
 35℃以上の猛暑日にはならないけれど、梅雨末期のような30℃前後の蒸し暑さがやってくるというところでしょう。
 まあ・・・テレビの天気予報と同じですね(同じ資料を使っているんで、同じじゃなければ困りますけど)。

2、熱帯低気圧の動向

 もう一つ・・・南海上の熱帯低気圧・・・・台風11号に昇格するのか?が気になるところですが、結論からいえば、「今のところ」熱帯低気圧のまま沖縄付近を通過する・・・という可能性が高くなっているようです。







 GSMという気象庁のシミュレーションデータは、台風への発達を予想していません
 他方、ヨーロッパ中期予報センターの計算値は、フィリピン付近を北上している熱帯低気圧との相互作用でコンピューターが混乱した?らしく、28日には突然、信じられないような巨大な台風を計算しています(アメリカのGFSという計算値も同様)。
 「今のところ」としか言えませんけど、台風への昇格の可能性は低いと思われますが、この週末、沖縄方面の天気は少々荒れ模様といったところでしょう。

22時40分追記
 小笠原付近に発生し、南海上を西に進んでいる熱帯低気圧ではなく、フィリピン東方で発生し停滞していた熱帯低気圧が台風11号に昇格しました。
 後から発生し、停滞していたので、このブログではほとんど無視していたんですけれど・・・・・
 今後もしばらく停滞する予想になっていますが・・・・熱帯低気圧と台風の相互作用(藤原の効果)により計算値が不安定なため、今後どうなるか・・・注目です。




 米軍台風予想図: http://www.usno.navy.mil/JTWC/



3、今日の秋雨前線

 まずは、概要把握のために、今夜9時と明日9時の予想天気図から。




 秋雨前線が日本海沿岸まで北上して明日夜まで停滞
 前線が凸になっているところ・・・・・天気予報の現場ではキンクと呼んでいて、弱い低気圧があるというイメージです・・・・が通過するたびに雨雲が発達することになりそうです。

 昨日同様、なぜ前線が北上し、前線が凸の部分がやってくるのかという理由を、上空5800m付近の天気図でチェック。




 上空の低気圧とそこから南西に延びる上空の気圧の谷位置はほとんど変わらず・・・・地上付近の気圧配置も大きな変化がないということです。

 そして、太平洋高気圧が勢力を拡大・・・・上空の気圧の谷の南側の強い空気の流れ(強風帯=地上の秋雨前線に対応)も北上
 
 前線に対応する上空の空気の流れは南側に凹のカタチをしていますから、蛇行している川の流れのように、反時計回りの渦がポコポコと出来て、日本上空を流れていきます
 この渦の下で、前線の凸部(キンク)ができるわけですから、前線の雨が結構コマメに強まったり弱まったりすることがわかると思います。

 次は、ムシムシの暑さと雨の原因になる前線南側の暖湿気の様子




 前線の北上にしたがって、暖湿気が流れ込みやすくなるというのはわかり易いですが、単純に流れ込むわけではなくて、太平洋高気圧の位置や熱帯低気圧の位置によって、ムラが生じます(テレビの解説では単純に一本の赤矢印にすることが多いですけれど)。
 このムラも雨の降り方に影響してきますが、今夜には対馬海峡方面から日本海への流れが出来てくるようです。
 前線上の低気圧との関係で、西日本日本海側の雨がちょっと気になります

 で・・・具体的な雨の様子を見ると・・・・・・




 雨のエリアが日本海沿岸に偏ってくること・・・・前線凸部にも偏ってくることがわかります。
 上空の渦が通過するタイミングで特に活発になるんでしょうね。
 
 前線の南側は次第に晴れてくるようですが、湿った南風が流れ込んでいるわけですから、局地的な雷雨の発生には気をつける必要がありそうです。

 具体的な降り方については・・・・・

 府県的予報(原文)
     http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 府県天気予報の使い方と用語集(用語を理解すればで時系列変化もわかります)
     http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/yoho.html

09時追記
平成23年 8月23日05時44分 長野地方気象台発表
長野県の注意警戒事項
 北部では、23日昼前まで土砂災害に警戒して下さい。

お知らせ 地震に伴い揺れの大きかった栄村、松本市(乗鞍上高地の区域を除く)では、大雨警報・注意報基準を通常より引き下げた暫定基準を適用しています。



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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)

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Posted by kasayan at 07:18Comments(3)雑記

2011年08月22日

秋雨前線北上、熱帯低気圧は台風11号へ?(8月22日)


1、熱帯低気圧は台風11号に?

 不穏な動きを見せている小笠原付近の熱帯低気圧・・・夏休み最後の週末の天気に影響するおそれがありますから、台風11号まで発達するのか?と気が気でないかたもおられるのでは?




 まず、気象庁のGSMというシミュレーションモデルですが、25日朝には沖縄の東に接近、等圧線も同心円状になってミニ台風の姿が計算されています。
 風速は30ノット(約15m/s)以上が予想されていますから、17.2m/sの台風昇格の基準に達するか否かギリギリのところ。




 次は、昨日も掲載したヨーロッパ中期予報センターの計算値。
 なんだか二つの熱帯低気圧?台風?が見えますが、日本に近いほうが問題の熱帯低気圧で、南側のものが現在フィリピン付近にある熱帯低気圧と思われます(気象庁GSMにも画格を拡大すると位置は異なれど二つあります)。
 
 気象庁より北寄りに進め、接近は28日とやや遅め。




 最後はアメリカのGFSというモデル。
 台風?は一つで、沖縄付近への接近を予想していますから、位置的には気象庁と似ていますが、沖縄接近が28日と速度はやや遅め。

 じゃぁどうなるんだよ?と思われるかもしれませんけど、Kasayan的には、「今のところ」台風の直接の影響は沖縄方面だけと考えて、むしろ台風11号?からの暖湿気(雨の原料)による雨が気になります
 
 熱帯低気圧の動向が気になる方には申し訳ありませんけど、様子見・・・ですね


2、今日の秋雨前線・・・雨を中心に・・・・


 まずは予想天気図でざっくりと状況確認。




 ポイントは、①秋雨前線が東日本で北上傾向、②前線が凸の形をしている東海から東北にかけて激しい雨のおそれがある、ということです。

 ①は東海上から張り出している太平洋高気圧の勢力がやや強まるから。
 ②は前線が凸の形をしている部分は弱い低気圧(低圧部)になっていて、前線南側の暖かく湿った空気(雨の原料)と、北側の冷たい空気が渦のように混ざり合い、雨雲が発達するから。

 そんな①②の理由がまとめてわかる、上空5800m付近の天気図(高度)からチェックしておきます。




 日本付近は等圧線(本当は等高度線と言いますけど同じに考えてOK)が大きく凹になっていて、気圧の谷のエリア
 太平洋高気圧(赤塗り)は東海上に追いやられていますが、少しだけ勢力を強めてきます。
 このため、上空の強い風の場所(赤矢印)・・・・地上の秋雨前線に対応しています・・・が、若干北上
 ・・・①の原因ですね。

 また、強い風の曲がり角(凹の部分)では、蛇行する川のように渦が発生して風下の日本付近に流れ込んできますが、反時計回りの特に強い渦(赤丸)が、午前中は九州と関東付近、午後は朝鮮半島付近を通過します。
 このため、地上でも反時計回りの低気圧性の渦が発生・・・前線が凸の形になって、雨が活発に・・・・・②の理由ですね。

 また、前線上の渦ができると南から流れ込むのが暖かく湿った空気(暖湿流)




 特に強い暖湿流の様子がイメージできると思いますが、イメージを維持しながら下のアニメを見ると・・・・・




 九州付近に流れ込んだ暖湿流が近畿付近で南に迂回して、関東東北方面に流れ込むのがわかりますよね?
 これで、雨が活発になる理由がわかるわけですが、もう一つ・・・・せっかく涼しくなったわけですが・・・涼しさも折り返し点を迎えたことがわかります。
 雨の今日はまだまだですが、明日あたりから30℃越えの場所が増えてきそうです。

 ということで・・・具体的な雨の様子







 昨日も書きましたが、冷たい空気の上を、暖かく湿った空気が急激に滑り上がって雨雲が発生するというイメージでアニメを見ると、前線の凸部分の渦の話と大雨との関係が納得できるんじゃないかと思います。


 ところで、いつもならここで終わるわけですが・・・・・・
 今日は終戦後ラジオの天気予報が再開された日・・・天気予報は軍事機密だったんですよね。
 とういうことで特別企画じゃないですけど、このブログを効果的に使っていただく方法の一例をご紹介。

 このブログでは、各地の天気がどうなる・・・ということはアイマイにしていますが、気象業務法上、予報事業者登録(メンドウ)をしていないと不特定多数に対して予報を発表してはいけないことになっているから。
 もちろん、全国の各地の予報を考えることなんて一人じゃできません(長野だけならなんとか・・・でも毎日一人だけならケアレスミスもあるでしょう)。
 個人ブログでアレコレ書いても加罰的違法性がありませんから全然問題はないんですけど、メンドウなことはできるだけ避けたいので・・・・

 そこで、様々な気象データをできるだけ分かり易いように「解説」して、ご覧になっている方が、お気に入りの天気予報をチェックするときに、安全マージンを考えながらチェックすることができるように・・・と考えているわけです。
 ですから、特に今日のような雨降りの場合には、上の計算値だけではなく、お気に入りの天気予報をチェックし、天気予報の安全マージンを考えていただきたいと思います。
 天気予報は、予報官や気象予報士によって多くの計算値の誤差やズレを修正して最適に作られていますから、天気予報を基本情報にして、生の計算値で安全マージンを考えるのが正しい使い方といえます。

 そこで、基本情報にする天気予報ですが・・・・
 Kasayanとしては天気マークの天気予報ではなくて、電話の177番と同じ内容の文字情報・・・「府県天気予報」を読むことをオススメします。
 なぜなら・・・天気マークの天気予報のモトネタが「府県天気予報」だから。
 天気マークの天気予報は、「府県天気予報」の予報文の末尾の数字(テロップ番号)が100なら太陽マーク、300なら傘マークを表示しているだけ・・・・「府県天気予報」のほうが情報量たっぷりです。

 府県的予報(原文)
     http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 府県天気予報の使い方と用語集
     http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/yoho.html


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 可能な限り返信いたします。



(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)

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Posted by kasayan at 05:53Comments(0)雑記